考えたくない愛猫くまおとの別れ グリーフケアに出会った
わが家は現在、ドロボーヒゲで常に口が開いていて、クマのようなボディの「くまお」と、くまおに似た柄で白黒の「こぐま」という、2匹のクマ、ではなく猫と主人と暮らしています。
くまおとこぐまとの出会い
くまおは現在推定8才のオス。2013年に推定3歳の時に神奈川県の山中にて保護されました。その後インターネットで譲渡先を募集されていたところ、写真にクギ付けになり、お見合いの後わが家にやってきました。丸く大きなボディにおじさんのような顔、ドッシリとしたたたずまいに惹きつけられました。
実際に会ってみると、超ビビリな性格、体格はやや小さめ、声はソプラノボイスという写真とのギャップが大きすぎる猫でした。
くまおは山の中で何年もの間暮らしていたので、もちろん人間との生活が快適な訳もなく……シャイで控えめな性格もプラスし、わが家に馴染むまで、数年の時間を要しました。ですが、少しずつ時間をかけてジワジワと距離を縮めてくれる様子はとても愛おしく感じました。
その後、2017年の12月、当時5カ月のメスの子猫を迎えることに。ビビリなくまおはストレスでどうなってしまうのか? と周りからも反対の声が多くありましたが、なぜかくまおと仲良くできるんじゃないか? との直感からわが家に迎え、くまおと仲良くなってほしい一心で「こぐま」と名付けました。現在2歳。
こぐまを迎えたことで、くまおの猫としての新たな一面を知ることに。こぐまとキャリー越しに面会した時のくまおは、人間と対面した時とは真逆で、怯えた様子のこぐまに自ら近寄り、とても優しい目でのぞき込んでいました。
くまおが人間に見せる顔とは別の顔を持っていたのを初めて知り、猫には猫の社会があるのを教えてもらったのです。
考えるのを避けていた「くまおとの別れ」
「猫を飼っていると癒やされるでしょ?」とよく聞かれます。
たしかにモフモフな生き物がお部屋の中をウロウロしているだけで十分癒やされます。ですが、実際は「猫を癒やす」ことによって何倍にも距離が縮まり癒やされる、という事を、これからお伝えしていく「動物医療のグリーフケア」を通して気づけたのです。そして、もっと深く知りたいと思いました。
これまで私は控え目に言ってもくまおへの愛情が重すぎるイタい飼い主でした。くまおは私達夫婦にとって家族同然の存在。長年暮らしているとおじさんのような顔はイケメンに見えてきちゃいますし、目に入れても痛くないと言っても良いくらい溺愛しています。
それ故、いつか必ず来る、くまおとの「別れ」への不安から、いつも目を背けてきました。生き物と暮らしていたら、病気もかかるかもしれないし、いつか必ず死もやってくるのは頭の中では、よーくわかっているのに、「病気にはならない。今は死なない。うちの猫は違う」と、鋼のボディを持っているかのように、いつまでも一緒にいられると、都合よく思ってしまっていたのです。
そんなときに獣医師の阿部美奈子先生が提唱する「動物医療のグリーフケア」に出会いました。グリーフとは“悲嘆”を意味する言葉。グリーフケアは亡くなった後の心のケアのイメージが強いのですが、そうではないと阿部先生は言います。
家族としての動物が生きているうちから、命と向き合い、一緒に過ごす“今”の時間を楽しく大切に生きることが、亡くなったあとの後悔を減らすことにつながる、と知り、そこから私はくまおとの関係が楽になったのです。
肩の力が抜けたというか、必要以上に死を異常に避けることがなくなりました。避けていたということは、死への不安を無意識に強く意識していたのだと思います。
私がどのようにグリーフケアに興味を持ち、くまおとこぐまとの向き合い方も整理することができたのか。飼い主目線で、「動物医療のグリーフケア」を通じて感じたことを、動物たちの介護をされている方や、同じように別れへの不安を抱えている方に知っていただくきっかけになれば、と拙い文章ですが、これから連載させて頂きます。
- 「県南ねこ会議 奥州くまくま部屋」開催
- くまお母が「SDGs」をキーワードに、保護猫くまおのひみつをお話します。
日時:令和元年8月31日(土)14時から15時30分まで(受付:13時30分~)
会場:奥州市文化会館Zホール展示室(奥州市水沢佐倉河字石橋41)
定員:100名(事前申し込みが必要です)
締め切り:令和元年8月26日(月)(定員に達した場合にはその時点で終了となります。)
詳しくはイベントページでご確認ください。
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