飼い主の匂いがついたモノでは落ち着かない… ネコを預ける人は必見の実験結果
旅行や出張など、やむを得ない事情でペットをペットホテルや知人の家などに預ける場合があります。そんな時、ネコなどが寂しくならないように、飼い主の匂いのついたモノを一緒に預けると良いと聞いたことがあるでしょう。今回は、その飼い主の匂いのついたモノは、果たしてネコにとって安心できるモノなのかを検証した論文“The effect of owner presence and scent on stress resilience in cats”を紹介します。
飼い主の靴下は安全基地なのか
ネコは飼い主に愛着があると知られており、飼い主がいると不安が軽減したり、探索行動が増えたりするといわれます。これは、飼い主が安全基地(Secure Base)になっていると考えられているからです。ヒトにおいても、母親と赤ちゃんの間には絆があり、この安全基地がしっかりと機能していると、母親といることによりストレスが軽減されるといわれます。
また、ネコは嗅覚(きゅうかく)がすぐれており、匂いによるコミュニケーションも重要とされています。例えば、子ネコは匂いだけで、母ネコとそうでないネコを区別することができます。また、成ネコになってもネコ同士やヒトに対して、頭や体をこすりつけるといった、匂いのコミュニケーションをおこなっています。
今回、アメリカ・オレゴン州の研究チームは、飼い主の匂いのついたモノがネコにとって安全基地になり、ストレスが軽減されるのかを調査しました。
調査には1歳以上の42匹のネコが参加しました。方法は、まず飼い主の匂いのついた靴やくつ下、パジャマや毛布などを用意します。部屋に入った飼い主は半径1メートルの円の中に座り、ネコは自由に動き回ります。その後、飼い主だけが部屋を出て、ネコだけが残ります。
続いて、飼い主の匂いがついたモノを円の中心におく、または飼い主が戻ってくる場合のネコの行動を記録しました。
飼い主の匂いだけだと不安になる!?
飼い主が不在になるとネコは多くの場合、鳴き続けましたが、飼い主が戻ってくると鳴きやむことが多かったようです。しかし、飼い主の匂いのついたモノ(靴やくつ下、パジャマや毛布など)を置いた場合は多く鳴くことがあり、しかも、何も置かない場合よりも鳴く回数が増えるという結果になりました。
イヌでは、飼い主の匂いがついたモノは、恐怖行動を減らすという結果があります。しかし、ネコの場合は、匂いがついたモノを置くと、余計に分離不安的な行動を増やしてしまいました。よかれと思って、飼い主の匂いがついたモノを一緒に預けていたヒトにとっては、ショックな結果かもしれません。
年末年始に旅行などへ出かける場合、ペットホテルなどに預ける人は多いと思います。その際に一緒に預けるのは、ネコ自身の愛用オモチャだけにして、飼い主の匂いのついたモノは預けないほうがいいかもしれません。
今回ご紹介した論文
The effect of owner presence and scent on stress resilience in cats
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