愛猫のために自動給餌器を導入したが何かが足りない 便利になって気づいた大事なこと
イケメンのオス猫2匹と妻子と暮らす朝日新聞の佐藤陽記者が、猫好き一家の歴史をふりかえりながら、日々のできごとをつづります。
猫たちのために自動給餌器を買ってみた
娘2人が大きくなり、記者夫婦も親の介護で出かける機会が増えた。それに伴い生活スタイルも変わり、家を留守にすることも増えた。
もちろん、出かける前にはジャッキーときなこに多めにカルカリを入れておく。それでも帰宅した時には玄関の近くで家人の帰宅を待ち、帰ってくると「どこほっつき歩いていたんだよ! めちゃくちゃおなか空いてんだぞ!」と言わんばかりにアピールしつつ、お茶わんまで猛ダッシュ。
食事を待たされる2匹のストレスと、ニャンコが待ってるという家人の心配を解消すべく、今夏、わが家に自動給餌(きゅうじ)器なるものを買ってみた。
妻が1週間ほどかけてブログや口コミなどを調べ上げ、候補を絞っていった。
その条件とは、一日何回タイマー設定ができるか。餌の出てくる量が細かく設定できるか。停電に備えて電源は電気コードと電池の2WAYかなど。
それに加えて色々調べてみると、ふたにロックがないとこじ開けて勝手に食べてしまうとか、賢いニャンコはカリカリが出るボタンを学習し、自分で押して食べてしまうなどの口コミがあった。確かに、そういう機種には「まれにそういう猫がいます」と説明書にある。
我が家には学習能力が高いジャッキーがいるので、そういうポイントは無視できない。
熟考し条件をクリアした1台を購入。
マンションのキッチンには少々存在感が大きいが、頼りがいのあるオーラが出ている。
録音機能もあり「ジャッキー、きなこ、ごはんだよ〜」と2回呼びかけてからカリカリが出てくる。量も50段階あり、ごはんとおやつ代わりと量も調整できる。
器がステンレスなので出てくる時の音が、銀行のATMの受け皿に1円玉が出てくるイメージだ。
最初の数回はその音に驚いて逃げてしまったが、ジャッキーはカリカリはこうやって出てくるものなのだと理解し、その後は音声の呼びかけに反応して給餌器にやってくる。小心者のきなこはというと、カリカリが出きってから、やってくる。
便利になって気づいた「大事なこと」
確かに、決められた時間に決められた量が出てきて、留守中は何も心配がない。むしろありがたい。しかし、何かが足りない気がする。
その時の猫の様子を見ながらカリカリの量を調節し、食べっぷりをみて体調をチェック。そして何より「早くカリカリくれ〜」と、つきまとわれ、せがまれるのはコミュニケーションなのだ。
今までは、それが時にはうざったく思うこともあったのだが、実はれっきとしたコミュニケーションで、飼い主に与えられた特権だということに気がつかされた。
もちろん、買ったからには長時間留守にする時は使うが、誰かが家にいる時は、今まで通りお皿に入れてあげようと思う。
便利だなと思うものには気持ちが通わない。
そう遠くもない老後に、AI搭載のロボットに食事を与えられる自分の姿を重ね合わせた。身震いがした。
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