保護猫に囲まれて とよた真帆の日々(1)
ロケ地で出会う助けを呼ぶ鳴き声
母が動物好きで、3歳の時には8匹の保護猫に囲まれていました。30歳でひとり暮らしを始めて、最初に飼ったのがしーちゃん(オス、推定享年15歳)です。
写真集の撮影で琵琶湖を訪れていたとき、納屋のようなところに1匹でいるのを見つけました。近所の方に聞くと、親猫が放ってしまった子だと言うので、引き取りました。それから毎年のように、ロケの現場などで親猫に見捨てられるなどした猫に出会うようになり、いまでは5匹の猫と一緒に暮らしています。
いつも、「ニャーニャー」という鳴き声を聞きつけてしまうんです。ずっと猫に囲まれてきたので、それが助けを呼んでいる声なのか、親猫に甘えているだけなのか、聞き分けられます。助けを呼ぶ声につられて近づいていくと、そこに出会いがあるんですね。飼い主はいないのか、親兄弟と一緒ではないのかなどを確認して、ひとりぼっちで困っている子を保護しています。
いま我が家の最年長はフィオ(オス、推定15歳、右の写真)。多摩スタジオでドラマの撮影をしていて、休憩時間に、溝に落ちているのを見つけたんです。休憩のたびに様子を見に行ったのですが、いつまでたっても親猫が迎えに来ない。それで保護することにしました。
5匹それぞれの個性 狩人に、お洒落さん
フィオは優秀なハンターなので、野良猫だったとしてもたくましく生きていたかもしれません。とても俊敏で、外に出かけてはよくネズミを捕まえてくるんです。おかげで私もネズミの種類が見わけられるようになりました(笑)。
狩りに成功したときはテンションが高く、失敗したときは落ち込んで戻ってきます。ただ私としては、仕事で深夜に帰宅してフィオの狩りの成果を見せられたりすると、どっと疲れます……。
年長組のもう1匹、うぶうぶ(オス、推定14歳)は、おしゃれな猫です。自分の毛並みをとっても気にしていて、ほかの猫になめられるのは大嫌い。一方でいい匂いが好きで、私の化粧品などに顔や体をこすりつけて、いつもいい匂いをただよわせています(笑)。
うぶうぶは、泉岳寺に1匹で取り残されていたのを保護しました。そのころに何かあったのか、手がこわいみたい。手を上からさしのべると、パンってたたかれます。それにちょっといらちなところがあって、横を通ろうとすると、必ずたたかれます。
保護猫はやっぱり、何かしらトラウマを抱えているところがあるんですね。(続く)
(朝日新聞 タブロイド「sippo」 No.23(2014年7月)掲載)
◇ とよた真帆 (とよた・まほ)
1967 年東京生まれ。女優として活躍するほか、美術の才能を生かして写真や絵画の個展開催、京友禅の絵師として着物のデザインを手掛けるなど幅広い分野で活動している。現在ベルギーワロン・ブリュッセル観光大使を務める。TOKYO ZEROキャンペーン呼びかけ人。公式ブログはこちら
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