首をかしげる、体を舐める… 猫らしいしぐさも病気のサインかも
猫が日常的にする行動やしぐさも、頻度が高くなると、病気のサインである可能性が出てきます。もし、「最近○○しすぎかも?」と思ったら、動物病院へ行く必要があるかもしれません。ここでは、普段どおりの行動に潜む「病気のサイン」についてご紹介します。
首をかしげる
猫が首をかしげるしぐさはかわいいものですが、あまりに長時間かしげ続けている場合、または、首がまっすぐになることがほとんどない場合は、病気の可能性があります。
考えられる原因
首をかしげ続けた場合、神経や脳に異常が起こっている可能性があります。目をよく見て、片方の瞳孔だけが縮小する「縮瞳」が起こっていないか、確認してみてください。
そのほか、内耳炎など、耳の中の「内耳」の障害によって首が傾いている可能性も考えられます。
対応
脳や内耳に異常が見られる場合、診察のために全身麻酔をかけて、CTやMRIなどの検査をしなければいけない可能性もあります。猫の病気は人間に比べて進行が速いため、手遅れになることがないように、早めの通院を意識しておくことが大切です。
頭を振り続ける
猫がしきりに頭を振っている場合、「耳の中がかゆい」と考えられます。強く頭を振ったり、耳をかいたりしているときは、耳の中に異常がないかチェックしてみてください。
考えられる原因
もしも、耳あかが見つかったら、猫の耳あかを食べる「ミミヒゼンダニ」がいる可能性が考えられます。
対応
ミミヒゼンダニがいた場合、動物病院に行けば、駆除してくれます。自分で耳掃除をするだけでは駆除できませんから、必ず動物病院へ連れていきましょう。
また、外耳炎になっていることも考えられます。外耳炎は、悪化すると内耳にまで進行していってしまいます。早期の治療を心がけましょう。
体を激しく舐める
猫が体を舐めるのは、「グルーミング」と呼ばれるごく一般的な行為です。とはいえ、毛が抜けてしまうほど激しく舐めるときは、病気のサインかもしれません。
考えられる原因と対応1
猫が体を繰り返し舐める原因の多くは、強いかゆみです。カビによって皮膚にかさぶたができる皮膚糸状菌症や、アレルギー性皮膚炎、ノミ、マダニなどが、かゆみを引き起こす原因となります。皮膚糸状菌症は人間にも感染しますし、ノミやマダニも人間にとって有害です。家庭内に被害が拡大してしまう前に、駆除しましょう。
考えられる原因と対応2
痛みが舐める行為を引き起こしている可能性もあります。歩き方やトイレの回数に変化が見られた場合、関節炎や膀胱炎によって体に痛みが起こったことで、舐めているのかもしれません。この場合も、適切な治療をすることで症状を改善させられます。
考えられる原因と対応3
身体的トラブルではなく、ストレスから体を舐めるケースもあります。猫は環境の変化に敏感です。新しい猫を迎えた後や、引越しの直後から頻繁に体を舐め始めた場合は、ストレスが原因になっているかもしれません。最近の出来事を振り返り、ストレスを取り除いてあげましょう。
週に数回、吐く
毛玉を吐くのも、猫によく見られる行動です。そのため、猫が吐いたとしても、それほど重大視しない飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、週に2回以上吐いたり、吐くことで体重が減っていったりする場合は、病気が原因の可能性があります。
考えられる原因
原因で考えられるものは、腎臓病や肝臓病、膵炎、他にも消化器の病気や寄生虫、代謝異常の病気などです。
対応
動物病院へ行くときは、できれば吐いた物を持っていくようにしてください。また、吐く前後の様子や吐いた回数、いつごろから吐くようになったのかを記録しておくことも大切です。吐く前におなかが動くか、それとも突然吐くかといったことが、原因の特定に役立つのです。
また、すぐに動物病院に行けない場合は、写真を撮っておくと診察の参考になります。
水を飲みすぎる
猫は、一般的に水をあまり飲まないことで知られています。そのせいで病気になってしまうこともあり、水を飲まないというのは大きな問題です。しかし、「水を飲まないトラブル」とは反対に、「飲みすぎている(多飲)」も注意が必要です。
考えられる原因
多飲とともに体重が減っているときや、体重1キロあたり5ミリリットル以上飲んでいるとき、これまでの2倍以上の水を飲んでいるときは、腎臓病や甲状腺機能亢進症、糖尿病などの疑いがあります。
対応
いつごろから多く飲み始めたのか、食欲はあるのか、体重に変化はあるかなど、状況をまとめてから動物病院へ行きましょう。
口臭がきつい
毎日歯を磨く人間とは違い、猫は自分でこまめに歯磨きをするということがありません。そのため、「猫にある程度の口臭があるのは当たり前だ」と考えてしまう飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、猫の口臭は、病気が原因で起こっていることもあります。猫の口の中は、意識してなければ、なかなか確認するのが難しい箇所です。少しの異変も見逃さず、様子がおかしいと感じたらすぐに状態をチェックしましょう。
考えられる原因
口内炎が原因で口臭が起こっている場合、口の中が痛むことから、食欲が落ちる可能性があります。このように、口臭以外にも症状が起きていないかを確かめてみるとよいでしょう。
また、口の中のトラブルだけでなく、腎臓病などの内臓トラブルから口臭が起こることもあります。老廃物を体外へ排出する役割を担う腎臓が病気になると、老廃物が体に溜まって悪臭の原因となるのです。
対応
口の中のトラブルを防ぐためには、子猫のうちから歯磨きの習慣をつけたり、定期健診で口の中や歯の様子を診てもらったりするのがおすすめです。
とはいえ、嫌がる猫を押さえつけて無理矢理歯磨きをすると、余計に苦手になってしまう可能性もあります。小さいうちから少しずつ慣らすのがベストですが、猫のためにも無理はしないようにしてください。
監修:服部幸
発行:洋泉社
価格:1500円+税
A5、160ページ
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。