自ら出演オファーした犬が登場! 主人公との交流が胸を打つ、犬が活躍する映画3選
犬好きにはたまらないであろう犬の存在感が際立った映画がそろいました。今回は公開中の2本と、配信作品1本を含めたよりすぐりの3本をご紹介します。
沢田研二演じる主人公の飼い犬に注目『土を喰らう十二ヵ月』
まず1本目は、水上勉の料理エッセー「土を喰ふ日々 わが精進十二ヶ月」を原案に、沢田研二を主演に迎えて映画化した中江裕司監督作『土を喰らう十二ヵ月』です。料理研究家の土井善晴監修による料理も話題を呼んだ本作ですが、今回は沢田さん演じる作家ツトムの愛犬にご注目を。
主人公は、人里離れた信州の山荘で、スローライフを送る作家ツトム。彼は自ら育てた四季折々の野菜を料理しつつ、原稿に向き合っています。沢田さんをはじめ、編集者で恋人でもある真知子役の松たか子や、火野正平、檀ふみ、尾美としのり、西田尚美、瀧川鯉八、奈良岡朋子という実力派キャストたちとともに、堂々と存在感を発揮しているのが犬のももです。
ももが演じたのは、ツトムのかたわらにいる愛犬“さんしょ”。この名前は、13年前に亡くなったツトムの妻・八重子が、山椒(さんしょう)好きだったことから命名されました。でも、実はこのもも、タレント犬ではなく、ロケ地である白馬村の近隣の家で飼われている飼い犬なんです。
撮影前にスタッフが白馬村周辺でツトムの愛犬役の犬を探し回っていたところ、スタッフの軽トラックを追いかけてきたのがももでした。つまり、ももは自らの出演オファーによって、沢田研二の愛犬という大役をつかみとったという“シンデレラ犬”だったのです。もちろん演技は未経験!
その後、新井真理子プロデューサーがもものしつけ担当となり、家までの送り迎えをしながら、ともに撮影に挑みましたが、沢田さんにもすんなりとなついたそうです。
劇中では、ツトムの見守り役として、彼が山菜を採りにいく際には散歩相手として、日々彼に寄り添ったももは、役柄同様に現場でも常に沢田さんのそばにいたとか。また、ももは肝が据わっていて、白馬村で行われた先行上映会で登壇した際に、満席の会場にもまったく動じなかったというから実に頼もしい!
沢田さんの味わい深い演技やおいしそうな料理の数々とともに、ももの好演にもほっこりしていただきたいです。
『土を喰らう十二ヵ月』公開中
公式サイト:tsuchiwokurau12.jp
監督・脚本:中江裕司 原案:水上勉『土を喰う日々 ―わが精進十二ヵ月―』(新潮文庫刊)
出演:沢田研二、松たか子、西田尚美、尾美としのり、瀧川鯉八/檀ふみ、火野正平、奈良岡朋子ほか
配給:日活
©2022『土を喰らう十二ヵ月』製作委員会
『ラーゲリより愛を込めて』に登場する奇跡の犬クロに感動!
2本目におすすめする映画は、二宮和也主演の感動大作『ラーゲリより愛を込めて』です。本作は、犬がメーンの映画ではありませんが、劇中で希望を象徴する存在として1匹の犬が登場し、見る者の心をわしづかみにします。
本作の舞台は、第2次世界大戦終了後、日本兵が捕虜として抑留されたシベリアの強制収容所(ラーゲリ)。二宮さんが演じるのは、零下40度という厳冬の収容所にて、わずかな食料での過酷な労働を強いられた抑留者の1人、山本幡男役です。彼は日本にいる妻モジミ(北川景子)や4人の子どもたちとの再会を信じ、絶望する仲間たちに、必ず帰国できると励まし続けます。
そんな山本たち抑留者が飼っていたのが、1匹の黒い毛の犬です。中島健人演じる新谷健雄(中島健人)がクロと名付け、彼は貴重な食料を分け与えますが、山本にもよくなつき、ほかの抑留者たちともボール遊びをするなど、収容所での“癒やし”的な存在になっていきました。
後半では、そんなクロが活躍する奇跡のようなシーンがあります。内容は伏せますが、そこでクロは命の輝きを体現していたかと。本作の原作は辺見じゅんのノンフィクション小説で、クロと抑留者との交流は史実に基づいていますが、まさに「事実は小説より奇なり」を画にしたような名シーンに驚嘆しました。
ちなみにクロ役を務めた犬の大吉は、本作の初日舞台あいさつにもスペシャルゲストとして登壇し、中島さんにキスをするという愛くるしい一幕も。中島さんも「クロの存在は癒やしで、キャストの皆さんとスタッフの皆さんの心をつないでくれた存在でした」と心から感謝していました。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に世界が揺れる今だからこそ、多くの方に観てほしい本作。二宮さんをはじめとしたすばらしいキャストと大吉の熱演を心からたたえたいです。
『ラーゲリより愛を込めて』公開中
公式サイト:lageri-movie.jp
監督:瀬々敬久 原作:「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」(辺見じゅん著/文春文庫刊)
出演:二宮和也、北川景子、松坂桃李、中島健人、寺尾聰、桐谷健太、安田顕ほか
配給:東宝
©2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ©1989清水香子
犬は家族以上の存在!SF映画『アイ・アム・レジェンド』
3本目に紹介するのは、ウィル・スミス主演のSFアクション大作『アイ・アム・レジェンド』です。本作に登場するジャーマンシェパードは、ウィル・スミス演じる孤独な主人公ロバート・ネビルのかけがえのない家族として登場します。
本作の舞台は、2012年の廃虚と化したニューヨーク。ウイルス感染により、世界人口60億人のほとんどが死滅したなかで、1人だけ生き残ったのがネビルです。
元米国陸軍中佐で、科学者でもあるネビルは、さすがにサバイバル能力が高い。動物園から逃げ出した動物を狩ったり、トウモロコシなどを収穫したりしながら、治療薬の開発にもいそしみ、生存者を求めて3年間毎日メッセージを発信し続けています。
日々、孤軍奮闘する彼にとって、唯一の心のよりどころが、娘のマーリーから託された愛犬サムでした。このシチュエーションを想像するだけで、ネビルとサムがいかにして強い絆で結ばれているのかがわかりますよね。
そんなネビルに襲いかかるのが、怪力を持つゾンビ、ダークシーカーたち。じわじわと彼を追い詰めていくなかで、その脅威はサムにも及んでいきます。
ネタバレは避けますが、必死にサムを救おうとするネビルに感涙必至の本作。サム役は3匹のシェパードが演じたらしいのですが、ウィルの心も大いに動かしたことは間違いなし。
SF映画でありながら、犬が準主役というべきポジションにいる本作。見応えあるアクションだけではなく、物語がとてもエモーショナルな1作なので、ぜひご覧いただきたいです。
というわけで、今年もぜひたくさんの犬映画をお楽しみください!
『アイ・アム・レジェンド』はU-NEXTで配信中
https://video.unext.jp/
監督:フランシス・ローレンス
出演:ウィル・スミス、アリーシー・ブラガ、ダッシュ・ミホクほか
配給:ワーナー・ブラザース
U-NEXT配信中 TM & © Warner Bros. Entertainment
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