野生シカを犬猫用ジャーキーやふりかけに加工 害獣対策で
野生のシカの肉をペットフードに加工する施設が山梨県甲州市塩山千野に完成し、6日に披露式があった。市内在住で同市地域おこし協力隊OBの樋山太一さん(35)が市などの協力で開設した。農林業に被害をもたらすシカの肉を活用するとともに、捕獲したシカを処理する猟師の負担も減らそうという取り組みだ。
「甲斐之鹿ペットフード加工施設」と名づけられた建物は平屋の約25平方メートル。肉をカットする装置やジャーキーをつくる乾燥機、冷蔵庫などを備える。事業費は約1200万円で、総務省と甲州市から計400万円の支援を受けた。
樋山さんは2011~13年度、甲州市の地域おこし協力隊員としてイベント企画などに携わった。その中で、猟師が捕獲したシカは大半が地中に埋められ、農繁期にはその作業が大きな負担にもなっていることを知った。「シカ肉を有効活用し、猟師の負担も減らせれば」とペットフードの製品化を思いついた。
猟師からシカ捕獲の連絡が入ると樋山さんが現地に出向き、その場で血抜きをして施設まで運ぶ。解体して肉を小さく切り、乾燥機に数時間~10時間入れるとジャーキーが出来上がる。当面、市内で捕獲されたシカを引き取り、年間100頭の加工を目標にする。
シカ肉は高たんぱく、低脂肪で、犬や猫にとっても健康的な食べ物だという。肉はジャーキーやふりかけにして、関東甲信越のドッグカフェやペットホテル、自然食品店などで販売する。小売価格は50グラムで500~千円程度となる予定。骨や角も商品化する。4月末ごろから出荷し、年間売上高は1千万円をめざす。
樋山さんは「将来的には、捕獲したシカをペットフードの材料として有料で引き取るようにしたい。猟師の増加につながり、シカの捕獲数も増えるはず。将来はジビエとして人間が食べるシカ肉も手がけたい」と話している。
(谷口哲雄)
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