犬は犬らしく、猫は猫らしく 正常な行動と順応が幸せのカギ
古くから人と共生してきた犬や猫は、飼い主の家族の一員として互いに愛情を持って暮らすことができるすばらしい動物です。ただし人とは違う動物種であるため、彼らの習性を理解して飼育する必要があります。動物福祉の原則にもあるように、その動物種らしい行動がとれるよう配慮しなければ、彼らが本当の意味で幸せな状態とは言えません。
ところが近年、都市化が進むとともに、人のライフスタイルも大きく変化し、犬や猫が人間社会に順応することが難しい社会環境となっています。
同種動物との関わり合いや、獲物を追いかけるなどの捕食行動のような正常な行動をする機会が十分に与えられない犬や猫はフラストレーションが溜まり、攻撃行動や常同障害などの問題行動を起こしやすくなります。彼らにとって必要な生活環境や日課を、人にとって不都合でない形で提供することが大切です。
問題行動の予防には、脳が柔軟な発達期の教育が大切
また、いかに人と暮らしてきた歴史が長い犬や猫であっても、生まれつき人の家族の一員として暮らす準備ができているわけではありません。彼らの脳が柔軟な発達期に、人の家族として暮らす準備をする必要があります。適切な生活環境を与え、発達期に必要な教育を行うことで問題行動を予防し、双方が幸せに暮らすことができます。
犬や猫を教育するには、脳機能が柔軟な社会化期を含む成長期が望ましく、成犬成猫になってしまってからでは大きく変化させることは困難です。いわゆる問題行動も、その多くは成長期より少しずつ出始めています。問題行動を予防するとともに、出てきた問題は早期に発見して解決しておくことが大切です。
さらに重要なことは、子犬子猫期に飼い主と良い関係を築いておくことです。飼い主との間に親子のような絆が生まれれば、飼育放棄することはなくなり、不幸な動物を減らすことにもつながります。
犬は社会の一員として受け入れられることが不可欠
ペットを飼育する上で、飼い主さんに守っていただきたいのが、次の3つのルールです。
- 飼い主がペットとの生活を楽しんでいること
- ペットが幸せであること
- 周囲の人に迷惑をかけないこと
飼い主がペットとの生活を楽しむためには、問題行動の予防が重要ですが、そのためにもその動物種の正常行動を理解しておく必要があります。そしてその動物種にとって正常な行動を飼い主にとって不都合でない形でさせてあげることが、同時に問題行動の予防であり、彼らの幸せにもつながります。
また、外出する機会の多い犬は家族の素晴らしい一員であるばかりでなく、社会の一員としても歓迎される存在でなければなりません。周囲の人に迷惑をかけないどころか、周囲の人もハッピーにしてあげることができれば理想的です。
「しつけ」という言葉はなんとなく不適切な行動をやめさせるために行うイメージがありますが、「しつけ」は動物が人間社会に順応し、人間も動物も楽しく、幸せに生活していくために必要な教育です。
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