猫のしぐさから気持ちを読む しっぽ、表情、体勢で感情を表現

しっぽを上げているときは機嫌がいい
しっぽを上げているときは機嫌がいい

 人間の言葉を話すことのできない猫の気持ちを知るためには、しっぽや表情、体勢に表れる感情を読み解く必要があります。ここでは、しっぽ、表情、体勢それぞれに表れる、感情表現のチェックポイントをご紹介します。これらを総合させることで、「猫が何を思っているのか」を知るヒントにしましょう。

「しっぽ」から読み解く猫の気持ち

 ネコ科の動物はしっぽを垂直に立てたり、しっぽの皮膚からにおいが出ているのを利用したりして、いっしょに歩く仲間や子どもを誘導する際に使っています。ライオン、トラ、ヒョウのしっぽの先の色が違うのもそのためです。

 また、バランス感覚を保つためにもしっぽは重要な役割を担っています。このように、いろいろな機能を持つしっぽですが、自分の感情を周囲に伝えるためにも大切なパーツとなっているのです。

■うれしいときのしっぽの様子
 猫が、ピンと上にしっぽを上げているときは、「機嫌がいい」サインです。さらに、しっぽを上げたまま上のほうだけを曲げていたら、「遊んでほしい!」という気持ちですから、ぜひ猫との時間を作ってあげてください。また、しっぽを立てたまま震わせるのは「うれしい」サインです。
 猫がしっぽをまっすぐ上に立てているときは、ポジティブな気持ちであると受け取っていいでしょう。飼い主が帰ってきたとき、出迎えてくれた猫がしっぽをピンと立てていたら、帰宅を喜んでくれているということです。

■不愉快なときのしっぽの様子
 いら立ちや怒りといったネガティブな感情も、しっぽから読み取ることができます。「怒っているときに猫のしっぽが大きく膨らむ」というのは、多くの方が知っている「しっぽの感情表現」でしょう。
 これ以外にも、床にたたきつけるように激しくしっぽを振ったりする「イライラのサイン」や、しっぽを体に巻き付けるようにする「警戒」など、猫のしっぽに表れるネガティブサインにはさまざまなものがあります。
 また、しっぽを足のあいだに隠すようにするのは「おびえ」のサインで、何かに怖がっている状態です。

■ポジティブでもネガティブでもないときのしっぽ
 平常心のとき、猫のしっぽはぶらんと自然に垂れています。猫がしっぽを振ったり、上げたりすることなく自然に垂らしているときは、フラットな状態であるといえるでしょう。

「表情」から読み解く猫の気持ち

 人間は、うれしいときは目を細めて口角を上げますし、怒っているときは目を吊り上げて、口元をヘの字にします。悲しいときは泣き、楽しいときは歯を見せて笑うでしょう。

 猫も、これほど顕著ではないものの、毎日の暮らしの中でさまざまな表情を見せます。実は、猫は人やサルなどに次いで表情筋の多い生き物なのです。

 猫の様子を観察するときは、つい目に意識が向いてしまいがちです。しかし、猫の気持ちは目だけでなく、耳やヒゲ、口元などの様子が、感情を知る手掛かりになりますから、それぞれの部位の様子を確かめるようにしましょう。

■耳は大きな手掛かり
 耳は、猫の感情を知る大きな手掛かりになる部分です。普段、猫の耳は正面を向いていますが、攻撃的な気持ちになると、だんだんと横を向きます。反対に、「怖い」「防御しなくては」という気持ちのときは、だんだんと耳が下がっていきます。つまり、耳が立ったまま横を向いているときは「攻撃的」、横を向いているけれど下がっているというときは、「攻撃的であり、怖い」と感じていることがわかります。

■牙が見えたら怒っている証拠
 猫は、激しく怒っているときに鼻にしわを寄せ、牙をむき出しにすることがあります。これは、たとえ猫の表情に詳しくなくても、「怒っているんだな」とわかるものです。
 牙が見えているということは、それだけで相手に攻撃的な気持ちを伝えることができる行為なのです。

猫は体勢でも感情を表現
猫は体勢でも感情を表現

「体勢」から読み解く猫の気持ち

 猫が体勢で感情を表す。つまり、視覚的なコミュニケーションをとろうとするのは、ほとんどの場合、自分以外の生物に出会ったときです。

 それでは、生物を察知してからの猫の体勢について、順を追ってご紹介します。

1. 見知らぬ物の気配を察知
 見知らぬ物の気配を察知した猫は、すぐに走り出せるように腰を低くして、緊張状態になります。そして、「相手が近くにいる」と思うと、頭を下げて注意深く様子をうかがうのです。このとき、くまなく音や気配を察知するために、耳はピンと立ち上がります。

2. 相手が姿を現したとき
 いよいよ相手が姿を現したとき、その相手が「実は知っている人だった」というときは、「なあんだ」と緊張を解くことになります。しかし、「やっぱり知らない相手だった!」というときは、相手に対してどのような態度に出るべきか、全身を緊張させながら判別することになるでしょう。

3. 知らない相手と戦うのか戦わないのか
 相手が姿を現したとき、サッと目を反らすというのは「戦うつもりはありません」という意思表示です。相手も同じ態度を見せてくれれば、猫は警戒を解いて落ち着くはずです。しかし、相手のほうがやる気満々だったとしたら、背中を高く丸めて横を向き、「逃げることも、攻撃することもできる」という態度をとります。
 その体勢のままジャンプする猫の様子などが時折見られますが、これは極限の緊張によるものなのです。

 猫はしっぽ、表情、体勢など、体いっぱいで感情を表現しています。感情を理解し、そこに寄り添って接してあげるのが、愛される飼い主への近道でしょう。

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監修:今泉忠明
動物学者。日本動物科学研究所所長。1944年、東京都生まれ。上野動物園の動物解説員、「ねこの博物館」館長などをへて、現在は奥多摩や富士山の自然調査に取り組んでいる。監修に『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(高橋書店)など、ほか著書多数。

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