「転落死くり返さないで」 視覚障害者の通勤に付き添い支援
東京都世田谷区は4月から、転入してきた視覚障害のある区民を対象に通勤時の付き添い支援を実施している。昨夏、盲導犬を連れて帰宅中に駅ホームから転落して亡くなった同区の会社員品田直人さん(当時55)の事故を受けた対応で、新たな支援の対象に加えた。
品田さんは昨年8月、港区の東京メトロ銀座線青山一丁目駅のホームで職場から帰宅中、事故に遭った。
世田谷のNPO団体で活動する茅野建文さん(70)は事故後、保坂展人区長に「盲導犬を連れていても百%安全とはいえない。仕事でも活用できるガイドヘルパーが不可欠」と手紙を送り訴えていた。
この手紙などが契機となり、区は視覚障害者への支援の規定を改正。病院や買い物などに限っていた付き添いサービスを、4月から通勤時にも利用できるようにした。今のところ対象となるのは、区内に転入して間もない住民で、3カ月程度ヘルパーの同行サービスなどを受けられるという。
茅野さんは、事故前の昨年春に支援活動の一環で、品田さんと銭湯に同行した経験がある。先月28日、区内でNPO団体が開いた、視覚障害のある人に暮らしやすいまちづくりを考える会合で、品田さんとの思い出を語った。銭湯では、品田さんにロッカーの位置や料金の支払い方を説明した。「礼儀正しい人柄が印象的だった。事故を絶対に無駄にしたくないと心に刻んだ」と語った。
この日は品田さんの妻の直美さん(53)も出席。「世田谷区は一歩前進したと聞いた。主人の事故が視覚に障害がある人たちも暮らしやすい社会づくりのきっかけになってほしい」と話した。
(力丸祥子)
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