ピンポンで姿を消す幻の猫!? 愛猫がお客さんに慣れるには焦らずゆっくりおやつ作戦
猫と幸せに暮らすヒントや困りごとの解決法を、獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が教えてくれます。連載4回目は「お客さんに慣れる方法」です。
ダッシュで逃げていく
玄関が「ピンポン」というとダッシュで隠れ、姿を消すねこちゃんは多いのではないでしょうか?
うちの1歳のフラの助も、宅配便の方や家族ではない人が玄関に姿を見せるとダッシュで家の奥のほうまで逃げていきます。
宅配便の受け取りをしている間、玄関から飛び出すよりは逃げてくれたほうがいいので、それはとりあえずよしとしても、大切なお客様がいらしているのに、失礼にもごあいさつに来ないのはいかがなものかと思ってしまいます。
いとおしい、できれば自慢したい我が愛猫が、「本当に猫いるの?」と聞かれてしまうような幻の猫になっては困るので、お客様にも姿を見せ、せめてごあいさつができる猫になってほしいと願う猫のご家族は多いはず。
怖い人ではないと教えていく
お客様を怖がってしまって隠れてしまう猫さんには、お客様を受け入れる練習として、お客様は怖い人ではないし、おやつをくれる特別な人であると教えていきます。
お客様がいらしたときに限り、最初は猫が隠れている部屋にふだんは出てこない、おいしい特別なおやつを置いておきます。お客様にはあえて隠れている猫を見に行ったり、あいさつをしたりしないでいただきます。
猫を驚かさないように、まずは距離をとった状態で、お客様がいるときにはおいしいおやつ、と関連付けさせます。
徐々にお客様がいらっしゃると、おやつを期待して隠れている部屋の隅や影から少しずつ客間の様子をみているようになったら、おいしい特別なおやつは、部屋の真ん中に置き、おやつを食べるためには、少し客間に近づいていかないといけないようにしていきましょう。徐々におやつはお客様のいる客間のそばに置いておくようにしていきます。
猫を見ず、触らず、おやつだけ
かなり客人の近くに来られるようになったら、お客様の近くにおいしいおやつを置き、お客様には猫を見たり、なでたり、抱っこしようとしたりしないでいただき、おやつをあげるだけをしていただきます。
下の写真1を見ていただけるとお分かりでしょうが、人に見られたり、抱かれようとしたりするのは私たちに比べてかなり小さい猫たちにとっては非常に怖いのです。
だから写真2のように猫は見ず、触らず、おやつだけあげるようにすることで、猫も強いストレスを感じずに人に近づいていくことができるようになります。
お客様のたびに特別なおやつをお客さまがあげるようにしていくと、そのうちお客様がいらっしゃることが大好きな猫になってきます。
コツは焦らないこと
お客様に慣れていく方法ですが、うまくするコツは焦らないこと。時間がかかると思います。
また、特定の方に慣れさせたいと思ったら、その方には頻繁に遊びにいらしていただくのが良いかと思います。
頻繁にいらしていただきながらも、焦らずにゆっくりおやつ作戦、ストレスをかけない作戦でやってみてください。
「幻の猫」が「本当に猫がいたんだね」に変わる日まで。
(次回は11月8日に公開予定です)
【前の回】2匹目の猫を迎える時のポイント 子猫の方が受け入れられやすい?どうやって慣らす?
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