広告でブリーダー不当に囲い込み容疑 大手サイトを公取委検査

 ペット販売用のインターネット広告の掲載で、広告主のブリーダーを不当に囲い込んだ疑いがあるとして、公正取引委員会は27日、ネット仲介大手「みんなのペットオンライン」(仙台市)に、独占禁止法違反(不公正な取引方法)容疑で立ち入り検査をした。自社で広告を優遇する代わりに、他社との契約を破棄させるなどしていたとみられる。

 同社は、ブリーダーの依頼で子犬や子猫の写真と価格などを広告として掲載し、購入希望者と売買が成立すれば手数料を受け取る仲介サイトを運営している。同社ホームページによると、登録ブリーダー数は犬が1600人以上、猫が600人以上で、2010年以降で5万件を超える売買契約実績があるという。

 関係者によると、同社は数年前から優良会員として登録するブリーダーに対し、広告を目立つようにするなどの好待遇を条件に、数日以内に他サイトとの契約を破棄するよう求めていた疑いがある。一般の登録ブリーダーには、同社サイトより安い価格でほかに広告を掲載することを禁じていた疑いもある。こうした取り決めに違反していないか、ネットで監視していたという。みんなのペット社は取材に対し、「調査に協力していく」と回答した。

代行者取引でシェア拡大

 ネットを通じたペット取引で、「みんなのペットオンライン」のシェアは3割ほどとみられる。公取委の摘発の目安となる2割を上回っている模様だ。

 成長の背景にあるのが、2013年に施行された改正動物愛護法だ。この改正で同法は、消費者トラブルが多発していた動物のネット販売を禁じる目的で、動物を販売する際には購入者と対面し、動物を直接見せて状態を説明することを販売側に義務づけた。

 同社は、購入希望者と離れた場所にいるブリーダーに代わり、近くに住む別のブリーダーに対面説明などを代行させるサービスを打ち出した。ネットを介することで、遠隔地同士での売買をしやすくさせた。

 こうした「代行者取引」などで築いた市場における優位な立場を利用し、ブリーダーに不当な契約を迫っていなかったか公取委は実態解明を進めるとみられる。

 代行者取引をめぐっては、超党派の国会議員がつくる議員連盟が問題視し、今年の動愛法の見直し時期にあたって禁止を検討する動きもある。

太田匡彦
1976年東京都生まれ。98年、東京大学文学部卒。読売新聞東京本社を経て2001年、朝日新聞社入社。経済部記者として流通業界などの取材を担当した後、AERA編集部在籍中の08年に犬の殺処分問題の取材を始めた。15年、朝日新聞のペット面「ペットとともに」(朝刊に毎月掲載)およびペット情報発信サイト「sippo」の立ち上げに携わった。著書に『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』『「奴隷」になった犬、そして猫』(いずれも朝日新聞出版)などがある。

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