脱走した愛猫を近所で見かけるも逃げられ2カ月半後に保護! 捜索は時間帯が重要
「大切なペットが脱走した!もう戻ってこないのでは……」そう感じている方に知ってほしい。逃げた犬や猫の帰還ストーリーと、経験者に聞く保護のアドバイスです。
玄関ドアから脱走
- 【逃げたペットについて】
- 名前:マフ
性別:オス
種類:MIX猫
年齢:当時、推定4歳
いなくなった場所:自宅
理由:家族が近所の猫が遊びに来たのに気づいて玄関を開けたところ脱走
状況:7月後半の日中
保護までの日数:72日間
レイラさんの愛猫のマフが自宅から脱走したのは、夏真っ盛りの7月の終わりのことだった。レイラさんが出先で家族からの電話の着信に気づき、出てみると「マフが脱走した」と言う。聞けば、近所で飼っている猫が遊びに来たのでドアを開けると、背後に音もなく張り付いていたマフがするりとドアから出て行ったのだそうだ。
慌てて帰宅し、当時自宅にいた息子、娘とともに捜索に出ると、近くでマフの唸り声が聞こえる。
「すぐそばに潜んでいるのはわかるんです。でも姿が見えたと思うと尻尾を膨らまして走り去ってしまう。どうにも興奮状態で近づけませんでした」
近所で発見するも逃走
- 【いなくなった時にしたこと】
- ・迷子ポスターを作成して人目につく場所に貼った
・ご近所さんに協力を呼びかけた
・ペット探偵に連絡した
レイラさんたちが近所を探し回っていると、逃亡中のマフが再び姿を見せた。
「家から300メートルくらいの場所で、塀の上を歩いているところを発見したんです。私たちが『マフ!』と呼んだらあきらかに『マズい……』という顔をして尻尾をフリフリしながら逃げて行きました。自分の名前も、探されていることもわかっているようで、あきらかな確信犯でしたね」
実はマフはレイラさんの娘の友人からの依頼で保護した元野良猫。もともと外で暮らしていたことから、家の周辺の土地勘があり、猫が隠れやすい場所や餌を手に入れやすい場所を心得ていた。
「保護した当初も家の網戸を破って脱走したことがあり、当時は家から半径200メートルくらいの場所ですぐに捕獲できたので、今回もそう遠くには行かないと踏んでいました」
レイラさんたちはマフが脱走したその日のうちに迷子ポスターを制作し、ご近所に事情を説明しながら、ゴミ集積所、スーパー、美容室など、人目につく場所に貼って回った。
情報入るも捕獲できず
レイラさんの予想通り、チラシを貼った直後から、マフの目撃情報は何件も届いた。しかし、姿は確認できてもなかなか捕獲には至らず、その日のうちに確保はできなかった。
翌日以降も、情報は入るものの捕獲がうまくいかないという日々が続く。家の前に匂いのついたものや、ご飯を仕込んだ捕獲機を置くなど、基本的な対策をしつつ、レイラさんは時間を見つけては家族とともに毎日捜索に出ていた。しかし、マフはなかなか捕まらず、脱走からひと月が過ぎようとしていた。
「目撃情報は多い時で週に3~4回ほど入っていたので、生存確認ができていたのが救いでした。家で待つ後輩猫や遊び相手のうさぎも、どことなくマフがいないことに気づき始めている様子でした」
SNSでつながっている猫友達に促され、ペットの捜索で有名なペット探偵にアドバイスも求めた。
「コロナの真っただ中だったので、捜索を依頼するかは迷っていたのですが、事情を説明したらSNSを使って捜索の手引きを送ってくださいました。猫の行動パターンや探し方のコツなど、その手引きを参考にして、連日捜索を続けてみましたが、やはりマフはなかなか捕獲できませんでした」
ご近所さんが捕獲
レイラさんは目撃情報や聞き込みから、マフの行動範囲を絞り込み、生活の拠点を探し当てていた。そこはご近所の畑のビニールハウスで、雨風をしのぎ、カエルや蛇を捕まえるのにうってつけの場所だったという。
「ビニールハウスの持ち主の方と連携を取り、見かけた日はこまめに連絡を入れてもらっていました。一度、ハウス内にいるのを見つけて入り口を塞いでくれたそうなのですが、隙間から逃げ出してしまい『惜しかったね』ということもあったんです」
マフ脱走から2カ月と数日が過ぎようとしていた。季節は秋に入り、天気が崩れやすい日が増えていた。レイラさんの家は岩手県にあり、これから冬が来たら、飼い猫でなくても厳しい環境が待っている。「捜索に出てマフに会えなかった日は、いたたまれない気持ちで帰路につきました」と、レイラさんは当時を振り返る。家族みんながマフを案じながら捜索を続けていたある日、ビニールハウスの持ち主からレイラさんに、ふたたび連絡が入った。
「アジフライを揚げていたら、匂いにつられて玄関付近までマフが来たので、捕まえてドアを閉めたと。『今度は確実だよ!』と言われて、急いで迎えに行きました」
脚の毛がはげていたが無事帰宅
- 【捜索のポイント】
- ・目撃情報から捜索範囲を絞り込む
・拠点がわかったら、その家の人と連絡が取れるようにしておく
近所の人に保護されたマフは、おなかを空かせた様子ですっかり意気消沈し、ぐったりとうなだれていたという。
「私が迎えに行った時は玄関の隅っこで縮こまっていました。『マフ』と声をかけるとすぐに家族だとわかったようで、おとなしくキャリーに入りました」
帰宅したマフは、すぐに自分の家に帰ってきたことを認識し、ご飯を食べて眠ったという。
「疲れ果てていたようで、1週間、食べて寝てを繰り返していましたね。農家の田んぼや畑でなにか狩って食べていたようで、検査したらおなかから虫が出てきましたが、それ以外は全ての検査で陰性。農家が多い地域なので、どこかでとりもち(ネズミ捕り)にかかったようで、脚の毛がごっそり抜けて地肌が見えていましたが、大きなけがはありませんでした」
この日は10月10日。7月31日に脱走してからおよそ2カ月半の冒険を経て、マフは家族の元に帰ってきた。
猫の捜索は時間帯が重要だった
- 【猫探しの教訓】
- ・ペットアプリ「ドコノコ」の迷子チラシは効果絶大
・猫の行動パターンに合わせた捜索をすべき
レイラさんは今回の捜索を経て、猫探しは捜索する時間帯がキモになると気がついたという。
「初めの頃は昼間をメーンに探していたのですが、マフの姿をあまり見かけなかったんです。ペット探偵の方に送っていただいた手引きを読んで猫の行動パターンを知り、夕方や夜間を中心に捜索するようになってからは、行動しているマフに出会えることが多くなったので、初めからそうしていればもっと早くに捕まえられたかもしれません。ただ、不審者に思われることもあるので、“猫捜索中”のたすき掛けをするなど、怪しまれないようにする工夫も必要だと思いました」
マフ脱走から1年半が経過した。現在のマフは、もともとの穏やかで友好的な性格を取り戻し、後輩猫と“にゃんプロ”に興じたり、お気に入りのメタルラックの天板の上でリラックスしたりして毎日を過ごしているという。
脱走から2カ月半、家族の執念の捜索で家に帰ることができたマフ。猫探しは、発見できても捕獲するまでが難しい。しかし、張り紙を続けながら情報を集め、近所との連携を取りながら捜索を続けることで、愛猫を家に連れ帰ることができたレイラさんの例は、多くの迷子家族の希望になるだろう。
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