多頭飼いで借家住まい、なのにおしゃれ! その理由は夫婦で楽しむ「手作り」
フルタイムの仕事に子育て。保護犬保護猫合わせて5匹。夫の転 勤でほぼ2年おきの引っ越し。なのに、おしゃれ度抜群。そんな森田め ぐみさん宅の秘密は夫と二人で楽しむ「日々の手作り」にありました。
2年おきの転勤
「書店員は見た!」の雑誌連載エッセイや、yomegのインスタグラムでも人気の森田めぐみさんは、書店員であり大学生と中学生の母親であり、動物家族も5匹いる。ふつうなら、家の中はしっちゃかめっちゃかになりそうなのだが……。
東京西部の町の路地にある森田家は、どの町にも残る昭和の民家だ。玄関を開けると、猫たちがリビングの小窓からのぞくまん丸な目が待っていた。そこから、ちょっとレトロで、とびきりおしゃれな手作り世界が広がる。毎日この家に帰ったときの楽しさが瞬時に伝わってくる。小さめの間取りの家なのに、開放的で広々と感じるのは、家具や雑貨の色や材質の素朴感もあるが、いたるところに手作りの妙が凝らされているからだ。
夫の英明さんの転勤に伴い、茨城、石川、茨城、そして去年から東京郊外に暮らす。そのたびに、ふたりはDIYで家を作り変えてきた。
増えていく動物家族
「多頭飼いでDIY可の物件を探すのはなかなか大変。何しろ私、捨て犬捨て猫によく出会い、春に拾い、秋に拾い続けてるんです。いろいろ拾って、譲渡できなかったのが家に残るんです」と、めぐみさんは笑う。
最初は、8 年前の茨城時代。ある日、家の庭先に5匹の犬が置き去りにされたのだ。4匹はもらい手が見つかり、2歳だったゴールデンレトリバーの「レイル」が残った。
石川在住の最後の年にやってきたのが、当時0歳の茶トラ猫姉妹、「アオ」と「ハル」。とある家の軒下で生まれ、もらわれていった先の子どもが猫アレルギーになったため、引き取った。
3番目の猫「メイ」と4番目の猫「マリオ」は、東京での保護猫。メイは、仕事に行く途中で拾ったキジトラ姉妹のうちの1匹だ。もう1匹は同僚にもらわれていった。
「メイは、夫の肩にずっと乗ってるし、大家さんも『もう飼っちゃえば』と言うし、万人受けする可愛い顔でもなかったので(笑)、まあ、いいかと」
最後に来たのが今年春拾ったマリオ。駅に行く途中のアパートの敷地内でずっと鳴いていた子猫5匹を、一気に保護。2匹と1匹は、それぞれ知人に。茶トラの子は猫エイズの擬陽性だったため、実家猫に。残ったマリオは、保護時毛がもじゃもじゃだったので、「モジャミ」の別名で呼ばれることが多い。
動物と暮らす工夫
穏やかで、ちょっとおマヌケな犬のレイル。全員の残り物を食べてぽっちゃり気味の、気のいいハル。繊細だが甘えん坊のアオ。お客さん苦手のメイ。無邪気なモジャミ。個性的な面々が、日々の笑いを提供して尽きることはない。多頭飼いでも、こんなに小ぎれいに好きな物に囲まれて暮らすコツはなんだろう。
まずは、傷つけられても、修理や塗り直しできるものだけを置く。猫が爪とぎしてもへっちゃらなソファーは、ネットで見つけた格安品。元和室のリビングは、畳をはがし、格安板をふたりで貼った。ホームセンターでいちばん安価な幅9cmの板は、物置きにもキャットウォークにも大活用。
猫の安全と好奇心を満たすことも大事だ。一見レトロガラスに見える窓ガラスも、白く塗った障子の枠に当てはめたポリカーボネートなのだ。猫の動線を考えた棚や窓はいたるところにあって、透明の高窓からはバードウォッチングが楽しめる。脱走防止のため、玄関から直接リビングへ通じるドアは閉じて、猫の足場とキャットウォークを設置してある。猫にかじられては困る植物は、玄関に飾る。
「いずれ引っ越す」という事情が、かえって「今の暮らしを工夫次第で最大限心地よく」という気持ちをかきたてる。「物への執着はないですね。引っ越しのたびに持ってくるのは、たばこ店のショーケースだった食器棚くらい。DIYも、犬や猫のため! というより、みんなにとって楽しい住まいにしようと手作りし続けている日々の自然な結果なんです」
飼い主たちが楽しいなら、犬や猫も楽しい。犬や猫が楽しいなら、飼い主たちも楽しい。そのことがよくわかる、おおらかで心地よい暮らしがここにある。
文・佐竹茉莉子 写真・安海関二
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