ネコはどんな時にゴロゴロとのどを鳴らす? ゴロゴロ音にも違いがある!?
以前にネコの鳴き声に関する論文を紹介しましたが、ネコとヒトとの間での音を介したコミュニケーションには鳴き声だけでなく、のどを鳴らすゴロゴロ音もあります。ではどんな時にゴロゴロとのどを鳴らすのでしょうか。今回は、ゴロゴロ音について調べた論文 "The cry embedded within the purr" を紹介します。
ゴロゴロ音にも違いがある!?
ネコはゴロゴロ音をどのように発しているのでしょうか。そのメカニズムは、いまだ解明されていないネコの謎のひとつです。いくつかの研究によると、横隔膜の振動や筋肉の収縮、声帯を振動させているといった説や、はたまた呼吸の空気の流れをのどで調節している説などがあります。
ゴロゴロ音を最初に発するのは、子猫が母猫の乳を吸う時と言われています。また基本的には、幸せで満足している気分のときにゴロゴロ音を発すると言われてきました。しかし、鳴き声と同じくゴロゴロ音にもパターンがあるのではないか。そう考えたイギリス・サセックス大学の研究チームは、ゴロゴロ音について調査をおこないました。
まず、10匹のネコの2パターンのゴロゴロ音を録音しました。ひとつめは食べ物を要求するときに出すゴロゴロ音、2つめはベッドなどで休んでいる時のゴロゴロ音です。その2パターンの音を50人の調査参加者にヘッドホンで聞かせ、どれだけ心地よく感じるか、または不快に感じるかを回答してもらいました。
要求する時のゴロゴロ音はちょっと不快
ゴロゴロ音を解析したところ、ヒトの赤ちゃんの鳴き声(300~600ヘルツ)のような高い周波数(220~520、平均380ヘルツ)がふくまれていることがわかりました。そしてその高い周波数があるゴロゴロとそうでないゴロゴロを比較したところ、高い周波数のあるゴロゴロについて、ヒトは「緊急性が高く不快と感じる」という結果になりました。
しかも、その違いはネコを飼ったことがないヒトも聴き分けられるようです。ちなみに論文には音声も掲載されており、私がパソコンのスピーカーで聴いただけでも要求のゴロゴロとそうでないゴロゴロは、しっかり聴き分けられるくらいの違いがありました。
ゴロゴロ音にはパターンがあることがわかり、さらに高い周波数のゴロゴロはヒトへの要求のために発していると考えられます。ネコは鳴き声のニャーだけでなく、ゴロゴロ音も使い分けているようです。
また、ゴロゴロ音の周波数は骨密度を高めたり、痛みを癒やす効果があるとも言われています。なぜニャーでなくゴロゴロとのどを鳴らすのか。のどを鳴らすメカニズムはまだ明らかになっていませんが、ネコが言葉の代わりに発する音をしっかりと聴き分けられるとよいですね。
今回ご紹介した論文
The cry embedded within the purr
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