猫がペッチャンコのヤモリを囲んでワイワイ! 生きてる?!

我が家の猫がいつもと違う鳴き方をしたり、妙な場所をガサゴソ探っていたりするとき、多くは“事件”の前兆です。
それは、梅雨の晴れ間の朝の出来事でした。
起きてすぐに、猫の朝食の準備をしていると、いつもは“ごはんはまだか!早く食べたい!”とばかりに足元をウロウロしてニャーニャー鳴く猫たちが、こちらには目もくれず、冷蔵庫の前に集まっていました。
冷蔵庫の下のわずかな隙間に猫パンチをしたり、前足をチョイチョイ出したり、何やら2匹で盛り上がっています。
まさか…、あそこに何かいるんじゃ?
「ちょっと、見せて、見せて~」
猫らをどけると、そこには、人差し指くらいの大きさの動かなくなったヤモリがいました…。形こそキレイだけど、昔のアメリカのコメディアニメみたいに、車にひかれてペチャンコのような状態で、紙のようにペラッペラ。今にもヒラヒラと舞いそうでした。
「ヒッ、ヒィィ~…」
夫が横の寝室で寝ているので、悲鳴は最小限に抑えました。
以前も家の中にいつの間にかヤモリが侵入し、大捕り物の末に外に逃がしたことがありましたが、まさかこんな姿で発見されるなんて…。
猫たちに攻撃されてペチャンコになったのか、何かの下敷きになってしまったのかは分からないけれど、気の毒なことをしたなぁ。
とりあえず何かで隠しておいて、後で夫に取ってもらおう。と、ティッシュペーパーの空き箱をふわっと乗せて、猫らにごはんを出しました。
猫はヤモリのことを忘れたかのようにガツガツ食事をしていたので、ほっとして家事をしていると…。
今度は、冷蔵庫から2mほど離れたところに猫が集まり、盛り上がり出しました。また猫パンチやら、前足チョイチョイをやっている模様です。
ま、まさか…。でもさっき隠したし、場所も違うし…。
「ちょ、ちょっと、見せて、見せて~」
再び猫らをよけると、そこにはさっきのペラペラになったヤモリがいました。
「ギッ!ギャァァァ~~~!!!」
2度目は声を抑えられず、フルボリュームになってしまいました。
「どしたー!?」
夫が慌てた形相で飛び起きてきました。
「あそこに、あそこにペラペラのヤモリがぁ!」
すると、夫は冷静に言いました。
「あ、しっぽの先が切れちゃってるね。でも、まだ生きてるんじゃない?」
「だって、ペチャンコだよ! 動かないし。生きてないよー(泣)」
「ヤモリってこういうものだよ」
…そ、そうなのかな。
おもむろにヤモリを手でつかみ、窓の外の蔦が絡まっているところに置く夫。
残念そうに見送る猫ら。ドキドキがまだ収まらないけど、安堵する私。
こうして、我が家に再び平和が訪れました。
2~3分後、夫がヤモリを置いた場所を見に行きました。
「あ、いなくなってる。やっぱり生きてたんだ。良かった」
そう言って、満足そうな顔をして出社していきました。
自力で走り出したのか、風に飛ばされたのか、カラスに捕られたのかは謎ですが、「ペラペラになってたけど、ヤモリは生きていた」。そういうことにしておこう。
昔のアニメでも、ペラペラになった人が、自転車の空気入れで空気を入れて復活したり、次の場面では何事もなかったかのように走り回っていたりしていたし、ヤモリもきっと息を吹き返したんだ。
ヤモリの生死は分からないけど、ヤモリのしっぽの先っちょがなかったことは明らかでした。では、先っちょはどこへ…? 猫の腹の中なのか、冷蔵庫の下なのかはいまだ不明です。
(ヤスダユキ)
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