好きなものをおいしく食べてくれたら ご飯待ちをする16歳の愛犬「ココ」の姿に涙

診察台にのるココ。だいぶ足腰がしっかりしてきた

 今回は、リンパ腫の告知を受け、2週に1回の抗がん剤投与をしている「ハンター」について書く予定だったのですが……また「ココ」の話になります。

安定しない体調

『動物医療センター赤坂』の西田純平院長いわく、「螺旋(らせん)階段を上がるように、ゆっくり回復」傾向にあったココ。血液検査の数値は本当に“ゆっくり”と、良くなるところもあるし、やや停滞しているところもあるし……でしたが、本当に回復しつつありました。

 そこで、“半日入院”の点滴と注射を一度ストップして様子をみていた、わずか3日後、またご飯を食べなくなってしまいました。結果から書かせていただくと、その後また半日入院を1週間以上続け、体重も少し増え、自分の力でしっかり立ったり歩いたりできるようになったため、また投薬と皮下点滴のみになり、現在はまた投薬だけに切り替わったところです。

皮下点滴をしてもらっているココ

 体重はまだ2kgに満たないのですが、抱っこした感じが全然違います。力強さが私の手のひらに伝わってくるのです。

「ココちゃんは強いですね」「生きようとする気持ちが伝わってきます」と西田院長に言っていただいた日は、なんだか誇らしくてうれし涙が出てしまいました。

 もちろん前回のことは、それほど前の話ではありませんから油断はできませんが、私にとって、本当に強い味方でしかない『動物医療センター赤坂』のスタッフの皆さんのおかげで、気持ちが折れることなく、ココと共にがんばっている日々です。

最高のごちそうを

 また、がんばれる最大の理由の一つに、ココの食欲が戻って来てくれたこともあげられます。

 人間には「ピンピンコロリ」という言葉で表現される理想的な旅立ち方がありますが、そういう方は最期まで食欲があって、ご自宅で食事をしていらした……と聞いたことがあります。

 犬にもそんな旅立ち方があるのかどうかわかりませんが、愛犬を送った方たちの多くから、「最後は食べてくれるものを食べさせていた」とアドバイスをいただきました。

 たとえばそれは、「ケーキ」です。

 子供の頃の記憶しかない曾祖母とのひとときを思い出してしまいました。晩年、曾祖母が大好きだったのは自由が丘にある『モンブラン』のシュークリーム。カスタードクリームがギッシリ詰まった大振りのもので、シューの上にたっぷり粉砂糖がかかっていました。曾祖母を訪ねる全親戚が同店のシュークリームを毎回お土産に持って行っていたのですが、彼女はシューには口をつけず、いつもカスタードクリームだけをスプーンですくっておいしそうに食べていたものです。

マルの誕生日に

 実はココにもっとも手がかかっていた(それは今でも同じですが)、「マル」が誕生日を迎えました。保護犬ですから正式譲渡から少し経った「七夕」を誕生日に選んで3年目。たぶん9歳です。誕生日当日、マルに何もしてあげられなかったので、1週間ほど遅れてしまいましたが、某店で冷凍の犬用ケーキを何個も買ってきて、お祝いをしました。

マルに買った犬用の誕生日ケーキ

 マルはもちろん、ハンターも“お裾分け”をおいしそうに食べ、ココもクリームの部分をパクパク食べてくれました。

 冷凍ケーキが入るストックにあったケーキや豆乳ヨーグルト、プティフールのような小型ケーキなどなど、全種類を買ってきたこともあり、しばらくは、3匹ともケーキばかり食べていました。

 それでもいいと思いました。おいしいと思えるものをおなかいっぱいになるまで食べられるのならば……と、ケーキの後に、大好きな玉子焼きをちょっとだけあげた日もありました。

ココが大好きな玉子焼きサンド

 そんな“ココのご飯”に最近、意外なものが加わりました。それは『動物医療センター赤坂』が利用している「ユニ・チャームペット グラン・デリ 国産鶏ささみ入り 4個パック」。「コンビニでも売っていて、これをトッピングしてあげると、よく食べてくれました」と教えていただいた日は、「え?コンビニですか?」と聞き返してしまうほど驚いてしまいました。

 確かに今はコンビニにもドッグフードやトイレシート、トリーツなどが並んでいます。なのにコンビニで売っているそれらをなんとなく敬遠していた私……。そういうモノは専門店で買わなければいけないものだと思っていたので、前述のケーキ含め、けっこう遠方まで買いに行っていました。

 近所のコンビニと聞き、いっきにハードルが下がったし、なんだか心まで軽やかになり、すぐに教えていただいた店に走り、同じものを買ってトッピングとして利用しました。

コンビニで売っている“トッピング”

 それから5日。ココは、劇的にご飯を食べてくれるようになりました。ただ食べるだけでなく、ハンターやマルのためにキッチンでご飯を用意していると、リビングのベッドから起き上がって、スタスタとキッチンまで歩いてきて、ハンターやマルと一緒にご飯ができるのを待っているのです。

 この光景を見るのは2か月ぶりぐらいでしょうか。うれしくて涙が出ました。

『動物医療センター赤坂』の西田院長からは、「ウチの病院でいちばん長寿の子は20歳ですよ。ココちゃんも目指せるかもしれませんね」と本当にありがたいお言葉もいただきました。 

 もうダメかもしれないと諦めていたココの17歳の誕生日まであと3週間余り。それは一つの大きな目標ですが、何よりもココがご飯をおいしそうに食べてくれるのを見るのがうれしくてたまりません。ココ、ありがとう……。そして今月も『動物医療センター赤坂』の先生やスタッフさんに心から感謝です。

(次回は9月12日公開予定です)

【前の回】次々と訪れた愛犬たちの不調 もう少しそばにいて…動物病院に支えられ奔走した1か月

山田美保子
1957年生まれ。青山学院大学卒業後、ラジオレポーターを経て、放送作家、コラムニストなどを務める。『踊る!さんま御殿!!』の構成や、『サンデージャポン』『ドデスカ!+』などのコメンテーターを務める。ほかに雑誌、新聞、WEBに連載多数。

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この連載について
山田美保子の育犬日記
人気放送作家の山田美保子さんが愛犬たちとの日々をつづるブログ。ペット愛好家セレブの御用達グッズなど、芸能界の話題も。
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