春日大社の狛犬、初の一般公開 鎌倉時代から本殿を守護
鎌倉時代以来、800年にわたって奈良・春日大社の本殿を守り続けた獅子・狛犬(こまいぬ)が1日、特別公開「御出現!春日大社の神獣」でお披露目された。神職や皇族しか入れない場所にあったため、一般の人の目にふれる初めての機会になる。30日まで。
春日大社の本殿には四つの棟があり、それぞれに口を開けた獅子と、口を閉じた狛犬が鎮座する。20年に1度社殿などを新たにする式年造替(ぞうたい)にともない、4対とも交代することになった。
役目を終えた8体(高さ約31~41センチ)を奈良国立博物館の岩田茂樹・上席研究員らが調べたところ、6体の制作時期が鎌倉時代にさかのぼることが判明。鎌倉後期の絵巻「春日権現験記(ごんげんげんき)」に描かれた獅子・狛犬のモデルかもしれないことがわかった。残り2体は室町以降の作とみられる。
顔や体つき、たてがみの造形、台座などが少しずつ違い、2体はお尻を持ち上げた珍しい姿勢だ。つくられた年代は違うものの、いずれも一級の仏師が携わったと考えられるという。
境内にある景雲殿(けいうんでん)での特別公開。ほかに、獅子2体とボタンが描かれ、獅子・狛犬の組み合わせになる前は獅子のペアだったことを示す「牛頭天王曼荼羅衝立(ごずてんのうまんだらついたて)」(平安時代)も展示。神様が乗る馬を描く「神馬牽引図(しんめけんいんず)絵馬」(江戸時代)、重要美術品の「流鏑馬(やぶさめ)木像」(鎌倉時代)など、神馬や鹿にまつわる宝物も紹介している。
春日大社の松村和歌子・主任学芸員は「動物は人より劣るもののように考えられがちだが、昔の人々は動物が秘める力をおそれ、敬った。信仰における人と動物の関わりを感じていただければ」と話す。
無休。拝観料300円。問い合わせは春日大社(0742・22・7788)。
(栗田優美)
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