「猫よけ」のノウハウ教えます 猫と円満な関係を築くには
糞尿で庭を荒らされたり、大きな鳴き声を挙げられたりしたことで、猫が嫌いになった人たちがいる。金沢市を拠点に保護猫活動を進めるNPO法人「猫の避妊と去勢の会」の理事長・桐畑陽子さんは、猫との円満な関係を築くための「猫よけノウハウ」を紹介している。トラブルを防ぐことで「猫が必要以上に嫌われ者にならないように」という思いがある。
住宅の軒下などに並べられたペットボトル。「水を入れて置いておくと、猫が寄り付かない」と言われて広まった。だが、獣医師に聞くと、「明確な根拠はない」。愛玩動物飼育管理士の資格を持つ桐畑さんも「効果はない」との見解だ。では、猫を寄せ付けないのには、どんな方法が有効なのか? 薬品やわなを使うなどの対策は、虐待に問われる恐れもある。
「まずは身近にあって効果のあるものを猫の通り道や、被害を防ぎたい植物の近くにおいて試してみてほしい」と、桐畑さんは以下を紹介する。
・食用酢:スポンジや布に染み込ませて通路に置く。または、薄めたものを噴射する。
・米の研ぎ汁:研ぎ始めの濃い汁を散布する。
・かんきつ類:皮を置く。
・香辛料:コショウやカレー粉などをまく。
・コーヒー豆のかす:植木鉢などに入れて置く。地面にまく。土に混ぜる。消臭効果や害虫駆除の効果もある。
・重曹:地面にまく。土に混ぜる。消臭効果もある。
猫が嫌いな植物も有効だという。
「ガーデニングも兼ねて猫が嫌がる植物を植えたり、鉢植えを置いたりしてみてください。ハーブなら『ルー』。別名は『猫不寄(ねこよらず)』、タンジーも猫が嫌います。ゼラニウムもいいですよ」
ホームセンターやペットショップで市販されている忌避剤や猫の侵入防止器(ガーデンバリア)を使うという方法もある。侵入防止器を2週間無料で貸し出す金沢市など、猫対策に協力的な自治体も少なくない。購入前にレンタルしてくれる業者もあるので、インターネットなどで情報収集すると良いだろう。
さらに桐畑さんは「猫の嫌がり方には個体差がある。いろいろ試してみて、効果が薄れたら次の手を」と助言する。猫には学習能力があるので、猫よけ対策がいったん功を奏しても、続かないこともしばしば。さまざまな方法を試して「ここは嫌な場所」と猫が覚えてくれるまで続ける必要があるという。
桐畑さんは地元の獣医師などと連携し、飼い主のいない猫の去勢・避妊手術を支援してきた。「玉桜基金」という手術費用の助成金制度を設け、猫の繁殖を防ぐための啓発活動を行っている。自治会から要請を受けると会合などに出向いて講演し、捕獲から手術まで具体的に何をすればいいかを助言する。活動は年々成果を上げている。2016年度に金沢市内で焼却処分された猫は31匹で、これらはすべて病死や交通事故死したもの。健康な猫は殺処分をせずに済んでいる。
7月上旬にも小松市内で講演を行ったところ、「猫が増えすぎて困っている」という住民が相談に訪れた。中には猫がビニールハウスの上に上がって穴を開け、毎年数万円単位の被害が出ているという農業関係者もいた。「猫による被害を防ぐには、去勢・避妊手術が有効」と桐畑さん。猫を増やさない対策を講じることが必要だという。
「猫は本来、きれい好きでトイレのしつけがしやすい動物です。猫を許せるという方は、庭に猫の公衆トイレを作ってあげてください」
「公衆トイレ」は身近なものを活用してすぐにできる。庭の一角にブロックや園芸用の柵で囲ったスペースを設け、柔らかい土や砂を入れたり、プランターに砂を入れて置いていたりすれば、猫はそこでトイレをする習慣ができるらしい。猫に歩み寄ることで、ほかでの被害が減るはずだ。
(若林朋子)
【関連記事】
・猫と共存する秘訣! 人間も猫もストレスのない生活をめざそう
・野良猫の餌やりは悪なの?「禁止」条例が独り歩き、トラブルも
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。