体重増で歩き方がおかしい高齢犬は、 前十字靱帯断裂の可能性が

(写真は本文と関係ありません)
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Q:12歳のトイプードルを飼っています。平均体重を数キロオーバーしているせいもあるのか、1年ほど前から歩き方がおかしいです。犬の脚の疾患にはどのようなものがあるのでしょうか?(福井県・男性)

A:高齢の小型犬で脚に疾患が見られるとすれば、前十字靱帯(じんたい)断裂であることが多いです。年を取って靱帯の強度が弱まっていたり、体重増によって負荷がかかっていたり、膝蓋骨(しつがいこつ)脱臼を起こしていたりすると発症しやすい疾患です。
症状は様々ですが、脚を引きずるようになることが多いです。軽度なら安静にさせ、抗炎症剤の投与によって症状が治まることがあります。一方で重度の場合や大型犬の場合、早急な外科手術が必要になります。
ほかに犬の脚の疾患で多いのは、中型から大型の犬でよく見られるウォブラー症候群や股関節形成不全、トイプードルなどの小型犬でよく見られるレッグ・ペルテスなどがあります。いずれも若いうちから発症することが多く、やはり脚を引きずったり、運動を嫌がったりします。
これら脚の疾患は痛みをともなっています。飼い主はなるべく早く異常に気づき、獣医師とよく相談しながら治療を進めることが大切です。それまでと同じように散歩などをさせていれば、症状はどんどん悪化してしまいます。
予防法としては、まず体重を増やさないこと。それぞれの犬種の標準体重を保つため、日頃から適量のドッグフードを与えるよう心がけましょう。また、散歩中の急激な方向転換には注意し、脚がすべるような床材はなるべく避け、肉球周りの毛をしっかりカットしてあげることも大切です。

山根義久
1943年生まれ。動物臨床医学研究所理事長、倉吉動物医療センター・米子動物医療センター 会長、東京農工大学名誉教授。医学博士、 獣医学博士。2013年まで日本獣医師会会長を務めた。

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この連載について
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動物臨床医学研究所の理事長を務める山根義久獣医師が、ペットの病気に関する質問にわかりやすく答え、解説するコラムです。
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