脱走魔の愛猫が今回ばかりは帰って来ない 鬼ごっこのつもりか家族をほんろう

 「大切なペットが脱走した!もう戻ってこないのでは……」そう感じている方に知ってほしい。逃げた犬や猫の帰還ストーリーと、経験者に聞く保護のアドバイスです。

(末尾に写真特集があります)

脱走魔だった子猫時代

【逃げたペットについて】
名前:ペコ
性別:メス
種類:雑種猫
年齢:脱走当時 推定1歳
いなくなった場所:BBQ中、出入りのために網戸を開放した隙に出て行った

 今からおよそ10年前の2013年、愛猫のペコは啓美さん一家に仲間入りした。

「当時は母の調子が悪く、家の中が明るくなるといいなと思って、妹の知り合いが保護した子猫を迎えたんです」

「ペコ」と名付けられた生後1〜2カ月の子猫は、俊敏で好奇心旺盛。日ごろから、“プチ家出”を繰り返していたという。

「ある時は網戸を自力で開け、ある時は玄関を開けた家族の後ろから飛び出し……ペコは小さな隙を見つけては、しょっちゅう外に脱走していました。我が家で猫を迎えるのは初めてでしたし、当時は猫の脱走対策の知識もなくわからないことだらけ。網戸から逃げたら網戸ロックをつけるなど、脱走のたびにひとつひとつ対策を学んでいったんです」

帰らなかった夜

脱走当時、推定1歳だったペコ(啓美さん提供)

 啓美さんがペコの脱走に本格的に危機感を持ったのは、生後1歳ごろに起きたある出来事がきっかけだ。

「ペコはそれまで、逃げてもすぐにご近所さんからの通報で見つかって、家族が確保できていたんです。だから心のどこかでは“逃げても捕まえられる”とタカをくくっていたのかもしれません。でも、あのときの脱走は違ったんです」

 あのときというのは夏の夕方。一家は庭でBBQを楽しんでいた。家族の出入りのために一瞬開けた網戸からペコが出てきて庭を横切り、隣家の敷地の間にある柵の隙間から、するりと出ていった。

「ペコ!?」。一部始終を見ていた啓美さんがあわてて追いかけるも、ペコはどんどん遠くへ行ってしまう。

【いなくなった時にしたこと】
・ペコの好きな餌やおもちゃを持って追いかけた
・近隣の敷地を探させてもらった
・窓を開けて帰りを待った

 愛猫が目の前で脱走した家族は、大慌てで捜索を開始。

 ペコの首輪に鈴がついていたことや、真っ白の毛が目立つことから、姿を捉えるのは難しくなかった。しかし当時1歳だったペコは、すばしっこい上にヤンチャ盛り。自分のことを必死で追ってくる家族を遊び相手のようにあしらった。

「鬼ごっこでもしているつもりだったんじゃないですか。隣のお宅の庭で姿を見つけて、許可をとって入らせてもらうと、私たちの顔をしっかり見ながら、手の届かない場所へと逃げ込んだんです」

朝帰りの現場

 脱走に気づいた午後5時ごろから深夜まで、ペコは家の周りを何十週もぐるぐると周って逃げ続け、結局、その日のうちに捕まえることができなかった。

「夫は『絶対にペコは帰って来られるよ』と言いましたが、これまで何度逃げても捕まえられなかったことはなかったので……。本当に帰ってくるのか心配でした」。啓美さんは当時の気持ちを振り返る。

若い頃は活発でおてんばだった(啓美さん提供)

 朝まででもペコを追いかけるつもりだった啓美さんだが、ペコがいつでも帰れるようにリビングの窓を開放し、ソファで眠ると申し出た息子に甘え、自分は一度、2階で休むことにした。

「少しだけ眠りました。朝5時を回ったころに目が覚めて、リビングに降りていくと、窓の方から気配を感じたんです」

 そこには窓から家の中に入ってくるペコの姿があった。啓美さんが慌てて駆け寄り抱き上げると、ペコは抵抗もせずすんなりと啓美さんの腕におさまった。

「悪びれもせず、いつも通りすました顔をしていましたね。ケガはなく、体もきれいだったんですが、念のためそのままシャンプーをしました」

外気浴で満足

推定10歳の今は、ベランダでの外気浴が日課(啓美さん提供)

【今回の脱走から学んだこと】
・猫の性格や年齢によっては、追いかけるよりも待った方が効果的
(ペコは家族が追いかけるのを楽しんでいた)
・鈴をつけていたことで、居場所がわかりやすかった

 現在10歳を迎えたペコは、6キロもの巨体に仕上がったものの、変わらず家族のアイドルとして君臨している。見た目からは俊敏だった子猫時代の様子は見る影もないが、いまだに外への興味は失っていないという。

「逃げ出すことはなくなりましたが、やはり外には出たがるので、逃げないように高い壁で囲った2階のベランダに開放してやったりしています」と啓美さん。

おやつも楽しみのひとつ。「体重が少し増えて……」と啓美さん(啓美さん提供)

「色々なリスクを考えると、本当はお外に触れない環境が一番いいんですけどね。ペコの性格と長年の感覚で “もう逃げない”という雰囲気はあるんです。ベランダに出ても、以前のように俊敏に動くことはなくて、気持ちよさそうに風に当たっていたり、柵の隙間から外を見ていたり。ほどよいタイミングで呼びに行って目配せすると、自分から戻ってきてくれます。どんな猫ちゃんにもおすすめできる方法ではないのですが、我が家のペコの場合は、確実に安全が確保された空間で外気浴を楽しんでもらうことで、脱走への欲求を抑えられているのかなと思います」

【前の回】真夏日に窓を開け間違い愛猫が脱走 隠れていたのは意外な場所だった

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原田さつき
広告制作会社でコピーライターとして勤務したのち、フリーランスライターに。SEO記事や取材記事、コピーライティング案件など幅広く活動。動物好きの家庭で育ち、これまで2匹の犬、5匹の猫と暮らした。1児と保護猫の母。猫のための家を建てるのが夢。

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この連載について
迷子のペットが帰ってくるまで
「大切なペットが脱走した! もう戻ってこないのでは……」そう感じている方に知ってほしい、逃げた犬や猫の帰還ストーリーと経験者に聞いたお話です。
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