猫が登場しない新作映画 少し寂しい撮影の日々

癒やし中のチャッピー
癒やし中のチャッピー

 新作映画の撮影中です。

 日本映画界のレジェンド・吉永小百合さんと演劇界の至宝・天海祐希さん。最高の出演者を得て、今取り組んでいるのは、「最高の人生の見つけ方」。末期癌(がん)と告げられた女性2人の人生の行く末を見つめます。

「幸せと、上手(うま)く生きられなかったという思いは、いつだって隣り合わせではないのか? いや、後悔ばかりが胸に膨らんでくる。死を前に、そんな思いにかられた、普通の主婦と大成功した実業家。まるっきり違う生き方をしてきた2人の女性が旅に出ます。自分の人生にまるごと『YES』と言うために」

 製作発表時の私のコメントです。そして、この、「遠い目をした猫」を読んでくださっている方々に報告です。とうとう、今回の作品には、猫は出ません。

 思えば、宮沢りえさんとやった連続ドラマ「グーグーだって猫である2」、沢尻エリカさんとやった映画「猫は抱くもの」、星野源さんとやった映画「引っ越し大名!」。みんな、重要な役で猫が登場します。その連続記録は絶えます。

 今回、シナリオ開発をしていて、微塵(みじん)も猫の出番が思いつきませんでした。なぜだろうと考えてみたのですが、やはり、作品の向かう方向が自然世界に向かわない、その先のスピリチュアルな世界に至らないから? 私は今まで、猫を異世界の入り口として扱うことが多かった。その世界に向かい、帰還するきっかけは、いつも猫でした。

 そして、主人公が猫を必要としない、自問自答できる人たちだからでしょうか? 猫に話しかけ、思いをかけ、そのことで返ってくるものを欲しない。もしくは、その効用に気づいていない人たちだからでしょうか? 私自身は、普段、側(そば)にいる猫たちに、語りかけることで多くを得ている気がします。

 猫に関する打ち合わせもなく、猫オーディションもなく。少し寂しい日々。

 ですので、今回は、家に帰り癒やされ中の写真です。チャッピー、いつもありがとう。

犬童一心
1960年東京生まれ。映画監督。主な監督作品に「金魚の一生」「二人が喋ってる。」「金髪の草原」「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」「のぼうの城」など

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この特集について
遠い目をした猫
「グーグーだって猫である」などを撮った映画監督で、愛猫家の犬童一心さんがつづる猫にまつわるコラムです。
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