梅ちゃんも10歳 フレンチブル

「BUHI」の創刊号から登場してくれた、おなじみ「梅松家」の梅ちゃんも、早いものでもう10歳。
それでも相変わらずジャジャ梅っぷりは健在の様子。
そんな梅ちゃんのシニアライフについて、伺ってみました。

取材・文/湯川智加 写真/米田ヒロタカ



「長生きの秘訣」は永遠のテーマ。
その時が来なければわからないけど、
“良い”と思ったことは毎日続けてみる

「長生きの秘訣は何ですか?」と尋ねたところ、梅松家ご夫婦から返ってきたのは意外な応えだった。「今はまだわからない」 これがお二人の応えだ。

 梅松家ご夫婦は、現在10歳のフレンチブル“梅ちゃん”と、ラブラドールと雑種のMIX犬で14歳の“ななちゃん”のオーナーという、れっきとしたシニア犬マスターだ。

「日々の行動と長生きの因果関係って、正直難しいですよね。だけど、犬種の特性や愛犬の好みをよく知って、飼い主が“良い”と思ったことを続けてみることは大切だと思う」 夫婦はそう続けた。梅松家でも、毎日欠かさず与えているものがあるという。それは『グルコサミン350』と、『ビール酵母・こんぶ・きなこ・ごま』の粉末を適正配合でブレンドしたもの。梅ちゃんは、1歳の健康診断で股関節が弱いと診断され、その数年後には首のヘルニアも患った。それ以来、骨を強化するために毎日欠かさず与えているそうだ。加えて、野菜を発酵させた植物性の液体酵素『スパイラルエンザイム生酵素』も定期的にあげているという。「10年間欠かさずやってきたけど、効果が出るのは10歳を過ぎたこれから。でも、飼い主である私たちが信じてやり続けないとね」 そんなお二人の思いが通じているのか、梅ちゃんは10歳という年齢にも関わらず、足腰もしっかりしており元気に走り回っていた。

 お二人は、今でも情報収集をする日々だという。現状に満足せず、常に愛犬のQOLを考えているからこそできることなのだろう。元気な梅ちゃんの姿がありながら「長生きの秘訣は、まだわからない」と応える理由がわかったような気がした。

一番大切なのはきちんと栄養をとること

 シニアということに限らず、病気などで食が細くなると、衰退するスピードは早まってしまう。更に問題なのは、薬を飲ませられなくなることだ。「栄養をとりつつ、処方された薬をきちんと与えることが重要」と西川さんは語ってくれた。

 数々の介護経験を経て効果があったのは、ペースト状の『栄養補給スタミノール』だったそうだ。2010年に亡くなってしまったフレンチブル松くんの介護でも、スタミノールは大活躍したそうだ。梅ちゃんも薬が必要な時は、即効性を高めるために、これを使っているという。そして、ななちゃんの介護では、命を救うほどの効果があったそうだ。ななちゃんは、今年の10月30日から12日間、一切食べ物を口にしなくなってしまった。もちろん、薬も飲んでくれなかったそうだ。そこでご夫婦は、粉末状にした薬をスタミノールで練ってガム状にし、喉の方に投げ入れるように服用させてみた。その際、きちんと栄養がとれるよう『生姜粉・魚の粉・ヤギミルクの粉』も一緒に練って与えたという。毎日この方法で薬と栄養を与えていたところ、12日目にしてようやく食欲を取り戻し、今ではすっかり回復したそうだ。食べてくれないからといって諦めるのではなく、ではどうすれば良いのかということを考え続けたからこそ、最良の結果を呼び寄せたのかもしれない。

誰かの介護が必要になった時、 しつけの重要性を再認識する

 フレンチブルの良いところは、他の犬にはない豪快さだ。食欲が旺盛だったり、誰にでも懐いて飛びついたり。これはフレンチブルの長所であると同時に、短所になってしまうこともある。例えば、多頭飼いのうち一頭が高齢や病気によって介護が必要になったとき、オーナーは付きっきりで看病することになるだろう。そんなとき、介護犬の食餌を横取りしたり、嫉妬をして飛びついてきたらどうなってしまうだろうか。

 梅ちゃんは、決して仲間の食餌を食べたり介護の邪魔をしない。自分に与えられたものだけ食べるよう、小さい頃からきちんとしつけられてきたからだ。オーナーがななちゃんに付きっきりで看病しているときも、絶対に邪魔をせずその様子を静かに見つめているという。もちろん、松くんのときもそうだった。もし、看病の最中に梅ちゃんが飛びついてくるようなことがあったら、きっと適正な処置はできなかっただろう。

「愛犬のしつけが必要だ」と気づいたときにはすでに遅かった、などということがないように、小さい頃から、飼い主の手できちんとコントロールできるようにすることが重要だ。多頭飼いをしていなくても、赤ん坊やお年寄りの看病が必要になったとき、きっと大人しく見守ってくれるだろう。

フレンチブルの特性を理解すること、 愛犬を理解し続けることを心がけよう

 梅松家のシニアライフが円満な理由は、小さい頃から『しつけができていたこと』、常に『愛犬の特性を理解しようとしていること』なのかもしれない。情報をインプットする量が多ければ多いほど、いざというとき的確な対処法を見つけやすくなる。

 長生きするコツは永遠のテーマだ。しかし、愛犬のことを思って行動する日々の積み重ねが、いつかその答えを導いてくれるはずだ。

BUHI vol.33(冬号・2014年12月発行)より

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