「猫にとってのダンボール」が、今、わたしたちにも必要な理由
一般的にネコはダンボールが好きと言われますが、ダンボールに入って落ち着くタイプと、ダンボールに入らないほうが落ち着くタイプがいるようです。
わがやでは、こぐまは常に小さめなダンボールにきっちり収まり、くまおはダンボールにはまったく関心がなく、人間のベッドの上が一番のお気に入り。2匹のお気に入りのスタイルは確立していて、日々の生活にもそれぞれブレない強いこだわりのようなものを感じます。
最近のくまおは在宅ワークで家にいることの多いわたしの近くで、どっしりと座り見守ってくれていますが、きっと今までに比べると、安眠できている時間がだいぶ短くなったのでは?と気になります。
いつも平日の日中は留守番の時間でした。わたしが夜に帰るまでほぼ寝っぱなしで、留守中のカメラを見ても、ほぼヘソ天で寝ていました。
不安な毎日で、とうとう歯を嚙み砕いてしまった…
非常事態宣言が出された今、家にいても気づけば常にテレビやニュースで情報を追い、それに生活スタイルを合わせながら、自分の頭で考え、決断する日々が続いています。
「仕事に行くか、行かないか」「子供を保育園や学校に行かせるかどうか」など、平常時にはない、命にかかわるような選択を迫られ、不安に直面する機会も増えたため、きっと知らず知らずのうちに肩にチカラが入り、奥歯を噛み締めている方も多いかもしれません。
そう言っているわたし自身、夜中に歯を噛み締めており、ついに先日奥歯が割れるという事件が(驚)。今は歯医者さんにも行きにくい状況だと、こうなってみて気づいた次第です。
「問題が起こる前に気づく」という理想では分かっていても、人間、いざそうならないと、気づけない生き物なのですね……。
今、大切なのは「安全基地」と「分かち合える関係」
飼い主が家にいることで、くまおはベッタリ生活を喜んでくれているように見えますが、それと同時に、いつもの様子と違う飼い主の生活サイクルや、表情の異変を敏感に感じ取っているようです。
動物医療グリーフケアを実践されている阿部美奈子先生は、どうぶつが病気になったり、環境に変化があったときこそ、飼い主ができる限り「いつもと同じこと」を続けるよう、心がけることが大切と言います。
どうぶつが緊張や警戒心を高めないように気をつけ、不要なストレスを回避できれば、家が彼らにとっての「安全基地」となり、リラックスできる環境に身を置くことで、心や体にエネルギーを充電できるのです。
そして、もうひとつ、「一緒に暮らしている“今”の時間を大切に過ごすことで、亡くなったときだけでなく、生きているときからグリーフケアができる」と先生から言われたことを思い出しました。
今になり、このふたつのことは、ヒトにもまったく同じことが言えると気づきました。
この状況で不安を抱えていない人はいないと思います。自宅にいる時間が増えた今、家が安心して過ごせる環境か、一度見直してみたいと思いました。
そして、ヒトやどうぶつの枠を越え、お互いを気にかけ、ありのままのグリーフ(平和な日常を脅かされているために感じる心情)を吐き出すことができる関係が大切と、これまたこういう状況になってから気づきました。
この機会に、日頃から大切なヒトやくまおと、不安を和らげ、元気になるチカラを分けあい、グリーフケアをしあえる関係が作れていけたらと思います。
どうぶつの安心はヒト次第
わたしたちにも、こぐまにとっての落ち着けるダンボールの箱や、くまおにとっての大好きなベッドのような「ここにいたら心も体もほっとする場所」となる安全基地が、ことさら必要な時かもしれません。
そして、人間は自分の意思で行動することができますが、どうぶつは一緒に暮らしているヒトとの生活に大きく影響されます。
その良い面も、悪い面も含めて「その子の目から景色をみる」訓練をする機会にしてみようと思っています。
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