ビビリ猫「くまお」が教えてくれた 猫にストレスの少ない引っ越し方法

 くまお父(夫)の転勤により、先日ネコ2匹と共に引っ越しをしなければならなくなったくまお家。

 わたし自身の引っ越しは16年ぶり。今回「ネコの引っ越し」を想像しただけで青ざめていました。

(末尾に写真特集があります)

 少しずつ荷物の整理をしながら、獣医さんに引っ越しの注意点などを相談に行ったり、移動にあたりチェック表を作成したり、いつもよりちょっと緊張状態。

 そのわたしの様子と、片付けするたびに家の中の環境が大きく変わっていくので、ネコたちも少しずつ「なんかあるな?」と気づいていました。

ダンボールのジャングルジムを楽しむ白黒猫「こぐま」
ダンボールのジャングルジムを楽しむこぐま

ネコはどのタイミングで移動?

 引っ越しで一番悩んだのは、ネコの引っ越すタイミングでした。距離の関係もあり、搬出の翌日に新居への搬入になったため、1泊の空白が。

 新居に先にネコを入れるべきか、荷物も全部入れて最後にネコを入れるか? ペットホテル等に預けるか? どれもネコが日常生活から離れることで生まれる不安や戸惑いなどのグリーフが想像ができてしまいます。

 わがやではネコを一番最後に移動することにしました。引っ越し作業中は2匹が大好きだった寝室の中に一時的にお籠もりしてもらい、すべて荷物がなくなった状態の家で1泊してから新居へ、という順番。

何もなくなった部屋にたたずむ白黒猫「こぐま」
何もなくなった我が家

 家の中のものがなくなるのはネコにとってストレスなんじゃないかと思っていたのですが、家具がなかったとしても、部屋自体が「慣れ親しんだ匂いのついた安全基地」という安心感があったようです。

 そのかわり、新居へはなるべく2匹の匂いがたっぷりついた家具で部屋を整え(爪とぎでえらいことになっていたズタボロのソファーも、処分したい気持ちをぐっとこらえて持参)、少しでも安心できる環境を整えてからネコを移動するように挑んだのでした。

 これは結果的に本当にこの順番にしてヨカッタと感じました。

猫らに聞いて、移動方法を決定

 今回は車で2時間半くらいの距離へ引っ越し。そうなると車内で2匹のネコはどうしたら?とわからないことだらけ。

 そもそもキャリーが大嫌いなこぐまをどうやって捕獲し、キャリーに入ってもらうかも、大きな課題。

布団でくつろぐ白黒猫「こぐま」
引っ越し当日。常にキャリーは近くに置き、慣れさせていましたが…

 病院でネコの気持ちが安定するお薬も出してもらったりしましたが、最終的にはお薬も飲ませることなく、落ち着いた状態の2匹に、「これから一緒に新しい部屋に引っ越しするけど、2時間以上かかるから、それぞれ別のキャリーがいい? 一緒のケージがいい?」と聞きました。

 こぐまが「一緒がいい!」と目で訴えてきたので、ケージにすることに(まるでやばい飼い主ですが、飼い主が迷った時はネコに真剣に聞くと、答えを教えてくれるのです)。

 一緒にソフトケージに入れたところ、とても落ち着いていたので、そのまま安全に留意しそ〜っと車に運びました。移動中も一度も鳴いたり暴れることもなく、2匹一緒にお互いくっつきながら移動(移動のためのケージではないので、注意が必要です)。

ソフトケージのなかで落ち着いた様子の猫2匹
「一緒がいい」と選択したあとの2匹の落ち着いた様子

なじみの匂いで、新居でも安心

 寝室までそのままケージを運び、家の匂いや環境をケージの中から観察してもらってからオープンして家の中の探検開始!

 自分たちの匂いのついた家具はたくさんあるのに、「あれ、家が違う!?」と最初戸惑った様子でしたが、くまおがまっ先に大好きなベッドを見つけて、フカフカなお布団を楽しんでいました。

引っ越し直後にベッドでくつろぐ猫「くまお」
引っ越し直後にベッドでくつろぐくまお

 特にくまおはビビリなので、数日固まって動かないかもしれないという心配を抱えていましたが、その心配はくまおの安全基地だった家の匂いのついた家具をたくさん持ち込んだことで解決することができました。

引っ越し後、1週間の様子

 それぞれのペースで家の中の探索をし、前より日当たりのいい部屋を満喫しているようです。

 引っ越し前と違う点は、私が8時間近く留守にすると少し不安になるようで、布団の中から出てこなくなってしまったことがありました。

 いつもと同じくつろいだ様子に見えても、2匹には環境が大きく変わったグリーフ状態。しばらく時間をかけて見守りたいと思います。

「ネコはこうだから」というネットの情報や一般論を自分のネコに当てはめていたら、慣れるまで時間がかかっていたと思います。

 ネコの性格によって、環境や体調に配慮して、ネコの目線になって安心感を保つために、慣れ親しんだ匂いや感触のするアイテムを失くさないことや、ストレスを最小限にできる方法を考えながらの引っ越し作業、選択の順番などを決めていくことが大切と感じました。

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鎌田里苗
すべてのイヌやネコが幸せに暮らせるように、と「一般社団法人くまお」 を設立。各地でイベントを開催し、保護猫の魅力について発信。2018年12月、猫も世界の一員「ネコもSDGs」プロジェクトを立ち上げた。くまおオフィシャルサイト http://kumao.co/ くまおインスタグラム @kumaokamako

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この連載について
くまおと始めるグリーフケア
死別の悲嘆を緩和する動物医療のグリーフケア。人気猫くまおの飼い主「くまお母」が、飼い主の立場から一緒に考えます。
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