猫とソファと私。そして、沈黙の店員
前回の続きです。初めての猫カフェで“なんか違う”と感じてから数年後。
おしゃれな看板が目を引く猫カフェに行ってみました。
今は猫を飼っているし、猫との遊び方も分かっている。だから、きっと楽しめるはずだと。
今度は店への期待は少なめにして、自分自身に期待して店に入りました。
都心の路地裏にある雑居ビルの3階。
あれ? もしかして、狭い?
中に入ると、ワンルーム風の空間に、5~6匹の猫がいました。
高貴な印象の長毛の猫、やんちゃな白黒、グレー、三毛猫がうろうろ……。
猫のケージやタワーがあるので、動けるスペースはかなり狭い。
そこに2人掛けのソファが1つ。私は、ここに座るのね。ここにいるしかないのね。
猫とソファと私。
シャンソンっぽい雰囲気が漂いそうですが、実際のところフランスっぽさは皆無です。
特にお茶があるわけでもないらしいので、猫“カフェ”ではないのかな……。
って、いやいや! 店に期待するのは、やめたんじゃないか。この場を楽しめる自分にご期待だ。
40代後半くらいのおとなしい女性店員さんが、お店のシステムを説明してから、小声でこう言いました。
「おもちゃ、いかがですか?」
猫じゃらし的なおもちゃを手渡されました。
「あ、ありがとうございます」
…………。
この空間に流れるのは、シャンソンではなく沈黙。
とりあえず猫じゃらしを振ると、やんちゃな幼猫が遊びに来てくれました。
「ひゃー、かわいー」
…………。
でも、ちょっと、何か楽しめない。
なぜなら、ニヤニヤしている私の2歩先に、常にあの店員さんがいるからです。
店員さんは猫と私から目を離さないでいる割に、話しかけてくるでもなく、猫にちょっかい出すでもなく、ただそこに“いる”んです。
にこやかでもなく、無愛想でもなく、“素”の表情で。
き、気まずい。
何か、しゃべったほうがいいのかな?
「この猫は何て種類ですか? いつからやってるんですか? ほかにも猫いるんですか?土日はやっぱ混んでるんですか~?」
私はどうでもいい質問をしていましたが、次の質問を考えていると、心から楽しめない。
せっかく、かわいい猫がそこにいるというのに~。
やっぱり、猫カフェで楽しむことは、私にとってハードルが高いのか……。
長くなってきたので、またもや次回に続きます。
(ヤスダユキ)
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。