猫好きの「聖地」山手 大佛次郎の記念館や猫が住む美術館も

ロビーの七つの照明の上には「美」「服従」などそれぞれの言葉にぴったりの置物7体が置かれ、来館者を見守る=大佛次郎記念館
ロビーの七つの照明の上には「美」「服従」などそれぞれの言葉にぴったりの置物7体が置かれ、来館者を見守る=大佛次郎記念館

 外国人墓地や歴史的な建物が集まり、観光客が散策を楽しむ横浜市中区の山手地区。あの動物が好きな人には、たまらない場所でもある。


(末尾に写真特集があります)


 階段の脇に猫、照明の上に猫、展示ケースの中に猫……。大きさも表情も様々な置物が並ぶのは、港の見える丘公園内にある大佛(おさらぎ)次郎記念館だ。


 横浜市出身で、「鞍馬天狗」「パリ燃ゆ」などの著作で知られる大佛(1897~1973年)は、生涯に500匹を超える猫と暮らした愛猫家だった。初めて飼った「たま」が死んで庭に埋めると、いつもその土をなで、結婚するときは「チイ」と「フウ」が、結婚誓約書の署名の立会人となった。


 記念館は自筆原稿など文学的資料のほか、大佛が収集した国内外の置物や、浮世絵など約300点の猫グッズを収蔵する。館内に飾るなどしてきたが、2月、久しぶりに猫をクローズアップした企画展「猫は、生涯の伴侶」を開催すると、ネットなどで人気が拡大。猫写真の公募には650点以上が集まり、「展示場所に飾りきれない」とスタッフから悲鳴が上がるほどだった。


「大佛の存在を知らなかった猫好きの人が『何かしら』と集まってきた」と、福山葉子館長。開館から約40年経ち、年間の入館者も当初の10分の1になっていたところだったが、新たなファン層獲得を喜ぶ。


 大佛が猫との暮らしぶりを書いた随筆や猫関連のコレクションを紹介した「大佛次郎と猫」(小学館)も発刊。7月13日からは、猫関連のコレクションや大佛直筆の猫のデッサンを展示する企画「大佛次郎と501匹の猫」も予定する。研究員の安川篤子さんは、「『大佛と言えば猫でしょ』と印象付け、文学的な側面にも興味をもってもらえたら」と話す。


 山手町には「ヨコハマ猫の美術館」もある。30年ほど前、画廊経営者だった故・坪山紗織さんが「猫展」を開いたのをきっかけに、海外での買い付けや頂き物などで猫の関連品が「自然に集まっちゃった」と、管理する娘の森田彩子さん。ひっそりとした雰囲気にひかれて来館者が増え、韓国の雑誌でも大きく紹介されて、近年はアジア諸国から訪れる人も多い。

 

500点以上が展示された館内でシロを抱く森田さん=猫の美術館
500点以上が展示された館内でシロを抱く森田さん=猫の美術館

 実はこの建物には、「ナナ」と「シロ」という本物の猫が住む。運がよいと、浮世絵やフランスで活躍した藤田嗣治の版画などの間を横切る姿や、世界中の置物を飾った戸棚の裏からのぞく姿を見かけることも。


「大昔の置物にも猫があるように、人は猫にひかれるもの。『好き』を共有できる場所であり続けたい」と森田さんは話す。


(木下こゆる)

 

大佛次郎記念館(045・622・5002)の開館時間は、月曜日以外の午前10時~午後5時半。高校生以上200円。
ヨコハマ猫の美術館(045・662・6821)は土日祝のみの開館で、正午~午後6時。大人300円、小学生以下150円。
朝日新聞
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