猫の慢性腎臓病 食事療法は獣医師の処方が大原則

療法食は獣医師の診察を受けながら与える
療法食は獣医師の診察を受けながら与える

Q:飼っていた雌猫が、腎臓を悪くした末に20歳で亡くなりました。死ぬまで半年以上の間、慢性腎臓病に対応する市販の療法食などを与えていました。食事療法の注意点を教えてください。(宮崎県・女性)

A:獣医師の処方で量や頻度守って

 慢性腎臓病は猫でよく見られます。この病気になると、症状を緩和し、腎臓への負担を減らすための治療を行うことになります。

 食欲があって大きな異常が見られなければ、多くのケースで、食事療法が採用されます。与えるフードは、腎臓に負担がかからないよう、一般的に低たんぱくで、ナトリウムとリンの含有量をなるべく減らした療法食になります。

 このように療法食は、病気ごとに特定の栄養を与える目的で作られています。当然、栄養バランスは偏っているので、獣医師が処方したものを、決められた量や頻度を守って与えることが大原則。やめるタイミングも、獣医師が診察のうえで判断します。

 最近はネット通販などで安く療法食を購入し、そのパッケージに書かれている注意事項を読んだだけで、与えてしまう飼い主がいます。でも、栄養バランスが偏っているということは、本来必要な栄養素が取れないことを意味します。飼い主が自分の判断で療法食を与え続ければ、別の何らかの病気を発症し、場合によっては寿命を縮めることになりかねないのです。

 療法食は高価なものが多いので、気持ちは分からなくもありません。しかし絶対に、獣医師の診察を受けながら与えるようにしてください。

 なお猫の慢性腎臓病については近年、効果が期待できる内服薬も出てきました。かかりつけの獣医師に相談してみましょう。

山根義久
1943年生まれ。動物臨床医学研究所理事長、倉吉動物医療センター・米子動物医療センター 会長、東京農工大学名誉教授。医学博士、 獣医学博士。2013年まで日本獣医師会会長を務めた。

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この連載について
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動物臨床医学研究所の理事長を務める山根義久獣医師が、ペットの病気に関する質問にわかりやすく答え、解説するコラムです。
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