カワイイだけじゃない! 猫の身体は高機能 「ハンター」の名残

グラフィック=宗田真悠
グラフィック=宗田真悠

 今や「いやし系」の代表格として、CMや雑誌、関連グッズまで引っ張りだこの猫。新語にもなった経済効果「ネコノミクス」は1年間で2兆円超という統計もあります。かわいさばかりが注目されますが、意外と「高機能」な身体を持ち合わせています。


 猫の祖先は、中東の砂漠などで生息していた「リビアヤマネコ」で、小動物や昆虫などを捕って食べていました。それが穀倉地帯の古代エジプトで、倉庫のネズミを退治する家畜として人間との共生が始まったそうです。日本には奈良~平安時代に中国から船で運ばれてきたという説が有力です。


 現在、猫は40~80種いますが、犬の約300種に比べれば少ないです。麻布大学の大谷伸代講師(介在動物学)によると、犬は荷運びや家畜の護衛、狩猟の手伝いなど各用途に応じて大小様々に品種改良されました。一方、猫の用途は「原点」のネズミを捕ることだけ。「大きくなる必要もなく、愛玩用、つまり見た目の品種改良しかされなかった」と説明します。「大型猫」が存在しないのはそのためです。

(写真は本文と関係ありません)
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 ただ、小型ながらも「肉食」なのが特徴の一つです。それを示すのが消化する役目の腸の長さです。草食の羊は体長の約25倍、雑食の人間は約10倍の長さがあるのに対し、猫はたったの4倍。野菜などの消化は難しいそうです。小動物や昆虫を内臓ごと食べていれば栄養バランスに問題はありませんが、実際に各部位を用意するのは大変です。大谷さんは「すべての栄養が取れるキャットフードが最も理にかなっている」。


 ちなみに、ある海外論文では、猫の味の好みは羊、牛、馬、豚、鳥と続き、最後は魚だったそうです。猫は魚好きというイメージが強いのは、「サザエさんの『♪お魚くわえたドラ猫』が広く浸透したからでは」と大谷さん。一方、猫が魚(特に青魚)を食べ過ぎると、腹部に熱や痛みを伴う「黄色脂肪症」になるため、注意が必要だそうです。


 ハンターだった先祖の名残もたくさんあります。あごや後ろ脚の発達した筋肉、鋭い爪などです。東京猫医療センターの服部幸院長によると、あごは獲物を仕留めるために牙を食い込ませる力があり、後ろ脚は、最大時速50キロで走れ、体長の約5倍の高さのジャンプが可能。これは、成人男性が8~9メートル跳ぶことに相当します。

 猫ブームの背景について、服部さんは、ツイッターやフェイスブックなどSNSの出現を挙げます。「これまでペットを自慢する方法は、犬の散歩などに限られていたが、室内で飼う猫もSNSで自慢が可能になった」と指摘します。普段の愛くるしい表情や行動を気軽に世界中に紹介でき、注目される猫が増え、写真集の出版などに波及していったのではと説明します。


 また、人間の高齢化社会も要因だと言います。犬は散歩など手間がかかる一方、猫は犬ほどではないからです。


 その傾向を裏付けるデータも出ています。ペットフード協会の調査によると、現在と同じ調査方法の比較では、飼い犬は2011年の1194万匹をピークに減少傾向が続き、15年は992万匹と1千万匹を割り込みました。


 一方、猫はほぼ横ばいが続き、同年は987万匹と犬に迫る勢いです。しかし、服部さんは「飼い猫も08年ごろと比べると確実に減っている。犬が減って猫は横ばいというのが近年の実情で、猫ブームと言えるかはわからない」。


 同協会によると、猫の平均寿命は15・75歳で、年々延びているそうです。服部さんは「猫を飼う生涯費用は平均約130万円とも言われる。みとるまでの覚悟を持って」と話しています。

■記者のひとこと

 服部さんによると、猫は病気を隠す傾向があり、くしゃみや鼻水など普段と違う兆候に早く気づくことが重要だそうです。また、体質的に弱いのが腎臓で、老猫の4分の1が腎臓病にかかると言われています。気づきにくい症状なので、定期的な動物病院での健診を呼びかけています。

(石塚広志)

朝日新聞
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