新型コロナで寄付激減の危機 ファシリティドッグをお酒で応援!
小児病棟で病気と闘う子どもたちを元気づけ、ときに治療のサポートもする犬がいる。「ファシリティドッグ」だ。新型コロナウィルス感染拡大の影響で活動を支援する寄付金を集める場が激減している。その危機をなんとかしようと愛犬家たちが立ち上がった。合言葉は「『うちの子の酒』で応援しよう!」。
重い病気と闘う子どもたちに寄り添い、勇気付ける
ファシリティドッグは子犬のころから専門的なトレーニングを受け、やはり専門知識を学んだ「ハンドラー」と呼ばれる臨床経験のある看護師とともに、毎日病院に「出勤」。子どもたちと触れ合って心を癒すのはもちろん、ベッドで添い寝したり、手術室への移動に付き添ったり、リハビリに同行したりと、医療スタッフの一員として活躍している。
「ファシリティドッグ・プログラム」を運営しているのは、小児がんや重い病気と闘う子どもたちとその家族の支援する団体、シャイン・オン!キッズ。2010年、日本初の取り組みとして、ゴールデンレトリーバーのベイリーが静岡県立こども病院で常勤での活動を始めた。
2年後には神奈川県立こども医療センターに「転勤」し、2018年に引退後は後任にアニー(ゴールデンレトリーバー)が就任。さらに、静岡県立こども病院ではヨギ(同)、都立小児総合医療センター(東京都府中市)にアイビー(ラブラドールレトリーバー)と、現在は3頭のファシリティドッグが多くの子どもたちに寄り添い、勇気づけている。
その活動は、個人や団体、企業からの寄付、さまざまなチャリティイベントでの募金によって支えられているが、いま、ピンチに直面している。新型コロナウィルスの感染拡大によって予定していたイベントが次々と中止・延期になってしまったのだ。
やはりコロナの影響で家族の面会時間が制限され、子どもたちと遊んだりする病棟ボランティアが来院できなくなる中、ファシリティドッグはますます欠かせない存在になっている。
ずっと一緒にいてくれた愛犬への思いを込めて
この難局を乗り越えようと、ある企画が動き出した。「ファシリティドッグを日本酒で応援しよう」というプロジェクトだ。
発起人は、日本酒造青年協議会が叙任する「酒サムライ」の称号を持つ妹尾理恵さん。親交のある酒蔵に呼びかけ、これまで「ベイリー酒(「七田」天山酒造、佐賀県)」などファシリティドッグの名前を冠した4種の日本酒を手がけてきた。代金の一部がファシリティドッグの活動支援に寄付される仕組み。
妹尾さんが自らの活動やネットワークを活用し、ファシリティドッグを支援しようと思い立ったのは、6年前に虹の橋を渡った愛犬オリーブちゃんへの感謝の思いからだった。
「16年間、楽しいときは一緒に笑い、悲しいときはそっと寄り添ってくれた。次の子を迎えてオリーブに恩返ししたい気持ちもあったけれど、当時私は50代半ばを過ぎ、年齢的に責任が全うできるか自信が持てませんでした。ならば、人間のために頑張ってくれる犬たちを私なりに応援しよう。そう考えたのです」
今回の寄付金激減にも力になりたいと、2019年に「アニー酒」を造った泉橋酒造(神奈川県海老名市)の橋場友一社長と妻の由紀さんに相談を持ちかけたところ、「愛犬のラベルの日本酒があったら家族はうれしいよね」と盛り上がった。実は橋場さん夫妻も、1年半ほど前に保護犬だった米(まい)ちゃん(1歳)を引き取り、育てている。犬を愛する者同士だからこそ飛び出したアイデアだ。
「うちの子」の日本酒で家飲みも楽しく!
そして生まれたのが「いづみ橋 うちの子ラベル」(720ml、2600円・税別)。注文の際、メールで愛犬のお気に入りの写真を送ると、それがラベルに。これまでの支援酒同様、1本につき700円がシャイン・オン!キッズに寄付される。
酒は同蔵の銘柄「いづみ橋」の純米吟醸酒。蔵のある海老名市で栽培された酒米で仕込んだ。ふくよかな米の旨みとすっきりとした後味で、どんな料理にも合わせやすいきれいな酒だ。
「ファシリティドッグの健気な仕事ぶり、そして、頑張る子どもたちの姿に心を打たれました。この活動を日本酒を通じて多くの方に知ってもらい、大変なときだからこそ応援につながれば」と由紀さんは期待を寄せる。
愛するわが子のラベルをめでながらのんびりと晩酌すれば、外出自粛で滅入りがちな気持ちもほっこりするに違いない。「いづみ橋 うちの子ラベル」は、「泉橋酒造オンラインショップ」で受付中。注文から1週間ほどで発送される。注文は2本から。
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