忘れられない2023年の夏 愛犬にリンパ腫の宣告、続く食欲不振…そして快方へ
いつか2023年の夏を思い出すときがくるならば、記録的な連続猛暑日のなか、毎日のように動物病院に通っていたことを思い出すでしょう。
初夏に始まった愛犬たちの不調
「ココ」と「ハンター」の食欲が同時に落ちたのは6月初旬のこと。この連載でも2回にわたって書かせていただいたように、血液検査をしてもらった結果、「治療をすれば、少し前のような体調に戻れる」と『動物医療センター赤坂』の西田純平院長に言っていただき、毎日、点滴や注射をしてもらっていました。
「らせん階段を上がるように」ゆっくり回復していったココは、途中、かなり広い“踊り場”に滞在しましたが、通院は週に1回になり、2週に1回となって、9月初旬、やっと「次は3週間後で」と言っていただきました。
食べないココに対し、手を変え品を変え、少しでも食べてくれるものを探して手移しでゴハンをあげるひとときは、闘いとも言っていいものでした。
実は並行して、ハンターには「リンパ腫」の診断がくだり、2週間に1度、抗がん剤投与をすることに……。告知を受けたときには本当に目の前が真っ暗になり、同じ病気で虹の橋を渡って行った長女「ピン」のことが重なりました。
ハンターのリンパ腫治療
西田院長によれば、ハンターの「リンパ腫」は脾臓(ひぞう)と肝臓の双方に“悪さ”をしている珍しいタイプとのこと。
そのため、どの抗がん剤を選ぶか、どれぐらいの頻度で投与するか、西田院長も悩んでいらっしゃるようでした。
系列の動物病院の先生方のご意見も聞きながら西田院長が選んでくれた抗がん剤は、ハンターにはよく効いて、1回目も2回目も、いわゆる“寛解状態”となりました。
投与後2~3日は副作用なのかゴハンに全く口をつけられなくなるのですが、それにも慣れて、ココと共にハンターの病院通いも頻繁に行っていたのです。
誕生日を元気に迎えたココ
ココは8月初旬から劇的に回復し、ガリガリにやせていたカラダに肉が付き始め、なんと筋肉まで付くようになったのです。理由は、しっかりゴハンを食べられるようになったから。ケーキや「ちゅ~る」などではありません。ドライフードをふやかして、トッピングをしたゴハンをハンターやマルよりも食べてくれるようになったのです。
なんと、8月30日の17歳の誕生日もお祝いできて、徘徊(はいかい)とは異なる足取りで家じゅうを歩き回ることもできるようになりました。
誕生日の数日前は、某メディアの取材で、広い芝公園をお散歩することもできました。失明させてしまってから、いろいろなところにぶつかってしまうので、ほとんど外でのお散歩はしていなかったココでしたが、久しぶりに何もぶつかるものがない場所を歩けて、その後、「ワンコOK」のイタリアンレストラン『8dori』(芝・大門)でも撮影をしてもらい、誇らしい顔になっていました。
一方でハンターは…
一方、ハンターは5回目の抗がん剤予定日の2日前から、急にゴハンを食べなくなってしまいました。慌てて病院に連れて行き、前倒しで少し強めの抗がん剤を投与してもらったのですが、食欲は約2週間、全く戻ることはありませんでした。
匂いがダメなんでしょうか。これまで大好きだったゴハンやトリーツにもそっぽを向き、全く口をつけてくれないハンター。唯一、食べてくれたのは、「消化器サポート」のクッキーで、私が口の中で砕いて唾液で少し湿らせてあげたものなら、1度に4~5枚も食べてくれました。
なんとも味気ない味で、夫いわく「鯉の餌みたいな匂いがする」。これまで「消化器サポート」のドライフードには食いつきが悪かったのに、なぜ急にクッキーが大好物になったのか……。
でも、「食べられるものがあって良かったです」と西田院長になぐさめられ、毎日、ハンターのためにクッキーを口の中で砕いていました。
やがてハンターへの抗がん剤投与は2週間に1回から毎週へと変わり、お薬の内容も変わりました。最初に西田院長から説明を受けたように「耐性ができてしまう」時期に突入してしまったのです。
当然のことながら「お金も倍かかります」と言われました。でも、ハンターが少しでも元気になってくれるなら、と……。
また食べられるように!
果たして、新しい抗がん剤は、食欲不振の副作用を起こすこともなく、ハンターは約3週間ぶりに自分のお皿でゴハンに食いついてくれました。
最初の2日こそ、半分しか食べられませんでしたが、この2~3日は、やっと完食してくれるようになり、全種類のトリーツに「ちょうだい、ちょうだい」をします。
振り返れば、ココ、ハンター、そして「マル」の3匹全員がゴハンを完食してくれたのは6月の初旬以来です。「食べられる喜び」と「食べてもらえる喜び」がこんなにうれしいことだとは思いませんでした。
忘れられない夏に
当初、なぜココの通院をあれほど共に頑張っていたかというと、実は私自身、子宮筋腫の除去手術のため8月中旬に入院を予定していたからでした。
その間、ココやハンターが深刻な状態になってしまわないように頑張っていたのです。(夫は投薬の事情さえ知らない、私のワンオペ状態でしたので……苦笑)
猛暑の中の連日の動物病院通いは本当に過酷なものがありましたし、自分の身体のことも心配しながらでしたから余計でした。
幸い、私は術後の経過が超良好で、すぐに仕事に復帰でき、ココも命拾いをさせてもらって、ハンターはまた寛解へと望みをもっているところです。
もう一つ、8月といえば、31日はピンの命日でした。本当に大変な思いをしましたが、私も含め、そろって乗り越えることができたのは(ハンターはまだ途中ですが)、ピンが守ってくれたからだと信じています。
2023年の夏がやっと終わろうとしています。私はこの夏のことをきっと忘れないと思います……。
(次回は10月10日公開予定です)
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