動物愛護法ってどんな法律? より良い法律にするために知っておきたいQ&A
これから改正に向けての検討や作業が本格化する「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護法)。前回は、次の改正でJAVAが実現させたいと考えている「自治体職員のGメン化」についてお伝えしました。今回は、動物愛護法の基本情報をQ&A形式でお伝えします。
動物への思いやりを持ってくださっているsippo読者の皆様には、この法律のことを知っていただき、より良い法律にするために一緒に取り組んでいただけたら幸いです。
動物愛護法に関するQ&A
Q1 いつ、誰によって制定された法律ですか?
A. 1973年に議員立法で「動物の保護及び管理に関する法律」として制定され(1999年改正で「保護」が「愛護」に変更)、その後4度の改正もすべて議員立法で行われました。次の改正も議員立法で行われる予定です。そのため、国会議員への働きかけが重要となります。なお、所管省庁は環境省です。
Q2 どのような動物が対象になっていますか?
A. 原則は「人が飼養・占有している動物」ですが、一律ではなく、次のように条文によって若干異なっています。
基本原則等[第2条等]… 動物一般
動物取扱業の規制[第10条~第24条の4]… 哺乳類・鳥類・爬(は)虫類(実験動物、畜産動物を除く)
※ 8週齢未満の展示販売規制など犬猫のみ対象となっている条項もある。
特定動物の規制[第25条の2~第33条]… 政令で定められた哺乳類、鳥類、爬虫類(Q3参照)
自治体による引取り[第35条]… 犬猫
自治体による負傷動物や死体の収容[第36条]… 犬猫、その他
繁殖制限の努力義務[第37条]…犬猫
殺す場合の苦痛の軽減の努力義務[第40条]… 動物一般
※ 「動物の殺処分方法に関する指針」が適用されるのは愛護動物のみ
実験に利用する場合の苦痛の軽減等[第41条]… 動物一般
※ 環境省の実験動物の基準、文科、厚労、農水3省の動物実験の基本指針が適用されるのは哺乳類、鳥類、爬虫類のみ
殺傷・虐待・遺棄の禁止[第44条]… 愛護動物(Q4参照)
Q3「特定動物」とはどのような動物のことですか?
A. 国が定めた人に危害を加えるおそれのある動物とその交雑種です。チーター、クマ、ゾウ、コンドル、ワニなどの哺乳類、鳥類、爬虫類約650種が対象となっています。
以前は、知事または政令指定都市の長の許可を得れば、愛がん目的で特定動物を飼うことが許されていましたが、JAVAをはじめ動物保護団体による国や国会議員への働きかけにより、2019年の改正で禁止となりました(改正前に許可を得ている個体はのぞく)。
動物園での展示や試験研究など国が認めている目的であれば、引き続き許可を得ての飼養が可能ですが、その場合、基準を満たしている動物が脱出できない構造の飼養施設で飼養管理することや、マイクロチップ(鳥類は脚環も可)による個体識別措置等が義務づけられます。
なお、無許可での飼養をはじめ違反をすると、個人の場合は6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金、法人の場合は5,000万円以下の罰金に処せられます。
Q4「愛護動物」とは何ですか?
A. 次のような行為を行った場合に下記の第44条の懲役や罰金の罰則が適用される動物です。
① みだりに殺す、傷つける(5年以下の懲役または500万円以下の罰金)
② みだりに暴行を加えたり、給餌給水をやめたり、過密飼育等したりして衰弱させる、病気やけがを放置するなど(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)
③ 遺棄する(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)
対象になる動物種は、牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる、その他、人が占有している哺乳類、鳥類、爬虫類です。
Q5 動物取扱業の対象にはどういった業がありますか?
A. 営利目的で業を行う「第一種」と非営利で行う「第二種」があり、次のような業が対象です(いずれも畜産関係や実験関係の業は対象外)。第一種は都道府県知事等への登録、第二種は届け出が義務付けられています。
【第一種】※( )内は業の一例
販売(ペットショップ、ブリーダー)、保管(ペットホテル、ペットシッター)、貸し出し(タレント動物派遣)、訓練(トレーナー、調教)、展示(動物園、水族館、サーカス、ふれあい動物園)、競りあっせん(動物オークション)、譲受飼養(老犬老猫ホーム)
【第二種】
譲渡し、保管、貸出し、訓練、展示を行う、動物愛護団体のシェルターや非営利で動物を展示している公園など
Q6 犬猫の殺処分などが実施されているのはなぜですか?
A. 犬猫の殺処分などは、動物愛護法のもとに細かい規則や基準が書いてある政令や省令、告示、通知等が出されていて、環境省のウェブサイトに掲載されています。
動物愛護センターなどでの犬猫の殺処分に関する条文は法律本文にはありません。ですが、「犬及び猫の引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」という告示に収容した動物の処分方法として、飼い主への返還や新しい飼い主への譲渡とともに殺処分も書かれているため、これを根拠に自治体は殺処分をしているというわけです。
法律そのものには細かいことまで盛り込めないので、このように法律から政令などにリンクされていて、これらの規定を根拠に行われていることが様々あります。
これからも動物愛護法やその改正に関することをお伝えしてまいります。
(次回は5月13日公開予定です)
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