遊びたいのになぜか遊ばない…… サビ猫「あんず」、行き場のないキモチを相撲で発散

 猫と遊ぶことは、飼い主にとっても癒しの時間……のはずが、最近はイマイチうまくいかない日々が続いています。しかし、猫なりには最終的にうまくいっているように見えます。

遊びたい!のに、遊ばない!?

 我が家のサビ猫「あんず」は、遊びが大好きな猫。1日1回以上は必ず、飼い主に遊びの催促をしてきます。もちろん、あんず自身が遊びたくないときは、どんなにおもちゃで誘っても「何してんの? 今遊びたくないんだけど」とでも言いたげな冷たい眼差しを向けて去っていきます。これぞ猫、という感じですね。

「ニャーニャー!」

 飼い主を遊びに誘うときのあんずの表情は真剣そのもの。遊ばないとお前を取って食う、みたいな鬼気迫る顔で私と夫を追い詰めます。

 子どもが小さい今、すぐに遊びに応じることができないこともありますが、なるべくあんずの要求を優先させるようにしています。それは、あんずのためでもありますが、あんずは非常にしつこいので、自分たちの生活の平和のためでもあります。

サビ猫「あんず」
落ち着いている状態のあんず

「ほら、あんちゃん、おもちゃだよー」

 あんずに猫じゃらしや、おもちゃの虫がついた釣り竿を垂らすと、おもちゃを見はするのですが、飛びついて来ません。

「ホラホラ、あんちゃん」

 さっきまでの「要求鳴き」はしなくなったけど、じっとおもちゃを見つめるのみです。

「ほかのおもちゃがいいかな? ホレホレホレ」

 おもちゃを替えても、おもちゃの動きを変化させてもダメ。そうこうしているうちに、遊びの要求をしてこないキジトラ猫「モモ」が遊びに参加してきました。

 おもちゃの虫を追って、楽しそうなモモ。

 こうなると、あんずはさっきまでの「一歩引く体制」以上にスススッと引いてしまいます。

 なぜか、モモが遊んでいるときは、白けた顔の見学者になってしまうんです。モモと一緒に遊べば楽しいのに。

 そしてモモが遊び疲れてきたころに、「あんず、遊ばないなら片付けるよ、いいね」と確認。するとあんずは「どうぞ、ご勝手に」みたいな冷たい表情。

 まぁ、「遊びたい気持ち」に応えたし、「おもちゃを見る」「モモが遊んでいるところを見る」、という刺激もあったので、多少は満たされたのではないだろうか……。

 と、おもちゃを仕舞うと…。

「ニャー!ニャー!」と追ってくるあんず。

「何よ、遊ばなかったじゃないの~」

「ニャー!」

 これでまたおもちゃを出しても、またさっきの繰り返しなのです。

オモチャと格闘するキジ猫「モモ」
おもちゃと格闘するモモ

 あんずの心境は、(1)おもちゃに飽きた(2)モモが出てくるので白ける(3)遊びたいと思って飼い主を誘ったけど、そうでもなかった……のどれかなのではないかと思うのですが……。

 あんずは、気持ちをストレートに表現し、それを叶えることのできる猫です。例えば、ゴハン食べたい! 遊びたい! 甘えたい!と、飼い主にアピールするのが上手。一方、モモはいつもモジモジしていて、何の表現もしてこない猫。モモの気持ちはほとんどわからないのですが、あんずの気持ちは分かりやすいはずなのに……この時ばかりは、あんず自身も自分の気持ちがよくわかっていないのかもしれません。

結局、相撲で大団円

 そんな具合に、飼い主とうまく遊べない最近のあんず。飼い主がおもちゃを仕舞った後も、「ニャーニャー!」とアピールしてきます。

「もーどうすりゃ満足なのよ~」

 あんずの大好きな「体コロコロ(お掃除用の粘着コロコロで、毛をコロコロする)」をしても、治まりません。

 すると、あんずも「自分でもよくわからないけれど、じっとしていられない感情」のもって行きどころを自ら探す行動を始めます。

 まずは部屋の中を“弾丸ダッシュ”。ズドドドドドド!!とわざと足音を鳴らして走り抜けます。こうなると、誰もあんずを止められません。

 そのまま放っておくと、今度はあんずの“うおー!”という感情がモモに向き始めます。モモにちょっかいを出して、モモが「カーッ!」と怒ります。

 そして、相撲……いや、総合格闘技が始まります。2匹で組み合って、パン生地でもできるような勢いでゴロゴロ回ると、あんずがまた離れて1匹で弾丸ダッシュ。

 飼い主は、それをボーっと見ることしかできません。格闘技とダッシュを繰り返すと、あんずは徐々に動きが遅くなり、気持ちが落ち着いていきます。

「フ―……今日も汗流したわぁ……」

 とでも言いたげに、ゆっくりと座布団の上に鎮座するあんず。毛づくろいして横になります。すると、モモもやってきて、2匹で仲良く入眠へ……。

サビ猫「あんず」とキジ猫「モモ」
一時休戦する2匹

 ……あんずって、最初からモモと相撲を取りたかったのでは? そう思えてなりませんが、「飼い主に遊びを挑む」ことから始めないと、気が済まないのかもしれませんね。

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安田有希子
2015年からsippoにて「猫アレルギーですけど」の連載開始。2匹の元保護猫と暮らして4年目に猫アレルギーが発覚するも、平和に暮らす。猫の好きなパーツは、小さく並んだ門歯。幼少の頃「うちのタマ知りませんか?」のすごろくに大ハマりした年代。栃木県出身。

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この連載について
猫アレルギーですけど
普通の家で飼われている猫「あんず」と「モモ」。飼い主の主婦が、2匹との生活や発見をユニークな視点で切り取る人気連載です。
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