猫と仲良くできなくて? 娘の初めてのおねだりは猫のぬいぐるみ

 なんと今回で、この連載は200回目を迎えました。どこにも回数は書いてありませんが、たぶんそうなのです。2015年の10月にひっそりと開始したこの連載ですが、今後もひっそりとよろしくお願いいたします!

 前回は娘と猫の距離が、わずかに縮まったお話を書きましたが、それから2週間経ったいまでは、徐々に縮まるということもなく、そのままの距離感で過ごしています。

猫は無視すれば仲良くなれる?

 猫2匹と1歳の娘は、一定の距離を保ったままで日々暮らしています。猫が娘に体を触らせてあげることもありますが、基本的には娘がいるところに猫からは寄っては行かない、という状態です。

娘の急接近に戸惑うあんず
娘の急接近に戸惑うあんず

 特に、娘に対してビビっているサビ猫の“あんず”は、娘があんずに関心を持たなければ一緒に過ごせるようになってきましたが、娘はあんずに触りたくてつい突進してしまいます。そっと触るだけならガマンできるのに、突進されると逃げてしまうので、猫と娘が近くで過ごすことは難しい、というのが現実です。

 “猫は無視すればするほど、仲良くなれる”ということを娘にも学習してほしいのですが、1歳児には難しいようです。

人生初のおねだりは、猫のぬいぐるみ

 それでも、娘は着実に猫好きの遺伝子を受け継いでいると感じる出来事がありました。先日、娘を連れて雑貨屋さんで買い物をしていたときのこと。

 私がお会計をしていると、娘は犬や猫やクマやウサギのぬいぐるみが20個くらいある場所でぬいぐるみを見ていました。商品を触っていましたが、荒らす様子はなかったので、そのまま見守っていると、私のところへトコトコ歩いてやってきました。

「にゃんにゃん」

 娘は、スコティッシュフォールドらしき猫のぬいぐるみを抱いて私を見つめていました。ウゥ、カワイイ……。娘もぬいぐるみも……。胸を撃ち抜かれる思いでしたが、冷静な表情を装って言いました。

「そうだね、にゃんにゃんだね、棚に戻そうか」

部屋のすみでうずくまるモモ
部屋のすみでうずくまるモモ

 そう言って、猫のぬいぐるみをささっと棚に戻し、レジカウンターへ戻りました。すると、娘は再びぬいぐるみを物色し、トコトコとやってきました。

「にゃんにゃん……」

 娘の手には、先ほどと全く同じスコティッシュフォールドが握られています。ほかにもたくさん、色々なぬいぐるみがあるのに。

 これは、娘の人生初めてのおねだり! それが、猫のぬいぐるみだなんて……。たまらなくかわいすぎる。こればっかりは、私も我慢できない!

「これも、追加でお会計お願いします」

 いつの間にか娘の手からぬいぐるみを奪い、1600円もするフワフワした猫のぬいぐるみを購入している自分がいました。誕生日でもないのに、甘やかしすぎではないでしょうか。

 値札を切ってもらい、再び娘に返すと、幸せそうに猫のぬいぐるみを抱く娘。

「にゃんにゃん」が一番のお気に入りに

 帰宅後も、他にもぬいぐるみはあるのに、買ったばかりの猫のぬいぐるみを「にゃんにゃん」と言いながら、ずっと抱いていました。

 きっと、生きた猫がいるのに抱けないモヤモヤを、ぬいぐるみの猫で解消しているのでしょう。そう思うと不憫です。

羊のぬいぐるみのにおいを執拗にかぐあんず
羊のぬいぐるみのにおいを執拗にかぐあんず

 猫の方は、ぬいぐるみの形状が自分たちに似ていることが分かるのか、単に外からやってきた新たなものに対する興味か、クンクンとニオイチェックに余念がありませんでした。

 娘は着実に猫好きの子に育っているのに、猫の方の心の準備が整わず、親密にはなれないまま。とはいえ、猫も娘のことを嫌っているわけでもなさそうなので、猫の気持ちも尊重したいです。

(ヤスダユキ)

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この連載について
猫アレルギーですけど
普通の家で飼われている猫「あんず」と「モモ」。飼い主の主婦が、2匹との生活や発見をユニークな視点で切り取る人気連載です。
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