ボランティアで「リアル猫ヘッド」に挑戦! ちよだ猫まつり

 こんにちは。sippoのライターの浅野です。去る2月16日(土)・17日(日)、東京都千代田区で「ちよだ猫まつり」が開催されました。二日間、そのボランティアスタッフとして参加してきましたので、そのリポートをお届けします。

(末尾に写真特集があります)

譲渡会の様子。猫たちを刺激しないよう、誰もが声を潜めて優しく接している姿が印象的だった
譲渡会の様子。猫たちを刺激しないよう、誰もが声を潜めて優しく接している姿が印象的だった

どんなお祭り?

 今年で4回目となる「ちよだ猫まつり」は自治体である千代田区とボランティア団体「一般財団法人ちよだニャンとなる会」の共催イベント。昨年は2日間で約14000人が訪れ、今年は18000人といいますから、回を重ねるごとに人気が高まっているのがわかります。

 イベントの内容は大きく分けると4つ。

  1. 1.協賛企業や公式グッズ販売、そして猫雑貨の作家さん達による販売ブース(ニャンダフルマーケット)
  2. 2.中央ステージでのトークショー(※)やライブ、落語などのステージプログラム
    ※ボランティアによる保護活動の説明や、獣医による猫とのふれあい教室、行政書士による「飼い主にもしものことがあったときの猫の世話」についてのセミナーなどもりだくさん!
  3. 3.子どもたちを対象にしたワークショップ(ぬりえやお面づくりなど)
  4. 4.飼い主のいない猫たちの「譲渡会」です。

「リアル猫ヘッドアートプロジェクト」。右のジャンパーの男性がアーティストの佐藤法雪さん 撮影:内山美枝子
「リアル猫ヘッドアートプロジェクト」。右のジャンパーの男性がアーティストの佐藤法雪さん 撮影:内山美枝子

担当したのは「リアル猫ヘッド」!

 羊毛フエルトによるアートって、ご存知ですか? 様々な色の羊の毛を使って、リアルに動物を形作る造形アートです。その第一人者、佐藤法雪さんによるリアルな猫になれる作品が「リアル猫ヘッド」。佐藤さんの作品は見た目もサイズもリアルな猫そのもの。そして「リアル猫ヘッド」とは、人間が頭にすっぽりとかぶれるサイズの猫の頭!これをかぶれば誰でも猫になれてしまうというアートです。

 今回は茶トラ猫と白黒ハチワレの2種類が用意され、各日とも先着30名の方にかぶってもらい、写真を撮って楽しんでもらうイベントを実施しました。私が2日間担当したのは、整理券を配布し、猫になり切って楽しむ方々の撮影のお手伝いをするというもの。

 今年で3回目となる「リアル猫ヘッド」は、毎回楽しみにしている方がいるぐらいの人気ぶりで受付開始前から行列がずらり。申込書に記入しておひとり500円をお支払いいただきます。撮影中は皆さんのスマホやデジカメをお借りして、私がパシャパシャとシャッターを切りまくります。

 撮影をお手伝いしていてなんとも興味深かったのは、みなさんのポーズ! 中にはどんなことをしようか準備してくる方もいて、自分で帽子などの小道具を用意して来る人も。

 カップルで猫になって、仲睦まじく手をつないだり、ハグしたり。猫ヘッドをかぶらなかったら絶対に人前ではやらないだろうなというポーズも、まるで絵本のワンシーンのようにラブリー。見ている方もニコニコと見守っています。

 そして一番の発見は、猫ヘッドを脱ぐ瞬間の人の顔!

 羊毛製だし、汗やメイクがつかないようにフェイスカバーをかぶってもらいますので、冬とはいえ多少は汗をかきます。

 みなさん、猫ヘッドをぬぐとお顔が少し上気していますが、脱いだ瞬間に満面の笑みの人もいれば、一瞬で我に返って、照れくさそうな顔になる人も。

 それでも誰もが「猫になった自分」をカメラに収め「ありがとう」の声と笑顔を投げかけてくださいました。

開場前の準備中。試しにかぶってみたところ。こんなオバさんでも可愛くなれるからすごい
開場前の準備中。試しにかぶってみたところ。こんなオバさんでも可愛くなれるからすごい

私も猫になってみた!

 ミッションはもうひとつ。参加者の体験用とは別に、猫ヘッドが用意されていました。初日にはプロのパフォーマーの方(男性)がそれをかぶって会場を練り歩き、募金をお願いしたのですが、二日目はパフォーマーさんの都合がつかず、私がやってみることに!

 初日は一日中、プロの身のこなしをじっくり観察。声を発することなく、身振りだけで感情を表現します。子どもたちと握手をし、募金してくださった方には丁寧に頭を下げる。さすがプロ、美しい身のこなしはさながらアニメ「猫の恩返し」のバロンです。会場のあちこちで写真を撮られ、一緒に撮ってほしいとせがまれ……そのたびに私がスマホを預かって撮影しました。1日に一体いくつのスマホのシャッターを切ったでしょう!

 そしていよいよ2日目。物陰で猫ヘッドをかぶり、会場へと出てゆきました。

 すると!

