屋根裏で産まれた子猫 子猫を失ったばかりの家族のもとへ

 屋根裏で産まれたばかりの子猫が保護された。サイトで募集すると譲渡希望が100件以上寄せられた。一番人気の子猫を迎えたのは、直前に子猫を失った家族だった。

(末尾に写真特集があります)

 大阪府内にある住宅の屋根裏で、野良猫が5匹の子猫を出産した。2016年春のことだった。小さな隙間からすっと入ってしまったのだろう。人も来ることも、動物に襲われる心配もない屋根裏は、猫の親子が暮らすには格好の場所。それでも子猫が成長すると、さすがに家人が気づき、保護団体「ワンハート大阪」に保護を依頼した。

 保護当時、子猫は推定生後2カ月、体重は500グラムほどあったという。母猫はTNR(不妊手術をして放つ)をしたそうだ。

 子猫たちは茶トラと茶トラに白が多く混ざっていた。ワンハート大阪のブログや譲渡サイトで引き取り手の募集がかけられた。愛くるしい5匹の子猫には、譲渡サイトだけで100件以上の応募があったという。

保護された子猫時代。一番右がタケノコ
保護された子猫時代。一番右がタケノコ

生後2カ月の子猫を失って

 大阪府内に住む小田原さんは、実家でずっと保護犬を飼っており、夫は幼い頃から猫を拾ったりもらったりして計4匹飼っていた猫好きだ。

 小田原夫妻は以前、保護された子猫を引き取って飼っていた。ところが2016年4月ごろ、コロナウイルスに感染し、生後2カ月で旅立ってしまったのだという。譲渡からわずか1カ月半しか一緒に暮らせなかった。

「感染は家に来たことが理由かもしれない。悲しくて、次の子を迎えたい気持ちもありましたが、何をきっかけに発症するか分からないので怖くて、なかなか踏ん切りがつきませんでした」

 しかし、娘が屋根裏で産まれた子猫「タケノコ」を譲渡サイトで見つけのをきっかけに、応募してみることにしたという。思いのたけをメールに書いて応募したのが功を奏したのか、5匹のうち一番人気があったタケノコは小田原家に譲渡された。

抱っこされてうっとり~
抱っこされてうっとり~

ひ弱な子猫も元気に成長

 2016年5月末、小田原家に子猫がやってきた。タケノコ改め、「幸村(ゆきむら)」と命名した。夫が大河ドラマのファンで、真田幸村にちなんで付けたそうだ。

「前の猫のことがあったので、病気をしないかが一番心配でした。最初の1~2週間は、吐いたり下痢をしたりで食欲もなく、体重が1キロを切ってしまったんです。それでも薬が合ったのか、体調は回復して、その後は元気に育ち、2歳半になりました」

 ワンハート大阪は、不安なことや分からないことがあると丁寧に教えてくれる。爪の切り方や目薬のさし方も教わった。その後、幸村くんの仲間にと、2匹目の保護猫を譲渡してもらい、にぎやかに暮らしている。

渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この連載について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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