愛猫が亡くなるのは悲しい でも、きっと虹の橋で幸せに過ごしていると信じている

保護した翌年のホッピーくん。ちょっとオーバーウェイトだったので5キロを目標にダイエットしていた(由紀さん提供)

 いつか来るペットとのお別れの日――。経験された飼い主さんたちはどのような心境だったのでしょうか。

 2022年10月に雑種猫のホッピー君(推定享年19歳)をお見送りした飼い主の由紀さん。保護猫のボランティア活動もされている由紀さんに、ポッピーくんの亡くなった経過や、ペットの死に対する考え方をお聞きしました。

(末尾に写真特集があります)

海岸沿いの遊歩道でケガした猫を保護

――亡くなった愛猫ちゃんのお名前は?

 ホッピーです。男の子で推定19歳くらいでした。

――推定ということは保護猫ちゃんですか?

 はい、2010年11月末に、海岸の遊歩道にいたホッピーを保護しました。人が結構行き交う遊歩道なのですが、通りかかったとき後ろ脚にケガをしている猫がいたのが気になって、その後また戻ったら同じ場所にいて。ケガは治っていなかったので、そのまま動物病院へ連れていき自宅で飼うことにしました。

――ホッピーくんはすぐ家になじんだのでしょうか?

 すんなり家になじんでくれましたね。人懐っこく、なめるのが好きで、人も猫もよくなめていました。とても飼いやすいいい子でした。また、面倒見のいい子で、新しく来た保護猫たちの世話をよくしてくれていました。

2012年に来た子猫(チャチャ)の面倒を見てたホッピーくん、チャチャくんが亡くなる前日、窓辺で一緒に日向ぼっこをしていた(由紀さん提供)

突然のてんかん発作から3週間で…

――ホッピー君はなぜ亡くなったのでしょうか?

 てんかん発作の蓄積で亡くなったのだと思います。

――てんかん持ちだったのですか?

 いいえ、亡くなる約3週間前の9月11日にいきなりてんかん発作を起こしたんです。その日は2時間に一度の頻度で3回くらい発作を起こしたので、病院へ連れていきました。硬直して2分くらいガタガタ震えるような様子でした。

 てんかん発作だろうということで、発作を抑える薬を処方してもらいました。年齢的に、MRIやCTなどで検査をして脳に異常が見つかったとしても、手術には耐えられないとの判断で、詳しい検査はしませんでした。

――てんかんの薬は効果がありましたか?

 最初の2週間くらいは効果があり、発作を起こさない日もありましたね。でも9月末くらいからその薬が効かなくなって、強い薬に変えたりしてみたのですが、亡くなった日の10月3日の朝には意識がなくなってしまいました……。

――穏やかに息を引き取られたのでしょうか。

 そうですね。意識がない状態で寝ていて、時々呼吸が止まるよう状態、そして深く息を吸って息を吐く、とういう様子だったのですが、その後そのまま眠るように旅立ちました。亡くなった後、ホッピーを保護した場所に行った時には涙が止まりませんでした。

――19歳は大往生だと思うのですが、それまでは健康に過ごしていましたか?

 加齢による腎臓機能の低下があり、目は見えていたと思いますが、耳はほとんど聞こえていなかったかもしれません。また、食べることが好きな子だったのですが、食欲にムラ出てきて、なかなか食べないことも多くなって、筋肉も落ちて脚もふらついていました。トイレの段差の出入りに苦労していました。

 脳については、亡くなる5年くらい前から遠ぼえのように「ワーワー」と鳴くことがありました。獣医師は認知症かもしれないと。亡くなったあとに獣医師と話したときに、遠ぼえのような鳴き方も、てんかんも、脳に腫瘍(しゅよう)か何かがあったのかもしれませんね、と言われました。

亡くなる5日前、発作はかなり体力を奪いぐったりとしていた(由紀さん提供)

苦しみから解放され幸せになると信じている

――由紀さんにとって「ペットの死に向き合う」とはどういうことだと思いますか?

 そんなこと全然考えたことがないので答えが難しいのですけれど……。私は保護猫のボランティア団体に入っていて、地域猫活動などもしています。ケガをしている子や、いじめられている子、年をとっている子など、外で生きていくのが大変そうな子を積極的に保護してペットとしてお迎えしてきました。

 亡くなりかたは1匹1匹その都度違うし、悲しいのですが……でもとにかく猫が逝くときに、「悪くなかったな」と思ってくれたらいいなと思っています。

――そうすると、猫のみとりは何回も経験しているのですね。

 そうですね。ホッピーで7匹目です。

 夫が外国人ということもあって、あの有名な「虹の橋」という詩を信じているんです。なので、猫たちは亡くなったら苦しみから解放されて、楽しく穏やかに暮らしているのかなと。

 彼らが病気で苦しんでいるときに、できることは可能な限りやってあげたけれど、どの子も何かしらの苦しみがあって亡くなっているですから、その肉体的な苦しみから解放された結果、虹の橋には、おいしいごはんがあって、よい気候で、楽しい場所で、みんな幸せなんだと思うことにしています。そして、私が死んだら、その子たちが虹の橋まで迎えに来てくれると信じています。

左から先住猫のブラウニーちゃん、よく面倒をみていたチャチャくん、ホッピーくん。3匹でエアコンの温風が出る場所で温まっている様子(由紀さん提供)

<取材を終えて>
 猫の死はいつも悲しいけれど、「亡くなった先にはきっと幸せな場所がある」と言う由紀さん。保護猫の引き取りだけでなく、地域猫への餌やり、譲渡先の仲介などを積極的にしているそうです。「自分が少しでもかかわった猫たちには幸せになってもらいたい」とお話してくださいました。

【前の回】立て続けに起きた愛猫と愛犬の別れ 後悔が残り、これから何ができるのか考えた

岡山由紀子
某雑誌編集者を経て、2016年からフリーのエディター・ライターとして活動。老犬と共に暮らす愛犬家。『人とメディアを繋ぎ、読者の生活を豊かに』をモットーに、新聞、雑誌などで執筆中。公式サイト: okayamayukiko.com

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この連載について
ペットの死に向き合う
いつか来るペットとのお別れの日。経験された飼い主さんたちはどのような心境だったのでしょうか。みなさんの思いを伺います。
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