最初の猫の介護から学んだこと 楽しさを上回った悲しみ
くまおを迎える前、ロシアンブルー「みうさん」と15年間一緒に暮らしました。昔は完全に犬派だった私が、最初に暮らした猫です。子猫の時にブリーダーさんから迎えました。まだ、保護猫の存在も知らなかった頃のお話です。
猫について超ビギナーだった私は、みうさんの行動のひとつひとつに驚き、猫にも犬のようなしつけができると思っていました。そんな私の無知加減をみうさんはすぐに見破りました。その日からみうさんは私の師匠となりました。
主人のことが大好きで、主人の前ではとてもいい子。私には明らかな敵意をもって接する、とても賢く分かりやすい性格でした。
主人が入浴すると、私に本気で襲いかかり、シャワーをキュッと止める音が聞こえるとピタっとやめて、洗面所の前で「ずっと待ってました〜!」と“忠猫”を演じる演技派でした。みうさんは自分が本妻だと思っていたと思います(笑)。
そんなみうさんがある日、顔が腫れていることに気付き動物病院に連れて行きました。
「よくない病気の可能性もあります。ここからは時間が経つのが早いかもしれません」と獣医さんに言われ、顔の腫れの原因だった口内炎は日に日に悪化。みうさんの病名は「扁平上皮癌」でした。顔が徐々に壊死していく悪性の腫瘍です。
その頃、主人が大阪への転勤が決まり、みうさんの病状から長時間の移動は難しいだろうと判断し、単身赴任に。私とみうさん、1人と1匹の生活がはじまりました。
口の痛みからごはんを食べないみうさんに様々な食事を試して、模索しながらの強制給餌をはじめました。病気のみうさんは、痛いことをされているのに、常に私の隣に寄り添い、全てを委ねてくれるようになりました。
なるべく痛みをとってあげたくて、日々痛み止めをあげていました。でも、病院では治療方法はないので、「安楽死も選択のひとつ」と言われました。
何が正解なのか分からず、毎晩とても悩みました。それでも、ひとつ確かだったのは普段から自分の意志をハッキリと主張していたみうさんは「生きよう」としていました。その姿を見て、「彼女が生きたいと思う限り、やれることはやろう」と心を決めて、介護を続けることにしました。
昨日食べたものも翌日には受け付けなかったり、急に食べ始めて回復に向かっているように見えたり、一喜一憂の日々。流動食でも少しでも繊維のあるものは一切食べられなくなり、徐々に身体はふんわりと軽くなっていきます。
それらは生き物が「死」を迎えるまでの流れを私に教えてくれていたように感じます。
最後の3ヶ月のみうさんとの生活は、病気との辛い闘いでもありましたが、みうさんという猫の「命」と正面から向き合うとても尊い時間でもありました。
主人が大阪から東京に急いで戻って向かっていた日、みうさんは私の膝の上で数時間を過ごしたのち、大きく息を吸い、静かに旅立ちました。
主人が帰宅したのは、その1時間後でした。とてもプライドの高かったみうさん。「大好きな主人には最期の姿は見られたくなかったんだね」と主人と話しました。
みうさんが旅立ってから、私はみうさんと過ごした家には帰れなくなりました。みうさんとのつらい別れ時間ばかりを思い出し、大きな悲しいことが起こると、悲しみの記憶が楽しかった記憶に勝ってしまうものなのだと知りました。
みうさんを介護してともに過ごした時間、なぜもっと楽しまなかったのか? という大きな後悔を抱えたまま、その後、みうさんとは見た目も性格も「真逆」の猫「くまお」を迎えます。
次回は、くまおと暮らしてから「動物医療のグリーフケア」に出会ったお話をお伝えしたいと思います。
- 「グリーフケアを学んでペットロスに備える 幸せペットライフセミナー」
- 犬や猫と過ごす毎日の中のグリーフケア、ペットを病気にしない過ごし方、ペットロスを乗り越えるために必要な心構えなどを獣医師の阿部美奈子先生に学びます。
日時:12月9日(月)18時30分~20時30分
会場:朝日新聞東京本社(東京都中央区築地5-3-2)
定員:70名(※自由席、先着順)
締め切り:11月30日(土)(定員になり次第募集修了)
詳しくはこちらをご確認ください。
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