犬や猫の「粗相」はトイレ環境が理由かも 失敗ゼロのために
トイレとは違う場所で排泄してしまったり、ウンチやおしっこがトイレの外にはみ出していたり、間に合わなくて途中で粗相をしてしまう、といったペットのお悩みを持つ飼い主さんはいませんか? 犬や猫自身の問題だけでなく、トイレを置く場所、あるいはトイレそのものに問題があることも考えられます。
「トイレは玄関先に」はNG
犬と猫の両方に共通するトイレの条件として、それがトイレであることがペットにとってわかりやすく、快適で自然に使えるものでなければなりません。排泄するために面倒な行動を強いられたり、トイレの使い勝手や使い心地が悪かったりすると、それ以外の場所で排泄してしまうことがあります。排泄中は無防備になるので、警戒しなければならない場所ではなおさらです。
たとえば、トイレを玄関に置いている家庭がありますが、玄関は人の出入りが多く落ち着かないうえ、気温の変化も激しいので安心して排泄できる場所とはいえません。このようなトイレだと、ペットはトイレに行くこと自体を我慢してしまい、腎臓に大きな負担をかけることにもつながります。
テリトリー外の気配を感じやすいという点では、窓側もトイレを置く場所として不適切な場所です。玄関や窓は新しい空気が室内に入ってくる入り口でもあるので、ここにトイレを置くと、家中ににおいを拡散することにもなってしまいます。
カーペットにしてしまうことも
犬の場合は、わかりやすさが特に重要です。犬は自分の排泄物を汚いものだと思わないので、平気でおしっこの上を歩いたりウンチで遊んだりしてしまいます。排泄する場所としては、土や草むらのような足触りや臭いで、おしっこがよく染み込んで跳ね返ってこない所を好むので、トイレ用のペットシーツと区別がつきにくい感触のカーペットや足拭きマットなどがあると、そこをトイレだと思って排泄してしまうこともあります。
また、トイレの場所が遠すぎるときに、途中でこのような場所があると排泄してしまうことも。老犬になると間に合わなくなることもあるので、トイレの場所を見直す必要があるでしょう。
体の大きさに合ったトイレを用意してあげるのも重要です。胴の長いダックスフントは、おしりがトイレシーツからはみ出してしまいがち。体の小さなミニチュアダックスフントでもトイレシーツは大きいものが必要です。
トイレへの動線にも注意を
猫の場合、トイレの砂に対する好みが猫によって異なるので、どんな砂を好むかを見極めてあげる必要があります。多頭飼いであれば、猫の数だけ専用のトイレを用意してあげましょう。
トイレを含む動線にも注意しましょう。トイレを部屋の隅っこの壁にくっつけて置いたりすると、排泄の後にトイレの中でUターンしたりバックする必要が生じます。犬も猫も、こうした出入りが面倒なトイレは苦手です。隅に置く場合でも、できるだけまっすぐ入って、前からそのまま出ていけるような空間をあけて設置してあげましょう。
壁に吹きかけるのは失敗ではない
壁に吹きかけるようにおしっこをするのは、失敗ではなくテリトリーや自分を主張するために行う「スプレー」という行為です。
本来は去勢されていないオス猫にみられますが、多頭飼いの家や外にいる野良猫の姿がよく見えるような家、飼い主が他の猫のにおいをつけて帰ってくるなど、自分のなわばりを主張する必要が生じる状況下では、去勢されたオスやメス猫でもすることがあります。
普通のおしっこはにおいませんが、スプレー行為による排泄物は臭うので、猫のストレスを軽減する意味でも安心できる環境を作ってあげる必要があるでしょう。
◆トイレの失敗を防ぐポイント
1) 玄関先や窓際に置くのはダメ
2) トイレシーツと似た感触の敷物に注意を
3) 出入りしやすい場所に
4) スプレー行為は別
(金巻とも子)
かねまき・こくぼ空間工房主宰。一級建築士、一級愛玩動物飼養管理士、家庭動物住環境研究家。設計業務のほか、ペットとの快適な暮らしをテーマに住環境コーディネーターとしても活動。著書に『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、『マンションで犬や猫と上手に暮らす』(新日本出版社)、『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)がある。
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