猫を飼うのにかかる費用は? 治療は全額負担、保険も考えて

 猫を飼うのには、どのくらい費用がかかるのでしょうか? 毎日必要なキャットフード代や猫砂代から、病気になったときの医療費やワクチン代、猫のベッドやキャットタワー代……など、猫を飼うためにかかるお金は多種多様です。猫を飼うにはいくら必要なのか、病気になったときのためにペット保険に入るべきか。ここでは猫と暮らすためのお金についてご説明します。

生涯で平均90万円以上

 東京都の調査によると、猫を飼うためにかかる費用「食事代」「医療費」「猫砂などのその他の費用」について、それぞれ年間1万~3万円未満と答えた人が一番多いという結果になりました(東京都福祉保健局「犬及び猫の飼育実態調査(平成23年度)」)。仮にすべて2万円かかったとすると、年間に6万円、平均寿命の16歳まで生きた場合、生涯で96万円かかるということになります。

 また、少数ながら、食事代が年間50万円以上、医療費20万~50万円未満、その他15万~20万円未満という高額の回答もありました。

 猫にどのくらい費用がかかるかは、それぞれの家庭の飼い方や猫の健康状態などによって異なります。しかし平均で見ても、15年で90万円のお金が必要となります。猫を飼い始めるときは、費用がかかることにも考慮する必要があるでしょう。

猫の医療費は飼い主の全額負担
猫の医療費は飼い主の全額負担

猫の医療費は全額負担

 猫には、人間のように健康保険制度がないため、病気になった場合、かかった医療費の10割、つまり全額を飼い主が負担しなければなりません。

 人間と同様、猫もがんなどの重大な病気にかかることがあります。このような場合や、治療が長期にわたって定期的に通院や投薬、入院などが必要になった場合、医療費が高額になる可能性があります。

診察料金を知るには

 動物の診療費については、獣医療法によって看板などへの記載が禁止されているため、動物病院のウェブサイトなどを見ても書いてないことがあります。

 しかも、自由診療のため、実際の診察料金は、動物病院によって異なります。同じ治療を受けるにしても、病院によってかかる金額が違いますから、事前に病院に問い合わせて費用を確認、準備するようにしましょう。

安ければ良いわけでもない

「同じ治療をするなら、なるべく安い病院にしたい」と考える方もいるかと思います。しかし、病院選びは、金額が安ければ良いというわけではありません。同じ治療といっても、サポートする看護師の数が多かったり、最新の設備がそろっていたり、細かい検査ができたりといった病院は、どうしても診療費が高くなってしまいます。

 どのような治療を受けさせたいのか、そのためにいくらまでお金をかけられるのかということをよく考えた上で、病院を選びましょう。

ペット保険選びもよく吟味して
ペット保険選びもよく吟味して

ペット保険も多種多様

 人間にとっての「民間の医療保険」と同じような制度が、ペットにもあります。任意で加入できるペット保険は、月々保険料を支払うことで、動物病院で治療を受けたときに補償を受けられたり、手術一時金や入院給付金などが受け取れたりと、飼い主の負担額を減らすことができます。

 加入条件や保険料、給付条件などは、保険の会社によって細かく異なります。加入を検討するときは、月々に必要な保険料だけでなく、どのようなときにどんな給付が受けられるのか、給付申請はどのように行うかなど、内容についても、よく吟味するようにしてください。

保険代わりに貯金という方法も

 ペット保険に入っておけば、病気になったときの費用負担が少なくなるので安心できます。一方、「ペット保険に入る代わりに、保険料と同じくらいの額を毎月自分で貯金しておく」という備え方もあります。

 日々の生活費の中から、ある日突然、ペットにかかる高額の医療費を捻出するのは大変でも、事前にペットのための貯金をしておけば安心でしょう。それぞれの家庭に合った備えをしておくことが大切です。

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監修:服部 幸
東京猫医療センター(東京都江東区)院長。JSFM(ねこ医学会)CFC理事。 北里大獣医学部卒。2005年から猫専門病院長を務める。2012年に東京猫医療センターを開院。2013年、国際猫医学会からアジアで2件目となる「キャット・フレンドリー・クリニック」のゴールドレベルに認定される。

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この連載について
高齢猫との暮らし方
室内飼いが増え、猫も長寿に。高齢猫と長く幸せに暮らす方法や、万一の時の対応について、猫専門の服部幸獣医師が解説します。
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