真夏に段ボール箱で捨てられた猫 臆病だけど、次第に心を開く

家に慣れてきたミーちゃん
家に慣れてきたミーちゃん

 住宅と住宅の間、段ボール箱で捨てられていた猫がいた。推定1歳。臆病だった猫は、新しい家で次第に心を開いていった。

(末尾に写真特集があります)

段ボールで捨てられた猫

 大阪府内のある住宅街。家と家の間に、一人の男性が段ボールに入れた猫を捨てる様子が目撃された。酷暑が続いた2018年8月のこと。住民が気付き、猫の保護活動をしている「瓜破(うりわり)猫の会」に連絡した。

 瓜破猫の会の井田さんが、捕獲器を持って現地に行くと、猫は1歳くらいのメスと3カ月くらいの子猫だったという。逃げることなく、すり寄ってきたので、そのまま保護。いったんボランティアさん宅で預かり、その後、不妊手術に連れて行った。推定1歳のメス猫は妊娠しており、その場で堕胎された。TNR(野良猫を捕獲し、不妊手術をした後に元いた場所に返す)活動などで、野良猫に不妊手術を行う場合、お腹を開いた時に妊娠していることが分かれば、堕胎することが多いという。

緊張で固まっています
緊張で固まっています

保護猫サイトでの出会い

 大阪府に住む田中さんは、猫を飼いたいと思い、ペットショップを巡っていた。そんな頃、たまたま知り合いから、保護猫サイトの存在を教えられた。

 田中さんはいろいろ調べて、あるサイトでミーちゃんを見つけた。段ボール箱で捨てられた1歳くらいのメス猫だった。

「特に猫の種類とかを決めていたわけではないのですが、『この子だ!』と思いました。地味な感じの子で、でも、私はその子に惹かれました」

 田中さんは相性を確認するため、10月初旬、その猫に会ってみたという。

「当日、2匹目の猫とも会う約束をしていたのですが、その猫が気に入って、キャンセルしたんです。翌日には井田さんに連絡して、トライアルに入りました」

1カ月のトライアル無事終了

 田中さんは猫を飼うのが初めてだった。トライアル(お試し)期間は通常1週間ほどだが、あえて1カ月に長くしてもらったという。

 家に来た当初は、隠れて姿を見せないだけでなく、3日間は飲まず食わずだった。井田さんに相談すると、最初はそういうこともよくあるとのことだったので、様子を見ていると、3日目くらいにはご飯を食べ始めた。さらに1週間後には慣れてきたようで、ホッと一安心。トライアルを無事終了し、晴れて猫は「田中ミーちゃん」になった。

 遊びだすと激しい動きをすることもあるが、特に困ることはなかったという。ボールを追いかけたり、ビニール袋を使ったりして自分で遊ぶ。人と遊ぶよりも楽しそうだという。家に知らない人が来ると相変わらず隠れてしまうが、家族には心を開き、すっかり一員になっている。

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この連載について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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