保護犬4匹と暮らし、愛護活動 自然体の浅田美代子さん
デビューから40年余り。新人の頃と変わらない気持ちで現場に立ち、今も新たな世界との出会いがあるという浅田美代子さん。俳優としてだけでなく、不幸な動物を助けるための社会活動にも力を注いでいる。心がけているのは、自然体であること。
■「犬猫たちのための活動で、新しい世界開けた」
暖かい日差しのなか、東京・代々木公園を散歩する浅田美代子さん。足元にいる4匹の犬たちが代わるがわる浅田さんを見上げる。4匹は、推定12歳のアヴィを筆頭にいずれも保護犬だった。
「この子たちを助けたつもりで、実は私のほうが助けてもらっている。そんな関係なんです」
1973年、16歳の時にテレビドラマ「時間ですよ」でデビューした。結婚を機にいったん芸能界を引退したが、離婚して復帰。俳優として、親しみやすいタレントとして、変わらぬ明るさで活躍を続けてきた。
そんな浅田さんが精神的に追い込まれていた時期がある。2001年12月に母親を亡くし、引きこもりのような状態になった。助けてくれたのが、当時飼っていた2匹の犬だった。
外出したくなくても、1日2回は散歩をしないといけない。何もする気がおきなくても、犬たちは世話なしには生きられない。社会と関わりを持つ原動力になってくれた。「犬たちに救われ、立ち直れたんです」と振り返る。
8年前、千葉の動物愛護団体からアヴィを引き取って以来、保護犬など不幸な動物を減らすための講演活動などをしている。最近では「飼育環境の数値基準がない今の動物愛護法では、業者のもとで不幸な境遇にある犬や猫を助けてあげられない」と動物愛護法改正を求める署名運動も始めた。
こうした活動も、回り回って自分に返ってくるという。「犬猫たちのための活動を始めたおかげで、50代になってからも新しい世界が開け、新しい友人に出会えた。そのことが、仕事をがんばる活力にもなっています」
常に心がけているのは、「自然体でいる」ことだ。たとえば、健康のためにスポーツクラブに行ったり、サプリメントを取ったりといったことはしない。それ自体がストレスになってしまうから。食べ物にもこだわらない。外食が続いたら、なるべく野菜を食べるようにする程度だ。「そのくらいで十分だと思う。何かを徹底的にするというのが苦手なんですけどね」と笑う。
今年2月に開いたイベントでは、親しい芸能人ら約30人に出品してもらいチャリティーオークションをした。なるべく多くの人に、動物たちの現状に関心を持ってもらいたいと思っている。
仕事では、自然体であることに加え、物事をいつも俯瞰(ふかん)で見られるようにしていると話す。
「40代後半になった頃から、自分を叱ってくれる人が減ってきたことに気付きました。そうなると、自分で自分の振る舞いに気を付けなければいけない。それで、俯瞰して見ることを大切にするようになったんです」
そうすると、ドラマや映画の撮影現場に入る初日は、新人の時と同じように緊張できる。かつて久世光彦さんや樹木希林さんに丁寧に育ててもらったことを思い出しながら、現場に臨む。「昔と比べて、結果、あんまり変わってないかな」。いつも周りを明るくする笑顔で、そう話した。
(太田匡彦)
61歳 1956年、東京都生まれ。73年にテレビドラマ「時間ですよ」でデビューし、劇中歌「赤い風船」が大ヒットした。俳優として映画「釣りバカ日誌」シリーズなどに出演する一方、バラエティー番組で「天然キャラ」を発揮する。10年ほど前から動物愛護活動に携わっており、小学校などで「いのちの教室」と題して講演も。浅田さんの動物愛護法改正の署名募集サイトは、http://miyokoasada.com/。
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