 一斉に、人々の視線がこちらに注がれます。老いも若きも私をみて口々に「可愛い!」「すごい!」

 うわぁぁぁ!

 あちこちからスマホが向けられます。こんなに注目されたことなんて、まして「可愛い」だなんて、幼稚園以来かも。ほぼ50年ぶりじゃなかろうか。

 でも、それは「猫」に向けられたもの。私にではありません。そう考えると、心の中で何かのスイッチがパチッと入りました。

 プロの見よう見まねですが、スカートのすそをつまんで、丁寧にお辞儀してみました。小さな子とハイタッチしたり、握手したり。そのたびにみんなが笑顔になります。ステージから流れてくるライブの音楽に合わせて、思い切り踊ってみました。すると私の踊りに気づいた人たちが、笑いながら一緒になって踊りだしたのです!

 一曲終わると、みんな「ありがとう!」と言いながら、また募金箱へ。

 手にしたアクリルの募金箱は、4時間で3回も交換せねばならないほど、ずっしりと一杯になりました。

 楽しいハプニングもありました。会場に私の友達が来たのです。中に入っているのが私だとはまるで気づかず、「一緒に写真撮ってもらってもいいですか?」とニコニコと並ぶ友人。内心びっくりしながらも、私もおかしくてたまりません。隣に並んだ瞬間、ぼそっと彼女のニックネームを呼んでみました。その時の彼女の顔ったら!

 猫が私だと気づいた瞬間、今度は驚きが爆発的な笑顔に変わりました。

 そうして猫になって会場を歩いていると、いろんなことが見えてきました。

「大丈夫?苦しくない?がんばってね」と、肩とたたきながら募金箱にお金を入れてくださった方。
「あなた、うちにいた子にそっくりよ!」と涙をうかべて握手してくださった方。
「来月、うちにも猫が来ることになったのよ!」と嬉しそうに話してくださった方。

 そして思わず涙が出そうになったのが、5歳ぐらいの男の子。
 しゃがんで握手をしたら、じっと私の顔を見て「猫さんが幸せになるためのイベントなんだってママが言ってた。猫さんは、幸せ?」
 あああ。なんて純粋な……。

 私が素顔のままで募金箱を持って突っ立っていても、こんなにみなさん、話しかけてはくださらなかったでしょう。猫の力ってすごい。こんなにたくさんの人が猫を思い、猫のおかげで笑顔になってる。早く帰って、うちの子たちに会いたくなりました。

特設ステージに石川雅己千代田区長と小池百合子東京都知事。「千代田区の殺処分ゼロ8年目はすばらしい! 東京都も、犬は殺処分ゼロになっている。猫も来年にはゼロに」と小池都知事がスピーチ 撮影:内山美枝子
特設ステージに石川雅己千代田区長と小池百合子東京都知事。「千代田区の殺処分ゼロ8年目はすばらしい! 東京都も、犬は殺処分ゼロになっている。猫も来年にはゼロに」と小池都知事がスピーチ 撮影:内山美枝子

誰もができることをすればいい

 イベントに初参加でボランティアなんて、役に立てるかな?

 申し込んだ時点では、そう思いました。そこでまず、事前のオリエンテーションに参加。そして当日を迎えたわけですが、一連の活動を通して、ボランティアイベントの意義や自分のポジションについて、考えるよいきっかけになりました。

 千代田区は、2011年からずっと、猫の殺処分ゼロを達成し続けています。その背景には、区とボランティアのたゆまぬ努力があります。そんな官民一体の活動がどんどん広がり、このイベントの盛況ぶりにつながっているというわけです。

 ちよだニャンとなる会のホームページ(https://www.chiyoda-nyan.org/)を見ても、ちよだ猫まつりの公式サイトを見ても、実に整然と、よくできたウェブページです。

 聞けば、会の中心となっているのはIT関連、編集者・ライター、テーマパークでのキャリア経験のある人など。そのほかにも区内の永田町や霞が関、丸の内で行政や企業の方など、さまざまな方が参加しているのです。誰もが何かしらのプロであり、それぞれが知恵と力を出し合って作り上げているのですから、それは完成度が高いはずです。

 そんな「何かのプロ」の長年の試行錯誤の上に、このイベントは成り立っています。

 私のような「突然思い立って、当日だけお手伝いするボランティア」は、いったいどう参加したらよいのでしょう。

 私のような人間には、彼らのこれまでの蓄積はうかがい知れません。でも「どんなことにも意味があり、そこに至るいきさつがある。それを全部共有する時間はないけれど、純然たる労働力として、今日、できることをしよう」

 そういう協力の仕方もあるのだと、今回の経験で知りました。

 譲渡会の会場では、少し前まで獣医師によるセミナーを真剣に聞いていた人たちが、静かに猫たちをみつめていました。猫に優しい声をかける人、預かりボランティアさんの説明に熱心に耳を傾ける人。誰もが猫のことを学び、買い物や音楽を楽しみ、笑顔で帰っていった二日間。楽しんで参加するのも、立派なボランティアなんですね。

 また来年が、楽しみです。

浅野裕見子
フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子供のころからの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹とヒト科の夫と暮らしている。AERAや週刊朝日、NyAERAなどに執筆中。

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