猫と犬を迎えて家族に変化 女子高校生は進路を考え直した
高校1年生の時、家で猫と犬を飼い始めた。女性は2匹と接するうちに、「動物にかかわる仕事がしたい」と、将来の夢が変わった。今は動物看護師とトリマーの資格を目指し、専門学校に通っている。
埼玉県内の小林さん宅を訪ねると、サーッと階段をあがる猫の後ろ姿が見えた。
「いま2階にいったのがオス猫の『みたらし』。近頃なぜか人見知りするんです。この子もかなり内弁慶だけど」
小林葉月さん(18)が、トイプードルの「モップ」(オス、2歳)の背をなでる。姉の寛子さん(32)と、母の美智子さんが「2匹とも甘えん坊よね」「でも両方とも可愛い」とニコニコしてうなずいた。
「モップは散歩にいっても、向こうから犬が来ると腰が引ける。親友が猫のみたらしなんですよ(笑)」
引っ越しを機に猫と犬を飼う
2匹を迎えたのは、葉月さんが高校1年の時だった。
「この家に3年前に引っ越してきたタイミングで、『猫が欲しい~』と希望しました。ちょうどボランティアをしている姉の知り合いの家に生後8カ月の子猫がいると聞いて、写真を見せてもらって一目ぼれしたんです」
実はみたらしは、ちょっとワケありの猫。保護され、いったん引き取られたが、ペットが飼えない家に“又譲渡”されたことが判明してボランティアが連れ戻した猫だった。小林さん一家はその事情を知ったうえで、「幸せにしたい」と迎え入れたのだ。
その2カ月後、モップがやって来た。
「たまたま母と出向いたペットショップで生後4カ月のモップと出会いました。売れ残ったみたいで、値段がすごく下がっていて……。姉にこんな子がいるとLINEをしたら『即決するな』『葉月止めろ』と返信が来た。でも結局、その日に家に連れて帰りました」
葉月さんは、姉に怒られるかとドキドキしたというが、姉の寛子さんは翌朝誰よりも早く起きて犬と遊び、命名もしたのだとか。厳しい言葉は、命への責任や、猫のみたらしとの相性を心配してのことだった。
家族みんなに変化
幸いにも2匹の相性は良かった。半年年長のみたらしは「兄っぽくふるまった」という。
「モップが何でもみたらしを真似たんです。寝そべり方なんかそっくりだし(笑)、おすわりも、ごはんの時にみたらしを見て学んでいた。猫と犬が仲良くする姿を見て、なーんて幸せな光景なんだろうと思いました」
2匹と暮らすうちに、家族に次々変化が起きた。
姉の寛子さんは販売業でストレスが多かったが、同僚から「性質が穏やかになった」と言われ、ひきこもり気味だった兄は、居間でみたらしの相手をしたり、モップと散歩に出かけるようになった。気がつけば、母の美智子さんも笑ってばかり……。
「まさにアニマルセラピーだ」と驚く葉月さんの心にも、大きな変化があった。
目指すは動物のプロ
葉月さんは小学校低学年からストリートダンスを習っていた。漠然とプロダンサーを目指し、大きなライブにも出ていた。
だが、2匹と接するうちに「動物関係の仕事がしたい」と思うようになり、今年4月、動物の専門学校に入った。
「周囲には自分より格段に踊りがうまい子がいたし……将来について迷っていた時に、みたらしとモップに出会い、心が決まった感じです。方向転換に家族も驚いていたけど、地道に動物看護師やトリマーを目指します」
授業で覚えたしつけなどは、すぐに家で実践できる。だから、みたらしやモップは家族の中で最年少の葉月さんの言うことを一番聞くのだそうだ。
「いろいろ勉強したい」と葉月さんが目を輝かせていると、“がんばれよー”というように、みたらしが2階で威勢よく鳴いた。
(撮影=小林郁人)
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