人懐っこい保護犬たち、「希望者増えている」 横浜の保護団体

プレイエリアで駆け寄ってくる保護犬
プレイエリアで駆け寄ってくる保護犬

 横浜市都筑区に、犬や猫の保護・譲渡活動を続ける動物保護団体「アニマル・ハート・レスキュー」がある。シェルターを訪ね、代表の山本りつこさんに保護犬をとりまく状況について聞いた。

 

(末尾に写真特集があります)


「アニマル・ハート・レスキュー」のシェルター(保護施設)の戸を開けると、プレイエリアに放されていた犬たちが、一斉にこちらへ向かってきた。犬種の差こそあれ、どの犬も驚くほど人懐こい。「保護犬」「人に捨てられた犬」というネガティブなイメージを覆す反応だ。


「ペットショップ出身の犬なら『人見知り』で済みますが、保護犬だと『しつけができていない』とネガティブな評価をされてしまう。里親に引き取ってもらうためには、抱っこできるくらいの人懐こさを持った子になるよう訓練する必要があります」


 山本さんはそう語る。


 現在、シェルターに収容されている動物は、犬18匹と猫5匹。その他に、一時預かりのボランティア宅に委ねている動物が15匹(犬10匹、猫5匹)いる。すぐにもらい手が見つかる動物もいれば、10年以上ここで生活する犬猫まで、入所歴は様々だ。


 最年長17歳は柴犬の「コロ」(オス)。入所歴13年の古株だ。気が荒く、なかなか里親との縁がなかった。老齢でドッグフードが食べられなくなった現在は、流動食など介護を受けながら暮らしている。

 

保護犬を抱く山本りつこさん
保護犬を抱く山本りつこさん

◆ペットにもブランド志向?

「『和犬なんて欲しい人がいるわけがない、もらい手がなければ処分するんだろう』と言われたこともありますが、そんなことはない。いくつになっても、最後までここで面倒をみます」


 山本さんに投げかけられた言葉は、保護動物をとりまく状況を表している。動物たちがこのシェルターに引き取られた経路は、大きく分けて二つある。動物愛護センター(保健所)からと、廃業ブリーダーからだ。


 動物愛護センターから来る動物は、雑種・サイズが大きい・老齢・病気や怪我があるなど、引き取り手が限られる特徴をもつことが多い。一方、ブリーダーから来る動物は、純血種であるため、人気が高い。定期的に開催する譲渡会でも、ブリーダー出身の犬猫が注目の的だ。


「最近はTwitterなどのSNSを活用して里親会の告知を行っていますが、純血の子がいるのといないのとでは、記事の拡散率がまったく違う。本当に里親を見つけてあげたい愛護センター出身の子たちを人目に触れさせるためには、ブリーダー出身の子の力を借りる必要があります。日本人はペットに関しても「ブランド志向」なのだと感じます」

 

カメラに寄ってきた保護犬
カメラに寄ってきた保護犬


◆譲渡希望者は増えている

 一方で、保護動物を引き取りたいと願う人は増えていると感じているという。


「わざわざペット可の物件に引っ越し、病気の犬を2匹引き取ってくれた里親さんもいました。施設周辺にドイツ人向けの学校があることから、ドイツ人の家族が保護動物を引き取りたいとやってくることもあります。ヨーロッパの人は、里親制度に慣れていることもあって、住んでいる家や飼育環境、家族の趣味や所有する車の種類に至るまで、こちらが聞かなくても進んで話してくださることが多い。『私たちは動物のためにこんなことができる』『自分たちでなくては引き取れない子を引き取りたい』という熱意をもった方が多く、通常はもらい手の少ない大型犬の里親になることも珍しくありません」


 最近では、アニマル・ハート・レスキュー出身の動物を引き取った家族同士がSNSを通じてつながり、自主的な互助グループをつくっている。飼育の悩みを相談しあったり、急な用事の際にお互いのペットを預かったり、譲渡希望者にシェルターを紹介したり、とネットワークが育ってきた。

 

愛嬌のある保護犬
愛嬌のある保護犬

◆高齢者、単身者も対象に

 いま、アニマル・ハート・レスキューが力を入れていることがある。定年退職世代と単身生活者への譲渡だ。どちらもペットを飼うには不向きだと思われがちだが、動物の視点からはメリットも多いという。


 定年退職後の高齢者が引き取り手になることのメリットは、「時間の余裕」。特に、年をとって体力が衰え、動きも鈍くなった高齢のペットにとって、小さな子どもに追い回されるようなファミリー世帯での生活は負担が大きい。「のんびり日向ぼっこしながら、優しく撫でてくれるような飼い主さんの方が、ペットにとってもありがたい」という。


 長く培ってきた地縁があり、突然の転勤や子どもの誕生などによる環境の変化がない点もメリットだ。「最近は保護動物たちも高齢化しています。『おじいちゃん、おばあちゃんでもいいよ』と言ってくれるシニアの方々は貴重な存在です」。死別など人生経験がある世代だからこそ、ペットとの生活の密度を大切にしながら暮らすことができると考えている。


 単身者についても、「ひとりだからこそ、責任を持って飼ってくれる人が多い」と感じるという。子育て世帯では、どうしても子どもに注意が向き、ペットに十分なしつけをしたり、スキンシップを与える余裕がない場合もある。「誰かが面倒を見るだろう」という意識から、十分な世話ができないケースも見受けられる。


「安定した収入があるなら、ひとり暮らしの飼い主さんの方が、動物にとってメリットがある場合も多い。ブリーダーの犬舎で育った犬などは、人間と満足に触れ合う機会がなかったことから、急に大勢の中に放り込まれると混乱してしまいます。日中はひとりでのんびりして、飼い主さんが帰って来たら一緒に遊んでもらう、という生活リズムが快適な犬猫もいるのです」


 保護動物と里親は、互いに相性が合うことが第一だ。「双方の気持ちが一緒になっていれば、幸せに暮らすことができる」という考えのもと、譲渡希望者と動物のマッチングに際しては、必ず2週間の準備期間をとる。人間と動物、お互いにとって幸せな縁を結ぶには、包容力と心身の余裕が必要だ。

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  • アニマル・ハート・レスキュー

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  • 最期まで面倒を見た保護動物の遺骨や遺影

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  • 保護犬を抱く山本りつこさん

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  • アニマル・ハート・レスキューの室内

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  • カメラに寄ってきた保護犬

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鈴木紗綾子
1984年神奈川県生まれ。sippoライター。出版社勤務、英国大学院留学等を経て現職。文鳥、アゲハ蝶の幼虫、ミックス犬(保護犬)などを飼ったのち、 現在は老チワワ(オス、16歳)と暮らす。
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