猫のお腹にオモチャを置いて遊ぶ やさしい猫軍団と子どもたち

 猫のお腹に次々とオモチャを置く赤ちゃん。怒るどころか気持ちよさそうな顔でされるがままになる猫……。そんな画像がTwitter上で大きな反響を呼んだ。アップしたのは、3児の父「やしゅう」さん。イクメンである。心の広い猫たちに囲まれて子どもたちがのびのび育つ、やしゅう家の日常を覗いてみよう。

(末尾に写真特集があります)

猫のベビーシッター

 2012 年2 月、滋賀県に住む会社員のやしゅうさん夫妻に珠のような女の子・まーちゃんが生まれた。やしゅうさんは、長期育児休暇を取得して育児に専念することに。不慣れな育児に孤軍奮闘……となるはずだったが、強力な助っ人が現れた。結婚当時からの「先住」猫であるトロ(♂)とツナ(♀)である。2匹は、小さなまーちゃんに添い寝をし、遊びに付き合い、食事中は見守るように傍らに陣取り、一日中寄り添って過ごした。少々の粗相があっても反撃をせず、体にたくさんのオモチャを載せられてもトロはされるがまま。天性のベビーシッター猫であった。

ハル君の遊び相手になるトヨ。物を載せさせるのが嬉しいみたい
ハル君の遊び相手になるトヨ。物を載せさせるのが嬉しいみたい

 2015年4 月、今度は夫妻に長男のヒサ君が誕生する。

「初対面の時はトロもツナも腰が引けていましたが、ツナはその日のうちに添い寝するようになり、トロも1週間程度で一緒に寝るようになりました」と、やしゅうさんは振り返る。ヒサ君もまた2匹の猫に見守られながらすくすくと成長していった。

別れと出会い

 そんなほのぼのした日常が続くと思われた2017年5月、トロに病気が発覚する。腎リンパ腫。腎臓が肥大するほど進行していて、余命宣告も受けた。

 急激に痩せて元気がなくなっていくトロ。その様子を見て、長女のまーちゃんが変わった。「トロの体調が悪化するにつれて一気にお姉さんになっていきました。以前は娘の食事をトロが見守っていたのですが、身体が弱って自ら食事をとれなくなったトロにゴハンを食べさせてあげるようになったのです」

 しかも、3階の寝室に上がれなくなったトロがリビングで寝るようになると、一緒にリビングで寝るようになった。トロも頼もしく思ったのだろう。添い寝してもまーちゃんの上には絶対に乗らなかったのに、お腹の上で眠るようになったという。

「以前は娘を守ってあげていたトロが娘に守られようとする姿に、成長を感じることができました」

まーちゃん&ヒサ君と外を眺めるトヨ
まーちゃん&ヒサ君と外を眺めるトヨ

 赤ん坊の頃から愛情を注いできた子どもの成長を見届けて、心残りがなくなったのかもしれない。2ヶ月後の7 月14日、稀代のベビーシッターは家族に見守られながら虹の橋を渡った。まーちゃんは息を引き取る直前のトロにこんな言葉をかけた。「赤ちゃんの頃からずっと一緒にいて育ててくれてありがとう。楽しかったね」と。

 トロを見送ったやしゅう家。家族のお出迎え、箱に入る、後脚で立って「撫でて」とせがむ、子どもの食事に寄り添う……などといった、トロの習慣と役割をツナが引き継ぎ、家族を盛り上げていた。病気で食欲のない相棒の分もゴハンを食べていたため、脂肪もでっぷり蓄えて元気があり余っていたのかもしれない。やしゅうさんとツナが二人三脚の子育てに奮闘……と思いきや、今度は子猫が現れた。8月にトヨ(♂)、フィア(♂)が、10月にはライ(♂)がやってきたのだ。

楽しい仲間が次々と

 ツナは、やしゅうさんとともに2人の子どもと3匹の子猫の世話をすることになった。ツナは甲斐甲斐しく小さな後輩たちの面倒を見ていた。子猫同士の関係も良好で、じゃれて遊んでは疲れて寝て、仲よく大きくなっていった。冬には子どもの遊び相手としては申し分のないサイズ感に育つ。もちろん、子どもたちとも仲よしで、時にはヒサ君の顔を枕に眠ることもあった。

 そして2018年2月、次男のハル君が生まれた。退院して家にやってきた赤ちゃんに猫たちは興味津々。顔を寄せて様子を伺い、その日のうちにベビーベットで添い寝をしていたという。温厚なフィアは、率先してベビーベッドで寝てくれるし、トヨとライは守り神のようにハル君を見守る。上の2人が寝室に行く時は、ツナが必ず一緒だ。

まーちゃんがピアノの練習をしているとツナが膝の上に乗って甘える
まーちゃんがピアノの練習をしているとツナが膝の上に乗って甘える

 やしゅうさんは猫たちのことを「最初はお兄ちゃんお姉ちゃんだけど、成長するにつれて立場が逆転する不思議な家族」だと言う。実際、長女のまーちゃんはトヨに勉強の邪魔をされても平然と頭を撫でながら鉛筆を動かす、立派なお姉さんぶりを発揮している。遠からず、ヒサ君とハル君も猫たちから多くを学びながら、良きお兄ちゃんになるに違いない。

「言葉を話せない猫ですが、ちゃんと向き合っていれば感情も言いたいことも分かります。猫と接することによって相手の気持ちの分かる優しい子に育ってほしいと思います」とやしゅうさん。本誌が発売される頃には4人目が生まれる予定だ。やしゅうさん宅は、ますますにぎやかになるだろう。

(写真・やしゅう(Twitter:@FakeYashu) Text by Saito Minoru)

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