犬猫の変形性関節症 予防が大切、理想的な体重の維持を

体重を管理して関節に必要以上の負荷をかけない
体重を管理して関節に必要以上の負荷をかけない

:もうすぐ11歳になる雌猫と暮らしています。高齢になると変形性関節症にかかる可能性が高まると聞きました。予防に粉末状のサプリメントをあげようとしましたが、嫌がって食べません。(滋賀県・男性)

:放っておくと悪循環、体重管理が大切

 変形性関節症は、四肢の関節に、必要以上の力が長期間にわたって加わることで発生します。主に高齢になると発症し、どちらかと言えば犬に多い病気です。

 関節が変形して凹凸ができ、歩くと痛みが生じます。重症化すると脚を引きずるようになり、犬では散歩や階段の上り下りを嫌がったり、猫では高いところに飛び乗ることをしなくなったりします。関節を動かさないとさらに変形が進むので、放っておくと悪循環に陥ってしまいます。

 気になる症状が見られたら動物病院に連れて行き、X線検査を受けてください。症状の進行の程度によりますが、これまでの運動方法を改めたり、体重制限を行ったりすることになります。痛みが強いようであれば、非ステロイド性抗炎症剤を投与します。

 予防も重要で、最も効果的なのは治療の際と同じく体重制限です。それぞれの犬種、猫種の理想的な体重を維持してあげ、関節に必要以上の負荷をかけないようにすることが大切です。また、屋内の床を、犬や猫がすべりにくい素材にすることも予防になります。かかりつけの獣医師がサプリメントを勧めるようであれば、粉末以外に錠剤もあるはずなので、試してみてください。

 なお、前十字靱帯(じんたい)断裂などほかの疾患が原因になって発症するケースもあります。この場合、関節への負担を軽減しつつ、元々の原因になっている疾患の治療に努めることになります。

山根義久
1943年生まれ。動物臨床医学研究所理事長、倉吉動物医療センター・米子動物医療センター 会長、東京農工大学名誉教授。医学博士、 獣医学博士。2013年まで日本獣医師会会長を務めた。

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この連載について
診察室から
動物臨床医学研究所の理事長を務める山根義久獣医師が、ペットの病気に関する質問にわかりやすく答え、解説するコラムです。
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