やせてケガをした猫に首輪 手紙をつけて離すと、返事が届いた

吸い込まれるようなグリーンの瞳
吸い込まれるようなグリーンの瞳

 自宅のベランダによく遊びに来た野良猫。猫はやせて、けがもしていた。首輪をつけていたので、飼い猫かと思い、首輪に手紙をつけて離すと、返事が来た。だが、うちの猫ではないとのこと。家の主は見かねて保護することにした。

(末尾に写真特集があります)

首輪につけた手紙に返事

 関西地方に住むKさん宅のベランダに、ある日、首輪をつけたきれいな猫がやってきた。その時は、「よそのお宅の飼い猫かな」と思ったという。

 それから半年ほどたって、その猫がまたやって来た。同じ首輪をしていたが、どろどろに汚れていた。体はやせ細り、首の後ろにケガをしていた。

 出血していたので、Kさんは缶詰のフードと水を猫にあげ、食べている間に傷に薬を塗った。どこに帰っていくのかは分からないが、首輪に「うちに来たので薬を塗りました。差し出がましいようですが、病院に連れて行かれたほうがいいのではないですか」と書いた手紙をつけて送り出した。

ちょうどあごの乗せ具合がいいの、このベッド
ちょうどあごの乗せ具合がいいよ、このベッド

 再びその猫がやって来た。すると、首輪に手紙の返事がつけられていた。

「うちの猫ではありません。うちに来たからちょっと世話をしていただけです」と書いてあった。

 その後、その猫はたびたびKさんの家にやって来たが、首のケガはそのままだった。おなかをすかせていたので、フードを与え、また首輪に手紙をつけた。「ケガがひどいので、うちで治療やお世話をしてもいいですか?」と尋ねたが、返事はなかった。

看取る覚悟で猫を保護した

 その猫は居場所がないようで、それからずっとKさんの庭で過ごすようになった。

 骨と皮だけのようにやせていたので、もし保護しても看取りになるだろう。でも甘えん坊の優しい猫だったので、保護しようとKさんは決心した。

 人を見て逃げるわけではないが、なかなかキャリーバッグに入ってくれなかった。そこでホームセンターに行って捕獲器を買い、201410月に捕獲器でその猫を捕まえた。

大きな目と短いマズルがチャームポイント
大きな目と短いマズルがチャームポイント

 抱っこも出来て、すぐに動物病院に連れて行き、入院させて、検査やシャンプーをしてもらった。獣医師には、やせているだけで、「どこにも異常はないですよ」と言われた。家に入れると、とても人懐っこい猫だった。「あめちゃん」と名付けた。

よく食べて巨漢に

 野良猫はいつエサにありつけるか分からない。あめちゃんは外で暮らしていた時からたくさん食べる子だった。Kさん宅に保護されて安心したのか、さらによく食べるようになった。

レディらしくおしゃれしてみたの
帽子似合うかな

 Kさんがキッチンに立つと、いつもおとなしく後ろに来て、おやつをもらえるのを待っている。甘えん坊で、可愛い子だという。

 どんどん食べていると、体重が一時7.5キロに達してしまった。その後、少しダイエットしたものの、今も6.8キロの大きな猫だ。

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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