犬猫販売業者告発について

過密状態の犬舎
過密状態の犬舎

 栃木県の犬猫販売業者を動物愛護管理法第44条2項、愛護動物に対し適切な飼養管理及び健康管理を怠った虐待罪で告発しました。


 今回、告発に至った経緯についてご報告いたします。


 この業者については、約10年前から劣悪な環境下に多数の犬猫が飼養されているとの市民から公益社団法人日本動物福祉協会(以下協会)栃木支部に報告があり、そのため、栃木支部が現状を確認するとともに、栃木県愛護指導センターに視察及び行政指導を10回以上お願いしてきました。しかし、昨年、動物の飼養環境がより一層悪化したとの報告を受け、協会職員及び複数の獣医師で視察したところ、飼養されている犬猫は、排泄物の堆積など劣悪な環境下で過密に拘束され、適切な給餌・給水の不足や病気・外傷があっても放置されるなど、犬猫に不必要な苦痛が与えられている状況が確認されました。

 

糞尿や毛の堆積
糞尿や毛の堆積

 収容されている犬猫の多くに肉体的及び行動学的異常所見が認められ、これらは、獣医学的見地から、不適切な飼養管理(ネグレクト)及び劣悪な環境が原因で生じるものであり、適切な飼養管理下であれば回避可能と判断できました。中には、長期的な寒さと栄養失調により、衰弱著しく、救出後、死亡した犬や視察時にすでに死亡していた犬もいました。重篤な症状を示し削痩していた猫について、管理者から、「このまま放置すれば死亡する」というような発言があり、不適切な管理を認めていることが示唆されました。

 

下痢と脱水を呈した削痩した猫
下痢と脱水を呈した削痩した猫

 また、過去数回にわたる県職員の立ち入りを受けても改善は全く認めらないばかりか、管理者からの「餌代がかさむから、はやく死んでほしい」などの発言からも、動物を「命あるもの」としての認識が低いばかりか、不適切な管理をしているとわかっていながら改善しないなど、所有者としての責務を放棄していると考えられます。その結果、劣悪な環境下で飼養されている犬猫が長期間、不必要な苦しみを与えられ、生命の危機にさらされることは、悪質であり、看過することはできない状況まできておりました。そのため、約10年に渡る経過から、今後、この業者が改善する可能性が低いと判断し、これ以上の動物の犠牲を増やさないために、今回告発に至りました。


 平成24年の法改正により、都道府県行政は動物取扱業者からの引取りを拒否できるようなりました。それにより、売れ残ったり、繁殖に使えなくなった犬猫の受け皿の一つとしての引取り業者がクローズアップされています。それにより、一部のモラルの低い動物取扱業者による事件が露呈するようにもなりました。2014年の栃木県犬大量遺棄事件もブリーダーからの引き取りによるものでした。今回の件も、氷山の一角に過ぎず、今後も同様のことが発生する可能性があります。


 こういった事件の背景に、犬猫の無秩序な繁殖をしている一部の繁殖業者やそういった大量生産を許すペット流通の仕組みがあります。


 先の法改正で、行政の犬猫の動物取扱業者からの引取り拒否を認め、「殺処分ゼロ」を目標と掲げるなら、同時に「大量生産」を生み出しているペット流通の仕組みも見直す必要があったのではないでしょうか。


「大量生産」が見直されていない現状で、いくら殺処分ゼロを訴えたり、悪質な引き取り業者を取り締まっても、蛇口から大量に流れる水をおちょこで受け止めているようなものです。


 また、日本では、行政が動物福祉に対して大きな役目を担っています。


 行政が動物取扱業の登録を認めていることに責任を持ち、監視・指導を強化することで、現行法でも劣悪な環境下に置かれる動物を減らすことができると考えています。


 それと同時に、行政職員が視察した現場で判断に困らないようなより具体的且つ明確な基準の作成(ガイドライン・法整備)も必要不可欠です。


 日本の風潮として、「生きていればいい」という考え方が主流ですが、愛護動物がどのような環境でどのような扱いをされているかという「生活の質」つまりは「動物福祉」を考えた飼養管理をしていくことが動物にとってもっとも大切なことだと考えています。


(Jawレポート79加筆修正)

 

皮膚病のシーズー
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皮膚病のパピオン
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猫舎
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耳ダニ寄生によって耳下を搔き毟ってできた外傷
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