ネコと飼い主の信頼関係に迫る! ネコの愛着行動調査をしたら意外な結果に?
イヌと比べて自立していてなかなか甘えないといわれているネコ。でも、実際にネコと暮らすと思っていた以上にくっついてきたり、甘えるような行動があると感じるヒトも多いのではないでしょうか。そこで今回は、ネコのヒトへの愛着について調査した論文“Attachment bonds between domestic cats and humans”を紹介します。
愛着行動のパターンとは?
ヒトの親子の間には強い絆があり、またイヌと飼い主の間にも同じような信頼関係があるといわれています。しかし、ネコが飼い主に対してどのような愛着行動を示すのかはわかっていませんでした。
そこでアメリカ・オレゴン州立大学の研究チームは、ネコのヒトへの愛着について心の安全基地テスト(セキュアベーステスト)を用いた調査をおこないました。心の安全基地とは、心理学者のメアリー・エインスワースが提唱した理論です。子どもは親と信頼関係が育まれていれば、心の安全基地があることで外の世界を探索でき、安心して親のもとに帰ってこられるというもの。この理論を検証するために、生後3~8カ月の子ネコ70匹が調査に参加しました。
調査方法は、まずネコと飼い主が部屋に入り、飼い主は床に描かれた半径1メートルの円の中に座ります。ネコが円の中にいる時は、飼い主はネコに触れたり交流をすることができます。2分後、飼い主だけが部屋を出ます。さらに2分が経ったら部屋に戻り、円の中に座ります。合計6分間の行動をビデオカメラで撮影し記録しました。
ネコの愛着パターンはイヌよりもヒトに近しい!?
撮影したビデオを心理学者ジョン・ボウルビーの愛着理論に沿って「安定型(secure)」「不安定型(ambivalent)」「回避型(avoidant)」の3タイプに分類しました。調査の様子はこちらの動画で見ることができます。結果、子ネコの場合64.3%が安全の愛着パターン、35.7%が不安の愛着パターンであることがわかりました。
注目すべきは、安全の愛着行動をとるネコの比率が、ヒトの幼児でみられる比率(安定型65%、不安定型35%)にかなり近かったということ。また、2018年におこなわれた同じようなイヌの愛着行動調査の結果(安定型58%、不安定型42%)よりも、ネコのほうがわずかにヒトの結果に近いということもわかりました。
また6週間の社会化トレーニングをおこなった子ネコや、1歳以上の成ネコも同じような結果となりました。これらの結果から、ネコと飼い主の関係は、ヒトの親子のような信頼関係がみられ、また成ネコになっても続いていることがわかりました。
日頃、一緒に暮らしているネコの気持ちがわからないと感じるヒトもいるかもしれませんが、この実験結果のように多くのネコはヒトに愛着を感じているようです。イヌや幼児と同じようなわかりやすい表現ではないかもしれませんが、ネコなりの飼い主への愛着があるのかもしれません。
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