猫に薬を飲ませる夫のスゴ技 喉の奥に思い切り?!

投薬器に興味を示すあんず(左)とモモ
投薬器に興味を示すあんず(左)とモモ

「万が一、自分がいなくなったら、猫のモモに薬をやる人がいなくなる」


(末尾に写真特集があります)


 これが夫にとって、一番の心配事なのだそうです。


 確かに、薬に関しては夫に任せきりなので、ちょっと自信がありません。


 ちなみに、キジトラ猫のモモになぜ薬が必要かというと、命に関わる病気ではありませんが、皮膚病のためです。何らかの原因で発生する“かゆみ”のせいで、お腹をなめすぎて肌が真っ赤になってしまうことがあるモモ。そのかゆみを抑えるために、“免疫抑制剤”なる液体の薬が入ったカプセルを毎日か数日に1回飲ませる必要があるのです。


 かつては注射でかゆみを抑えていましたが、腎臓に負担かかかるというので、医者の勧めもあり、この薬に変えたのです。


「猫に薬を飲ませるのは大変なので、やむを得ず途中で注射に戻す飼い主さんも多いんです」


 と、かかりつけの獣医師さんは言っていました。


 錠剤の場合は細かく砕いて“しっとりタイプ”のえさに加えれば食べてしまいますが、モモにやっている免疫抑制剤は、砕くことのできないカプセルタイプ。ちなみに液体タイプもありますが、味が不味いのか、我が家の場合は液体の方がより大変でした。


 カプセルをえさに混ぜることは不可能なので、ダイレクトに飲ませなければなりません。


 この連載でも何度か、猫に薬をやる方法についてご紹介しました。


 ペットシッターさんのアドバイスで「猫に薬を飲むことの必要性を言って聞かせる」と書いたこともありましたが、「言って聞かせた」後いざ薬をやるときに、大変苦労するのです。


 しかし夫は根気強く、ひっかき傷を作りながらモモに薬を飲ませ続け、今では数十秒で全てを終わらせる“投薬のプロ”になりつつあります。


 夫の薬のやり方はこうです。


(1) 投薬器(注射器のような形で、薬を押し込むための道具)とスポイトの水を準備。


(2)皮の手袋を装着。(噛まれることがあるため)


(3)モモを捕らえる。(寝ているときがベスト)


(4)モモの顔を上に向かせ、口元を投薬器でトントンして口を開かせる。


(5)投薬器を喉の奥まで思いっきり(ここが重要)差し込み、薬を放つ。


(6)スポイトを口に突っ込み、水を飲ませる。


 夫によると、薬よりもモモは水を嫌がるそうです。しかし、水をあげないと喉に張り付いたり、胃に到達するのが遅くなるため、水をあげたほうがいいようです。


 私には、特に(5)をできる気がしません。


「喉に穴が開くんじゃないか?というくらいの勢いで薬を突っ込まないと、薬を吐き出してしまうし、かえってモモが嫌がる」と夫は言います。


 その思い切りの良さが、私には、ない…。


 以前は、薬を飲ませるときに大層暴れましたが、今では観念したかのように、薬を受け入れているモモ。それでも、やっぱり少しは嫌がります。


 “嫌なこと”をする夫を、モモは嫌いになってしまいそうなものですが、薬を飲ませるとき以外は夫にすり寄ったりするし、怯えている様子は一切ありません。


 モモは小さい頭で「嫌だけど、やらなければならない」ことが分かっているのかもしれません。やっぱり、「言って聞かせる」ことは大切でした。


 夫の代わりに薬をやれるように私も訓練すべきかな、と思い始めている今日この頃です。


(ヤスダユキ)

sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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この連載について
猫アレルギーですけど
普通の家で飼われている猫「あんず」と「モモ」。飼い主の主婦が、2匹との生活や発見をユニークな視点で切り取る人気連載です。
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